2013年12月29日日曜日
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン / レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
Rage Against The Machine / Rage Against The Machine(1992年リリース)
①Bombtrack ②Killing in the Name ③Take the Power Back ④Settle for Nothing ⑤Bullet in the Head ⑥Know Your Enemy ⑦Wake Up ⑧Fistful of Steel ⑨Township Rebellion ⑩Freedom
【アルバムについて】
ミクスチャーとかクロスオーバーとか、ラップメタルとか言われるような音楽がどーもニガテだった。エアロスミスとRun–D.M.C.による「ウォーク・ディス・ウェイ」はともかく、バイオハザードのPVとか見ても近寄りがた過ぎて。映画『ジャッジメント・ナイト』のサントラとか聴いてもピンと来なかったのだけれども、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(以下RATM)の2ndアルバム『イーヴィル・エンパイア』の1曲目「ピープル・オブ・ザ・サン」と2曲目「ブルズ・オン・パレード」がカッコ良過ぎて。この2曲を聴いて本当にノックアウトされた気分だった。んで遡って聴いたのがこのセルフタイトルの1stアルバムなのでした。
RATMは4枚のアルバムを残して解散し、ザック・デ・ラ・ロッチャを除くメンバーがサウンドカーデンのクリス・コーネルと組んでオーディオスレイヴとして活動するなど迷走(?)したが、2007年には再結成。現在は活動を停止しているが、2014には活動を再開するのではないかと噂されているようだ。
【オススメ度】★★★★★
①からもう煽られまくり。歌詞やその活動から政治的な要素が強すぎる嫌いもあるが、そのサウンドに宿るパワーを是非体感してみて欲しい。でも正直言って俺に英語のヒアリング能力があったとしたら、説教臭過ぎて聴いてられないかも、と思ったりもする。2ndアルバム『イーヴィル・エンパイア』ももちろんオススメ。だが本当はライヴで見るのが一番良いのは言うまでもない。(k)
【hiroumiの感想】
俺があと10年遅く生まれていたら、きっとこのグループのことが大好きだったかもしれない。だけど30過ぎた頃にはどちらかというと苦手な音だった。結局そこから抜け出せずに40も半ばになったので、どう転んでも後追いすることもないのだろうなと思うのです。しかしこのジャケットはリリース当時はかなりのインパクトを受けて興味を持ったのになぜ聴いていないのだろう・・・。
2013年12月22日日曜日
ケイト・ブッシュ / 天使と小悪魔
Kate Bush / The Kick Inside(1978年リリース)
①Moving ②The Saxophone Song ③Strange Phenomena ④Kite ⑤The Man with the Child in His Eyes ⑥Wuthering Heights ⑦James and the Cold Gun ⑧Feel It ⑨Oh to Be in Love ⑩L'Amour Looks Something Like You ⑪Them Heavy People ⑫Room for the Life ⑬The Kick Inside
【アルバムについて】
ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアに見いだされ、19歳でデビューしたケイト・ブッシュの⑥は今では「恋のから騒ぎ」のオープニング曲としてのほうが有名かもしれない。イギリスでは4週連続1位を記録し、このデビュー・アルバムも大ヒット。全13曲からなるこのアルバムは内省的な曲が多いが、妖艶で心を揺さぶるその歌声は大きな影響を与えてくれる。LPでは①から⑥までがA面で、クオリティの高い楽曲が並ぶ。⑦以降がB面にあたるが、後半になると若干テンションが落ちる気もするが紛れもない傑作だと思う。余談だが、先日Twitterにてケイト・ブッシュのことを「元祖こじらせ女子」と形容している文を見たが、あながち外れてはいないんじゃないかと思う。だけどそんな下世話な表現では表せないのがケイト・ブッシュの音楽である。
【オススメ度】★★★★★
個人的には3枚目の『魔物語(Never For Ever)』をいちばん勧めたいし、2枚目の『ライオンハート(Lionheart)』や狂気の『ザ・ドリーミング(The Dreaming)』も捨てがたいので、正直言うとこのアルバムは4番目の優先度になってしまうんだけど、でも初めて聴くなら断然ここからだと思っている。そしてこれで好き嫌いが分かれるだろうとも思っている。残念なのは今販売されているCDのジャケットが上のケイトのドアップ写真ではなく、下のようなイラスト風なものだということ。それでも聴く価値はある。(h)
【kakudayaの感想】
完全に後追いの俺は、やっぱり「恋のから騒ぎ」…じゃなくて「嵐が丘」の印象が強すぎて。歌声だけじゃなくビジュアル含めホント個性的で素晴らしい。1stからこの妙な和テイストなジャケもたまらないじゃないですか。さんざん言及されてるんだろうけど唯一無二の存在という意味で、自分の中ではBjork的な位置付けですね。
James and the Cold Gun
2013年12月15日日曜日
フガジ / リピーター
Fugazi / Repeater(1990年リリース)
①Turnover ②Repeater ③Brendan #1 ④Merchandise ⑤Blueprint ⑥Sieve-Fisted Find ⑦Greed ⑧Two Beats Off ⑨Styrofoam ⑩Reprovisional ⑪Shut the Door ⑫Song #1 ⑬Joe #1 ⑭Break-In
【アルバムについて】
レーベル'DISCHORD'の経営者としても著名なイアン・マッケイが、マイナー・スレット解散後の紆余曲折を経て結成したバンド、フカジ。商業性を一切捨て安易な高揚感を煽るようなことは一切ないそのサウンドと楽曲は、悪く言えば愚直、良く言えば真摯で、ハードコアというよりもポスト・ハードコアという位置付けが妥当だと思う。音源としてはこれ以前の1989年に2枚のEPをコンパイルした"13 Songs"をリリースしており、またこの『リピーター』もアナログ盤に少し遅れてリリースされたCDには、EP"3 Songs"の音源が付与され"Repeater + 3 Songs"というタイトルになっており、上記の⑫~⑭が"3 Songs"に相当する。
【オススメ度】★★★★★
フカジは6枚のアルバムを残し、現在活動を停止している。個人的には後期の方が聴き易さ、取っつき易さがあるようにも思えるが、気のせいだろう。だからまずはどのアルバムでもいいから1枚聴いてみて欲しい。ところでウィーザーの項目にも書いたがエモというジャンルが何を指すのかイマイチ理解に苦しんでいる。フカジもエモの始祖的な位置付けをされることがあるが、ウィーザーとフカジの共通項って、バンドってことくらいじゃないの?(k)
【hiroumiの感想】
フガジは俺にとっては「境目」的なバンドだ。ポスト・ハードコアと言われているが、ハードコアと付く以上はやはりハードコアを期待してしまうのだけど、曲の中に転調があったりして必ずしもイメージとは違う。初期の"7 Songs"というEPとこのアルバムしか聴いていない俺にとってはかろうじてハードコア・バンドなのだけど、それだったらマイナー・スレットを率先して聴いてしまうのだ。そう、境目とは俺がイメージするハードコアのギリギリのところにいるバンドってわけだ。
2013年12月8日日曜日
レインボー / 銀嶺の覇者
Ritchie Blackmore's Rainbow(1975年リリース)
①Man on the Silver Mountain ②Self Portrait ③Black Sheep of the Family ④Catch the Rainbow ⑤Snake Charmer ⑥The Temple of the King ⑦If You Don't Like Rock 'n' Roll ⑧Sixteenth Century Greensleeves ⑨Still I'm Sad
【アルバムについて】
ブリティッシュ・ハード・ロック史にその名を残すレインボーは、まだディープ・パープル在籍中だったリッチー・ブラックモアのソロ・プロジェクトとして、③と⑧を録音したことがきっかけとなり、リッチー・ブラックモアズ・レインボー名義で制作された。アルバムに発展したのは、バックを務めたエルフというバンド、とりわけヴォーカルのロニー・ジェイムス・ディオとの相性の良さにリッチーが可能性を見出したためでもあったが、当時のディープ・パープル(第3期)がストレートなハードロックに留まらない方向へ向かっていることに我慢がならなかったからでもあった。エルフのメンバーが演奏に参加しているが、このアルバムではリッチーの指示どおりにきっちりと演奏させられた上に、ディオを残して全員解雇してしまうという、このアルバムから早くもリッチーの独裁ぶりが発揮されている。また、音楽的にはハードな曲は実は少なく、様式美のあるクラシカルなタイプな曲も含み、レインボーというバンドではなく、リッチー・ブラックモアのソロ・アルバム的な趣がある。そしてこのアルバム録音後、ヨーロッパ・ツアーを終えたディープ・パープルからリッチーは脱退し、1984年の再結成パープルに参加するまで、彼はレインボーを率いて活動していった。
【オススメ度】★★★★☆
レインボーで絶対に聴くべきアルバムはリッチー、ロニー、そしてコージー・パウエルによる「三頭政治」が最もうまくいった2枚目の"Rising(邦題『虹を翔る覇者』)であることは異論がないんじゃないかと思う。そしてロニーが好きであれば3枚目の"Gates Of Babylon(邦題『バビロンの城門』)と本作も聴かないと損!俺がレインボーはロニーがいた時期がすきなので、★4つにしているが、その贔屓目なしで見てもぜひ聴いてもらいたい1枚だ。④は美しい曲だね。(h)
【kakudayaの感想】
俺にとっての最初のレインボーは"Bent Out of Shape"(邦題『ストリート・オブ・ドリームス』)だったこともあり、クラシカルなリッチーの自己主張が控えめで、ラジオフレンドリーな楽曲の方が好きだったりする。以上、ジョー・リン・ターナー推しのマイノリティからの主張でした。
2013年12月1日日曜日
パール・ジャム / Ten
Pearl Jam / Ten(1991年リリース)
①Once ②Even Flow ③Alive ④Why Go ⑤Black ⑥Jeremy ⑦Oceans ⑧Porch ⑨Garden ⑩Deep ⑪Release
【アルバムについて】
10thアルバム『ライトニング・ボルト』をリリースし、今もなおロックバンドとして人気を維持し続けているパール・ジャム。そのバンドの生い立ちは、グランジの祖と言われるバンドのひとつであるグリーン・リヴァーが後にパール・ジャムを結成するストーン・ゴッサード(g)とジェフ・アメン(b)、同じくマッドハニーを結成するマーク・アーム(vo)とスティーヴ・ターナー(g)に分裂し解散してしまうことから始まる。ストーンとジェフはその後、マザー・ラヴ・ボーンの結成と消滅、サウンドガーデンのメンバーも参加したテンプル・オブ・ザ・ドッグでの活動を経てパール・ジャムを結成し、この1stアルバム『Ten』でいきなり成功を収める。パール・ジャムの『Ten』とニルヴァーナの『ネヴァーマインド』の成功は、シアトルから登場したグランジやオルタナティヴ・ロックと呼ばれた音楽によるムーヴメントを大きく後押しした。その勢いは、アリス・イン・チェインズやスクリーミング・トゥリーズといったシアトル出身のバンドだけでなく、スマッシング・パンプキンズやストーン・テンプル・パイロッツなどシアトル以外のバンドと共にメインストリームを完全に塗り替えてしまったのだ。だが80年代末から90年代初頭にかけて急激に立ち上がったこのムーヴメントは、94年のカート・コバーンの死によりあっけなくひとつの区切りを迎えてしまった。しかしパール・ジャムは結成20周年を迎えてもなお、シーンの最前線で活躍している。
【オススメ度】★★★★★
ニルヴァーナの音楽がポップの要素を持っていたのに対し、パール・ジャムの音楽は泥臭いハードロックであり、日本での人気はよりキャッチーなニルヴァーナに軍配が上がるだろう。だが、『Ten』と続く2ndアルバム『Vs』は一度は聴いてみて損はないはず。本当にいい曲がいっぱい詰まってると思う。(k)
【hiroumiの感想】
パール・ジャムは4枚目の"No Code"というアルバムで初めて聴いて、当時は好きなアルバムの1枚だった。そこから遡ろうとして前作の"Vitalogy"で「んん・・・?」となってしまった、なんでこんなアルバムが大ヒットしたのだろうと不思議でしょうがなかった。それで俺のパール・ジャム体験は終わりで、今はせいぜいニール・ヤングのバッキングに徹した『ミラーボール』を聴くぐらい。上でもkakudaya氏が『Ten』と『Vs』は聴いておけと書いているにも関わらず、その肝心の2枚を聴いていない俺はこれだから当時のシーンについていけなくなっちゃうのだろうなと思ったりもする。
2013年11月24日日曜日
アンダーワールド / アンダーニース・ザ・レイダー
Underworld / Underneath the Radar(1987年リリース)
①Glory! Glory! ②Call Me No.1 ③Rubber Ball (Space Kitchen) ④Show Some Emotion ⑤Underneath the Radar ⑥Miracle Party ⑦I Need a Doctor ⑧Bright White Flame ⑨Pray ⑩The God Song
【アルバムについて】
80年代前半に前身となるバンドを経て、1986年に結成されたアンダーワールドは、トンプソン・ツインズのトム・ベイリーによるプロデュースでアルバム・デビュー。1988年にセカンド・アルバムを出すがさほど話題になることもなく、3枚目のアルバム・レコーディング中にレーベルから契約を切られる。そしてのちに今の形態となるテクノ、エレクトロニカを打ち出した音へと路線変更をし、映画「トレインスポッティング」で有名になった「ボーン・スリッピー」の世界的ヒットによって誰もが知るところとなる。この1stアルバムは80年代特有のエレポップといった趣で、リアルタイムでこの手の音を聴いた俺にも、どこに売れる要素があるのかまったく分からない。そして今のアンダーワールドからはかなりかけ離れたイメージのアルバムでもある。ただ、現時点での最新作"Barking"を作成するにあたって、メンバーはこのアルバムを久々に聴きなおしてインスピレーションを得たようなので、彼らにとっては根柢は変わっていないのかもしれない。
【オススメ度】★☆☆☆☆
とんだB級アルバムw アンダーワールドのアルバムなら全部持っておきたいという人向けであって、2,3枚聴いたところで興味本位で手を出すと失敗すること間違いなし。でも80年代のヒューマン・リーグやソフト・セルなんかのエレポップ的な音が聴きたいのであれば聴いてみてもいいのでは!?それと、上の文章で「リアルタイムでこの手の音を・・・」と書いたけど、当時また彼らのことは全く知らなかったのでこのアルバムを聴いたわけではありません。勘違いなさらなうように。(h)
【kakudayaの感想】
教科書的な話になっちゃうけど、ケミカル・ブラザーズの『さらばダスト惑星』('95年)辺りから始まり、プロディジーの『ザ・ファット・オブ・ザ・ランド』('97年)でスゴくブレイクして、テクノといわれるような音楽が日本のロックファンにも受け入れられるようになったんだよね。デジロック、デジタルロックなんてどうしようもない言葉も日本で生まれた。その流れの中でも映画「トレインスポッティング」('96年)で使われた「ボーン・スリッピー」(Born Slippy .NUXX)はまた格別だったけど、個人的にはルックス含め、プロディジーが大好きだったな。でもプロディジーにしてもアンダーワールドにしても、当時は過去に遡ってまで聴く気ほどハマらなかった。今回YouTubeで聴いてみて、嫌いじゃないけどそれでよかったと思ってる。
2013年11月17日日曜日
ウィーザー / ウィーザー
Weezer / Weezer(1994年リリース)
①My Name Is Jonas ②No One Else ③The World Has Turned and Left Me Here ④Buddy Holly ⑤Undone – The Sweater Song ⑥Surf Wax America ⑦Say It Ain't So ⑧In the Garage ⑨Holiday ⑩Only in Dreams
【アルバムについて】
日本人の女性と結婚し、2013年にはALLiSTERのスコット・マーフィーと全歌詞日本語で歌われるアルバム『スコットとリバース』を発売するなど国内でもブレイクしそうな気配があったリヴァース・クオモ。結局はそのアルバムのプロモーションのみでそれ以降メディアへの露出もすっかり減り、日本でのマーティ・フリードマンの認知度を超えるまでに至っていないなぁという感じ。そんな親日家リヴァースが中心メンバーを務めるパワーポップなバンドがウィーザーだ。通称「ブルーアルバム」と呼ばれるこのセルフタイトルのデビュー作は、ザ・カーズのリック・オケイセックをプロデューサーに迎え、シングルカットされた④と⑤のPVはスパイク・ジョーンズが手掛けるなど(なぜかWindows95のCD-ROMには④のPVが収録されていたり)、力を入れただけあっていきなり成功を収めることとなる。続く2ndアルバム『ピンカートン』は96年発売当時、日本以外の地域では良い評価を得ることができなかった。その後もバンドは休止やメンバーの脱退など紆余曲折ありながらも活動を続け、2009年には7thアルバム『ラディテゥード』を発売しているが、ファンの間では1stアルバムと2ndアルバムの評価が高いのではないだろうか。
【オススメ度】★★★★★
Weezerを聴くならこの1stから!
ところで日本では主にパワーポップと形容される彼らだが、いつの間にかエモと呼ばれるジャンルに組み込まれていたりもする。俺は未だにエモってジャンルを全く把握できていないから良くわからない。(k)
【hiroumiの感想】
90年以降のシーンをしっかり追っていないから漠然としたイメージなんだけど、ある時期から耳にするバンドの音って静かなアコースティックな導入からいきなりジャーンと騒がしくなる展開なのが多いなと思うことがあって、後追いでこのアルバムを聴いて「元凶はこいつらか?」って思ったのですよ。①なんかまさにその典型じゃないか。実際はそういう流れができていたのかは分からないけど、影響力は間違いなくあるんだろうね、このアルバムは。ありきたりだけど、④のメロディが好きだな俺は。
2013年11月10日日曜日
ルー・リード / ロックの幻想
Lou Reed(1972年リリース)
①I Can't Stand It ②Going Down ③Walk And Talk It ④Lisa Says ⑤Berlin ⑥I Love You ⑦Wild Child ⑧Love Makes You Feel ⑨Ride Into The Sun ⑩Ocean
【アルバムについて】
2013年10月27日、ルー・リードはついにあの世に行ってしまった。1970年にヴェルヴェット・アンダーグラウンドを脱退したルーは印刷工をしながら生活していたそうだが、すぐにRCAレコード契約してこのアルバムの制作に取り掛かった。大半の曲はヴェルヴェッツ時代の曲で、同グループへの落とし前をつけるのが彼にとっては最初にすべきことだったのだろう。シンプルなロック・アルバムで女性コーラスが目立つほか、イギリスへ渡っての録音らしく、イエスのスティーヴ・ハウやリック・ウェイクマンが参加している。ヴェルヴェッツ時代を含めて45年以上も世界中に影響を与え続けてきたルー・リード。他のアルバムばかりが目立っているが、このアルバムも聴いてやってほしいものだと俺は思う。それにしても『ロックの幻想』って邦題はなんとかならなかったのかな。
【オススメ度】★★☆☆☆
上でも書いたが、このアルバムの10曲中8曲はヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代の曲で、ヴェルヴェッツ解散後に出たアルバムなどの収録されていたこともあって、きっとこのアルバムが出た当時は新曲に近いものだったと思われる。彼のソロ・キャリアは2作目の『トランスフォーマー』からが本領発揮であって、聴くべきであろうアルバムも他にたくさんあるのでこのアルバムは後回しでもいいかと思う。ただ、ひとつ言っておきたいのは、このアルバムは評判悪いけど、決してそんなことはないということ。俺は好きだしこれ(って、実はルーのソロはあまり聴いていないからだけど)。(h)
【kakudayaの感想】
ルー・リードのソロ作品はベスト盤を聴いたことのある程度の俺だけど、①を初めて聴いてそのシンプルさ、オーソドックスな構成に驚いた。ヴェルヴェッツの最初の2枚しかまともに聴いたことない俺が勝手なイメージを構築してるだけなんだろうな。これ以降も2011年のメタリカとコラボした『ルル』に至るまで、ずっと創作活動を作り続けていたのに失礼な話ですよね、ホント。ゴメンなさい。
Lou Reed / I Can't Stand It
2013年11月3日日曜日
ジェーンズ・アディクション / ナッシングス・ショッキング
Jane's Addiction / Nothings Shocking(1988年リリース)
①Up the Beach ②Ocean Size ③Had a Dad ④Ted, Just Admit It... ⑤Standing in the Shower... Thinking ⑥Summertime Rolls ⑦Mountain Song ⑧Idiots Rule ⑨Jane Says ⑩Thank You Boys ⑪Pigs in Zen
【アルバムについて】
ジェーンズ・アディクションについては、中心人物のペリー・ファレルがアメリカ各地をツアーするロックフェスティバル『ロラパルーザ』を立ち上げたことや、ギタリストのデイヴ・ナヴァロがレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(以下RHCP)に参加するなど、バンドよりもメンバー個人の活動の方が有名だったりするのではないだろうか。
ジェーンズ・アディクションは1987年にライヴ録音のセルフタイトルアルバムをリリースしており、この『ナッシングス・ショッキング』は正確にはこのバンドの1stアルバムではなく、初のスタジオアルバムということになる。RHCPやフィッシュボーン、リヴィング・カラー、フェイス・ノー・モア辺りを連想するごった煮なハードロックサウンドではあるが、デイヴのギターとよくわからんふわふわしたグルーヴ、そしてペリーの唯一無二のヴォーカルがバンドの個性を特徴づけている。ちなみにRHCPのフリーやフィッシュボーンのアンジェロなどが⑧でホーンセクションを担当しており、当時のシーンのバンド同士の繋がりを感じる。
【オススメ度】★★★★☆
2枚目のスタジオアルバム『リテュアル・デ・ロ・ハビテュアル』を1990年にリリース後、バンドは解散してしまう。その後、ペリーのポルノ・フォー・パイロス結成やデイヴのRHCP参加などの紆余曲折あり、メンバーの出入りがありながらも再結成と活動停止を繰り返す。再結成後も精力的に作品をリリースしているが、ポルノ・フォー・パイロスなども含め、初期のアルバムを上回る評価は得られていない。従って最初に聴くアルバムとしてはこの『ナッシング~』か、より完成度の高い『リテュアル~』のどちらかが良いと思う。(k)
【hiroumiの感想】
上でkakudaya氏が書かれているように、ジェーンズ・アディクションというとロラパルーザだったり、デイヴ・ナヴァロがレッチリにとか、そういうイメージの方が強くて、肝心の音楽についてはあまり知らない。このデビュー・アルバムは当時の友達が持っていたから聴かせてもらったが、1988年のまだ二十歳の俺には後のオルタナティヴ系のバンドは受け入れることができなかったというのが実際のところだった。アメリカにおいては、まだメインストリームな音楽の方が聴かれていた時期だったと思うし、俺もそんな音楽を追いかけていた1人だった。分かり易く言うと、その頃出たレッチリの『母乳(Mother's Milk)』をあまり受け入れることができなかったんだから、このアルバムならなおさらでしょ?分かる人だけに言うけど。
2013年10月27日日曜日
パブリック・エナミー / Yo! Bum Rush the Show
Public Enemy / Yo! Bum Rush the Show(1987年リリース)
①You're Gonna Get Yours ②Sophisticated Bitch ③Miuzi Weighs A Ton ④Timebomb ⑤Too Much Posse ⑥Rightstarter (Message To A Black Man) ⑦Public Enemy No.1 ⑧M.P.E. ⑨Yo! Bum Rush The Show ⑩Raise The Roof ⑪Megablast ⑫Terminator X Speaks With His Hands
【アルバムについて】
俺のヒップ・ホップ、とりわけラップの認識は黒人たちが抱える差別や貧困などの問題を早急に世に訴えるための手段だと思っている。呑気に歌なんか歌ってらんねえんだよ、しゃべった方が早いんだよ!と言わんばかりの言葉の応酬。オールド・スクールのグループは特にそう思うし、その筆頭がパブリック・エナミー(以下PE)なんじゃないかと。そんな彼らのデビュー・アルバムは後のアルバムと比べると、ヒップ・ホップ黎明期のようなリズム重視のトラックが多く、まだ先に書いた問題重視のリリックよりも自分たちの存在をアピールしている段階という感じがする。⑦なんてまさにそう!ヒップ・ホップグループの「俺たちが1番!」という自己主張はそんなに好きじゃないのだけど、PEなら仕方ないと思ってしまう。だって1番なんだもん。
【オススメ度】★★★★☆
PEを聴くならやはり2ndの"It Takes A Nation of Millions To Hold Us Back"を筆頭に挙げないとならないでしょう、そして次に"Fear Of a Black Planet"を聴くべきで、このアルバムは3番目ぐらいにしても良いと思うが、先の2枚があまりにも強烈なので逆に印象が薄くなってしまうかもしれない。(h)
【kakudayaの感想】
B-BOY的なファッションや、暴力的なギャングスタラップがニガテなんです。クラブ文化も。だから所謂ヒップホップと呼ばれるような音楽や文化に対し、積極的に聴こうとか関わろうとか思わないんですよね。残念ながら。ナード気質なんで、勝手な被害妄想です。つまり、ウジウジ内向的なグランジが大好きってことですね。
2013年10月20日日曜日
べス・オートン / スーパーピンキーマンディ
Beth Orton / Superpinkymandy(1993年リリース)
①Don't Wanna Know Bout Evil ②Faith Will Carry ③Yesterday's Gone ④She Cries Your Name ⑤When You Wake ⑥Roll the Dice ⑦City Blue ⑧The Prisoner ⑨Where Do You Go ⑩Release Me
【アルバムについて】
まだ20世紀だった頃、べス・オートンの"Best Bit"という作品のジャケットを見て一目惚れしてしまった。そのルックスにフィットした素晴らしい声、来日公演で見た折れそうなくらい細い腕で爪弾くギターの音、それ以上何も要らないと思った。このべス・オートンの1stアルバム『スーパーピンキーマンディ』では、ウィリアム・オービットがそのサウンドを全面的にバックアップしており華美に感じる嫌いがあるが、ケミカル・ブラザーズの曲'Where Do I Begin'に彼女のヴォーカルがフィーチャーされ注目を集めたこともあり、好みの問題だろう。④を作り直したものが2ndアルバム『トレイラー・パーク』の1曲目として収録されており、こちらの方が彼女の良さを引き出せていると個人的には思う。
そんな風に大好きだったべス・オートンだが、2002年に発売されたアルバム『デイブレイカー』がCCCDだったことが切っ掛けで、フォローするのを止めてしまった。つい先日の来日公演も行かなかった。ちょっと後悔していて気分を切り替えようと思い、ここで取り上げてみた。ケミカル・ブラザーズとのコラボも含め、『トレイラー~』以降とは大きく異なる作品を彼女がリリースしていたことを知らないファンも居るのではないだろうか。
【オススメ度】★★★☆☆
Wikipediaによると、この『スーパー~』は日本で5,000枚程度しか作られなかったらしく、また本人も『トレイラー・パーク』を1stアルバムとして言及しているようだ。『トレイラー~』ではウィリアム・オービットと懐を分かち、それ以降トラディショナルな音楽を演奏している。なので最初に聴く彼女自身の作品としては『トレイラー~』をお勧めするが、下のAmazonのリンクでは、①と⑨が収録されたベスト盤を紹介している。(k)
【hiroumiの感想】
ベス・オートンって、今回この記事の下書きを見るまで、俺はずっと男だと思っていた。まずはそこからいろいろイメージが崩れていったし、そしてこのアーチストを選んだkakudaya氏の好みからもっとバリバリなUKロック風シンガーなのかと思って下のYouTubeの①を聴いてみたら、アンビエント風なバックトラックで歌われていてさらにイメージが崩れていった。なんでもウィリアム・オービットを組んでいたこともあるらしくて、オービットというとこれも俺のイメージだけどそれこそアンビエント風な音楽性だったので、そこでようやく納得できた。しかし何で男だと思っていたんだろうな、ベスってどう転がっても女性名なのにね。
2013年10月13日日曜日
スペースメン 3 / Sound of Confusion
Spacemen 3 / Sound of Confusion(1986年リリース)
①Losing Touch with My Mind ②Hey Man ③Rollercoaster ④Mary Anne ⑤Little Doll ⑥2:35 ⑦O.D. Catastrophe ⑧Walkin' With Jesus ⑨Rollercoaster(Live) ⑩Feel So Good ⑪2:35 (Demo)
【アルバムについて】
1982年に結成したスペースメン3は1986年にこのアルバムでデビューした。60年代のガレージ・ロックのような音で③は13thフロア・エレベーターズ、④はジューシー・ルーシー、そして⑤はザ・ストゥージズのカバーというところからもガレージ度が伝わってくる。ついでに言うと⑦はやはりザ・ストゥージズの"T.V.Eye"をモチーフとした曲だろう。2枚目のアルバム以降はサイケデリック色が強くなり、ドローン系のバンドとなっていく。なお、CDのボーナストラックに収録された⑨のライヴ・バージョンは圧巻で、17分あるうちの後半10分以降からはずっと同じリフが繰り返されるという、ちょっとしたトリップ気分も味わえる(しかもフェイドアウトで終わるとか、実際に何分ぐらいやったんだよ)。シューゲイザー的側面もあって、もし1991年にバンドが消滅していなかったらもっと多くの聴き手を獲得できたんじゃないかと思う。
【オススメ度】★★★★★
1989年ごろ、当時の友人のところへ遊びに行った時に聴かされて「こういうの好きでしょ」と言われたことだけをよく覚えている。でもどのアルバムだったかは覚えていない。彼らのアルバムはどれも好きなんだけど、今でも頻繁に聴くのはやはりこのアルバムなので、これをいちばんにオススメしたい。分かり易いってところもあるからね。(h)
【kakudayaの感想】
90年代、音楽の情報源と言えば専らロッキング・オンやクロスビートといった洋楽誌で、即ち俺は音楽情報を活字から得ていた(その次に情報源となったのがtvkの音楽番組で、その次は数少ない友達)。従ってスペースメン3に関しては、スピリチュアライズドのジェイソン・ピアースの居たバンド、という情報を活字で得ていたのみであった。その当時、スピリチュアライズドを少しだけ聴いて興味が持てなかった俺が、スペースメン3に辿り着くことは今日までなかったのだ。今回、このようなオチのない文章を書かせていただいたことを好機と捉え、スピリチュアライズドの『宇宙遊泳』をもう一度聴き直してみようと思った。
2013年10月6日日曜日
ザ・ポウジーズ / フェイラー
The Posies / Failure(1988年リリース)
①Blind Eyes Open ②The Longest Line ③Under Easy ④Like Me Too ⑤I May Hate You Sometimes ⑥Ironing Tuesdays ⑦Paint Me ⑧Believe in Something Other (Than Yourself) ⑨Compliment? ⑨At Least for Now ⑩Uncombined ⑪What Little Remains
【アルバムについて】
中心人物であるジョン・オウアとケン・ストリングフェロウが作成したカセットテープが、後にシアトルのインディレーベルPopLlamaからリリースされた。それがザ・ポウジーズの1stアルバム『フェイラー』だ。パワーポップとかネオアコ/ギターポップとかのカテゴライズはよくわからないけど、ザ・ビートルズからウィーザーに至るまで、胸キュン(死語)するようなメロディを求めてる人に自信をもってお勧めしたいバンドのひとつ。
この1stアルバムに封入された宅録っぽいサウンドのチープさは気になるほどのものではないと思うが、残念ながら楽曲そのものはまだ未成熟である点は否めない。しかしながら、その才能の片鱗は確実に見え隠れし、⑤などはライヴの定番曲となっている。商業的には成功を収めたと言い難い彼らだが、2010年には7thアルバム『ブラッド/キャンディ』をリリースし、2011年には来日公演も果たしており、今後の活動にも期待したい。
【オススメ度】★☆☆☆☆
まずは3rdアルバム『フロスティング・オン・ザ・ビーター』を聴いてみて欲しい。話はそれからだ。因みにこの3rdアルバムのプロデューサーはドン・フレミング。(k)
【hiroumiの感想】
シアトルのインディレーベルからというので、てっきりグランジかと思って下のYouTube(⑤)を聴いたらまるで俺が80年代に親しんだポップ・ミュージックのようで面食らった。ずいぶん爽やかなんだけど、きっとこれ1曲で判断したら痛い目にあうんじゃないかと思われるのだが、ウィーザーが引き合いに出されるあたりはもしかしたらもしかするw いいじゃんこれ。
2013年9月29日日曜日
イエロー・マジック・オーケストラ / Yellow Magic Orchestra
Yellow Magic Orchestra(1978年リリース)
①コンピューター・ゲーム “サーカスのテーマ” ②ファイアークラッカー ③シムーン ④コズミック・サーフィン ⑤コンピューター・ゲーム “インベーダーのテーマ” ⑥東風 ⑦中国女 ⑧ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージック ⑨マッド・ピエロ ⑩アクロバット
【アルバムについて】
YMOは1979年発表のアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』およびその中のシングル「テクノポリス」、「ライディーン」で一躍その名を有名にしたが、何故ヒットしたのかというと当時の小学生や中学生が「テレビゲームと同じ音」ということに狂喜したからなんじゃないかと思っている。俺もこの頃は11歳で、同じ時期に「スペースインベーダー」や①にも出てくる「サーカス」(俺の近所の店にあったのは「風船割り」という名前のゲームだった)やちょっと遡って「ブロック崩し」などのテレビゲームが出始めてきた頃で、テレビゲームとYMOの登場を同時に体験したことは、リアルタイムだからこそ衝撃がものすごくデカいもので、その時代に生きたことを俺はとても喜ばしく思う。今みたいに音楽性が多様ではなかった時代に起こった事件と言っても良かったんじゃないかな。YMOがいなかったら今活躍している、例えば石野卓球だって存在していなかったかもしれないしね。
【オススメ度】★★★★☆
このデビュー・アルバムが出たころはさほど話題にならず、アメリカ向けにリミックスしたUSバージョンの方が有名になってしまった。俺も『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』よりも後にUSバージョンを聴いて、この日本盤は大人になってからようやく聴いた。何が違うのかというと、USバージョンには⑥にサンディ(サンディ&ザ・サンセッツ)のスキャットとヴォーカルが入っているのと、⑩がカットされているというのと、全体的にクリアな音になっているといったところなので、初めて聴くならUSバージョンのほうがキャッチーではあるかもしれない。なお、輸入盤では現在この日本盤とUSバージョンをカップリングした2枚組もある。(下のリンクのCDがそれだから買っておけw)(h)
【kakudayaの感想】
当時、これだけの電子楽器を使って音楽を作ることにどれだけのコストが発生したのだろうか。それを使い倒して作られた当時最先端の音楽。そのサウンドそのものは電子的とはいえデジタルという言葉から程遠く、アナログ的な温かみすら感じる。実際、当時のメディアはアナログレコードやカセットテープだったわけで。
現代であればノートパソコン一台あれば当時以上の環境を容易に入手できるわけだが、当時の電子楽器を含めこれらはあくまでツールであり、環境さえあれば素晴らしい音楽ができるというものではない。ただ、いつ誰が素晴らしい音楽を創り出してもおかしくはない、ということだけは理解しているつもりだ。
①~③までが聴けます
2013年9月22日日曜日
フー・ファイターズ / フー・ファイターズ
Foo Fighters / Foo Fighters(1995年リリース)
①This Is a Call ②I'll Stick Around ③Big Me ④Alone + Easy Target ⑤Good Grief ⑥Floaty ⑦Weenie Beenie ⑧Oh, George ⑨For All the Cows ⑩X-Static ⑪Wattershed ⑫Exhausted
【アルバムについて】
俺の中で最重要なバンドになり得た存在、それがフー・ファイターズ。でも、そうはならなかった。この1stアルバムのD.I.Y.感、続く2ndアルバム『ザ・カラー・アンド・ザ・シェイプ』の完全無欠感、大好きだった。3rdアルバム『ゼア・イズ・ナッシング・レフト・トゥ・ルーズ』で何かが変わってしまった。
カート・コバーンの死とニルヴァーナの活動停止は、埋もれていたデイヴ・グロールの才能を世に知らしめるフー・ファイターズ始動の切っ掛けとなった。ニルヴァーナでドラムに徹していたデイヴは、ニルヴァーナのシングル『ペニーロイヤル・ティー』にて自作の「マリーゴールド」を披露するが、そこでは手の内を見せなかったのだ。デイヴはひとりでコツコツと作り上げた音源をこの1stアルバム『フー・ファイターズ』としてリリースする。その後、ドラムスティックをギターに持ち替え、パット・スメアとサニー・ディ・リアル・エステイトのリズム隊を迎え入れ、ツアーに出られるバンドとしてフー・ファイターズを形作った。従って、この1stアルバムにデイヴ以外のバンドのメンバーは参加していない。
【オススメ度】★★★★☆
思い入れによる補正が強すぎるが、フー・ファイターズの中で一番好きなのがこの1stアルバムだ。でも未聴の方は、2ndアルバム『ザ・カラー・アンド・ザ・シェイプ』から入ることをお勧めしたい。(k)
【hiroumiの感想】
もう15年ぐらい前かな、ニルヴァーナもといグランジに傾倒していた知り合いがいて、彼のバンドはニルヴァーナをカバーしていた。フー・ファイターズはやらないのと聞いたら彼はドラマーとしてのデイヴ・グロールをリスペクトして、同じドラマーの彼はバンドではフー・ファイターズを決してやらなかった。俺にはニルヴァーナもフー・ファイターズも同じに聴こえていたのでその拘りが分からなかったけど、もっとちゃんと聴いていればその辺の気持ちも分かったんだろうなと思ったことがあった。で、やっぱり違うものなのか?
2013年9月15日日曜日
ザ・ドアーズ / ハートに灯をつけて
The Doors(1967年リリース)
①Break On Through ②Soul Kitchen ③The Crystal Ship ④Twentieth Century Fox ⑤Alabama Song (Whisky Bar) ⑥Light My Fire ⑦Back Door Man ⑧I Looked At You ⑨End Of The Night ⑩Take It As It Comes ⑪The End
【アルバムについて】
今さら言うこともないんじゃないかというぐらい有名なドアーズのデビュー・アルバム。高校生の時に輸入盤のレコードを買ってきて夢中で聴いたことを思い出す。ジム・モリソンのヴォーカルも美しいと思ったけど、それ以上にレイ・マンザレクのキーボードがバンドの音を決定づけているなと感じていた。ベーシストがいなかったから左手でベースラインを弾いて、右で主旋律を弾くということに若かった俺は驚いた。やはり②は有名曲だし、⑪は歌詞の面から問題作扱いされたりして、そこばかりが目立っているのは仕方のないことなのかな。⑧とか⑩のサイケデリック風なキーボードの音色はどうしてもアニメのデビルマンで似たような音が流れていたりしていたのを思い出すんだけど、誰もそんなこと知らねえか。
【オススメ度】★★★★☆
やはりドアーズと言ったらまずはこのアルバムなんだけど、ここ何年もの俺は初期よりも後期の『L.A.ウーマン』の方が好きなので★はひとつ減らした次第。1stばかりがドアーズじゃないよってことね。2000年代にリマスター再発されたこのアルバムの②は若干ピッチが速いという話を聞いたことがあるんだけど本当だろうか?未だ確認していないので、今後聴くのがちょっと怖いな。(h)
【kakudayaの感想】
もうね、①でノックアウトですよ。ホント。でもね、①の「足毛!足毛!」っていう空耳アワーの作品聞いてしまってから、そのカッコ良さにケチついた感じになってしまいました。俺はこの空耳を知らないほうが幸せだったと思ってるけど、せっかくの機会ですのでここに書いて皆様にも拡散しときます。
2013年9月8日日曜日
アナル・カント / 皆殺しの唄
Anal Cunt / Everyone Should Be Killed(1994年リリース)
01. Some Songs / まず何曲かプレイするからよ!
02. Some More Songs / じゃ、さらにもう数曲聴いてくれ
03. Blur Including New H.C. Song / 新しいハードコア曲入りの雑音はどうだい
04. Even More Songs / そんでもってさらにもう数曲いくぜ!
05. Tim / ティム
06. Judge / ヘイ!柔道
07. Spin Cycle / 回転周期
08. Song #8 / 8曲目ってことじゃないよ
09. Pavorotti / パヴァロッティ
10. Unbelievable / アンビリーヴァブル
11. Music Sucks / 音楽なんてくそくらえ
12. Newest H.C. Song #1 / 新しいハードコア・ソングその1
13. Chiffon and Chips / シフォン・アンド・チップス
14. Guy Smiley / にたにた男
15. Seth / セス
16. "I'm Not Allowed to Like A.C. Any More Since They Signed to Earache" / イヤーエイクと契約するんじゃAxCxもおしまいよ
17. A. Ex. A Blur / コードネームは雑音
18. G.M.O.T.R. / G.M.O.T.R.
19. I'm Wicked Underground / たしかに悪いと思ってるよ
20. Blur Including G / ギター入りの雑音はいかが
21. Shut Up Mike / お黙りマイク
22. Abomination of Unnecessarily Augmented Composition Monickers / 意味のない曲目を沢山付けなきゃならないなんて、もううんざり
23. Radio Hit / ラジオ・ヒット
24. Loser / 敗者
25. When I Think of True Punk Rock Bands, I Think of Nirvana and the Melvins / 真のパンク・ロック・バンドといえば、まずニルヴァーナとメルヴィンズ、なんちゃって
26. Eddy Grant / エディ・グラント
27. MTV Is My Source for New Music / MTVは俺の糧さ
28. Song Titles Are Fucking Stupid / 曲のタイトルなんてバカげてると言っただろ
29. Having to Make Up Song Titles Sucks / だから曲名なんてでっちあげなのよ
30. "Well You Know, Mean Gene..." / ジーンわかるだろ、この意味
31. Song #5 / その5
32. Iron Funeral / 鉄の煙突
33. Chapel of Gristle / 軟骨のチャペル
34. Hellbent for Leatherman / 大急ぎのヤツ
35. Alcoholic / アルコール中毒
36. Chump Change / ほらバカがうつる
37. Slow Song from Split 7" / 前のEPに入ってたスローな曲さ
38. Les Binks' Hairstyle / レ・ピンクス・ヘアースタイル
39. Newest H.C. Song #2 / 次は新しいハードコア・ソングその2だ
40. Greatful Dead / 安楽死
41. Ageing Disgracefully / 老けるとみっともないぜ
42. Brutally Morbid Axe of Satan / 猛り狂った肉棒を
43. Surfer / サーファー
44. You Must Be Wicked Underground If You Own This / これを持ってるあんたが悪い
45. Choke Edge / 先づまり
46. Otis Sistrunk / オーティス・シストランク
47. Russty Knoife / さびたナイフ
48. Fred Bash / フレッドの一撃
49. Guess Which 10 of These Are Actual Song Titles / 実際に存在する10曲はこれらのどれでしょう
50. Our Band Is Wicked Sick (We Have the Flu) / 俺たちゃインフルエンザにかかって凄ぇ具合悪い
51. Guy le Fleur / 花男
52. Song #3 / その3
53. Empire Sandwich Shop / 帝国サンドイッチ・ショップ
54. Morrissey / モリッシー
55. Selling Out By Having Song Titles on His Album / 今回は曲名をつけたから大ヒット
56. Grindcore Is Very Terrifying / グラインドコアなんてぞっとするよ
57. Song #6 / その6
58. Guy Lombardo / ロンバルジアのひと
【アルバムについて】
T/O(タイトルオンリー)。
【オススメ度】☆☆☆☆☆
オススメしません。(k)
【hiroumiの感想】
邦題だけで1つの記事になるねこれはw
11分間で5643曲を収録したEPってあったよね?そこまでいくとなんじゃそりゃって気にもなるが、影響力は大きいかと思う。ヴォーカルの人がドラッグで死んじまったからもう解散しているのが残念だが。
2013年9月1日日曜日
デフ・レパード / オン・スルー・ザ・ナイト
Def Leppard / On Through The Night(1980年リリース)
① Rock Brigade ②Hello America ③Sorrow Is A Woman ④It Could Be You ⑤Satellite ⑥When The Walls Came Tumbling Down ⑦Wasted ⑧Rocks Off ⑨It Don't Matter ⑩Answer To The Master ⑪Overture
【アルバムについて】
デフ・レパードがデビューした時はNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・へヴィ・メタル)の担い手としてアイアン・メイデンやサクソンと共に出てくる名前だったが、今の耳で聴くとへヴィ・メタルという感じはしない。だけど俺の記憶では80年代最初の頃はこれがへヴィ・メタルと言われた音だった。アイアン・メイデンだって初期の音はスカスカだしねw バンドメンバーたちはNWOBHMに括られるのは嫌だったようで、それは後の3枚目のアルバム"Pyromania(邦題『炎のターゲット』)"や4枚目の"Hysteria(邦題『ヒステリア』)"といったアルバムの世界的大ヒットによってメロディックなハード・ロック・チューンを主体とした独自の路線を突き進むことになる。デビュー時からすでにアメリカのマーケットを意識していたのかなと②のタイトルから思ったりするけどね。ただアイアン・メイデンやサクソンと言ったバンド達と比べると、デフ・レパードのデビュー時というのはあまり話題にはなっていなかったかもしれない。このアルバムだって日本盤が出たのは後に『炎のターゲット』がヒットしてからじゃなかったかな。そこはちょと記憶が曖昧だけど。
【オススメ度】★★★☆☆
本文にも書いた『炎のターゲット』や『ヒステリア』を聴いて好きになった人だったら聴くべきアルバムではあるが、最初の1枚としては全くオススメしない。余談だが、このアルバムのタイトルとなっている"On Through The Night"という曲が2枚目の"High'N'Dry(邦題『ハイ&ドライ』)に入っているが、改めて聴いてみてデビューアルバムの色とはちょっと違うから2枚目に入れたのかなと思った。(h)
【kakudayaの感想】
俺が学生時代にメタルな友人からHR/HMの手ほどきを受けるために借りたCDのうちの一枚が、デフ・レパードの『ヒステリア』だった。他にはボン・ジョヴィ、ストライパー、グレイト・ホワイト、ナイト・レンジャーなど。で、デフ・レパードと言えば、やっぱり『ヒステリア』収録の「アーマゲドン・イット」の空耳と、あとはドラマーのリック・アレンが片腕なのにスゲェ!ってぇのと、えーと、あと何だろ…。うーんと、とりあえず初期の頃はオーソドックスなハードロックだったんだなぁという感想です。
2013年8月25日日曜日
ブッシュ / シックスティーン・ストーン
Bush / Sixteen Stone(1994年リリース)
①Everything Zen ②Swim ③Bomb ④Little Things ⑤Comedown ⑥Body ⑦Machinehead ⑧Testosterone ⑨Monkey ⑩Glycerine ⑪Alien ⑫X-Girlfriend
【アルバムについて】
グランジそのまんまのサウンドを出す英国出身のバンドなんて、最初は冗談なのかと思った。⑤などで顕著なサビでダイナミックに盛り上がる曲の構成は、過去幾多のバンド達が使ってきたものだ。ニルヴァーナの焼き直しなんて言われたりするけど、この1stアルバムに収録された楽曲はよくできてて、フロントマンのキャヴィン・ロスデイルのルックスの良さもあってヒットした。その結果、「BU$H」なんて揶揄される始末である。ブッシュはシルヴァーチェアーの純真さも可愛げも持ち合わせてはいないが、個人的にはパドル・オブ・マッドよりはマシだと思う。因みに2ndアルバムのプロデューサーにスティーヴ・アルビニを起用するなど徹底してニルヴァーナを意識していたが、この1stアルバム以降の人気は下降の一途をたどるのみ。2010年に再結成され、現在も活動中らしい。
【オススメ度】★★☆☆☆
あまりにニルヴァーナ・ワナビー過ぎた。結局はノー・ダウトのグウェン・ステファニーの旦那のバンドって位置付けにしかならず、残念でした。さて、ここまででニルヴァーナと何回記述したでしょう?(k)
【hiroumiの感想】
曲を聴いて思い出した!その昔、友人が「ニルヴァーナのコピーバンド」と言って怒っていたことがあって、そうだよこのバンドだよw イギリスのバンドならイギリスっぽいことやれとか言ってたんだが、俺はここでも何度か書いていると思ったけど90年代以降のUKロックが嫌いなので、当時このアルバムの曲を友人の車の中で聴きながら「悪くないじゃん」なんて思っていたのだけど、彼が怒っていたから何も言わなかった。俺もその時だけしかこのアルバムを通して聴いなくて、グランジも実のところブームになっちゃってどうでもいいやという気持ちだったんだよね。20代半ばの話。
2013年8月18日日曜日
イギー・ポップ / ジ・イディオット
Iggy Pop / The Idiot(1977年リリース)
①Sister Midnight ②Nightclubbing ③Funtime ④Baby ⑤China Girl ⑥Dum Dum Boys ⑦Tiny Girls ⑧Mass Production
【アルバムについて】
ザ・ストゥージズが自然消滅のように終わった後、イギー・ポップが約3年のブランクを経て発表したソロ・アルバム。このアルバムにはデヴィッド・ボウイが大きく関わっていて、ちょうどボウイの『ロウ』や『ヒーローズ』などのベルリン期と同じような音を踏襲した作りとなっている。だからパンクなイギーを期待して聴くと大外れではあるけど、そういった事情なんかを踏まえて聴くと大変素晴らしい作品だというのが分かると思う。そういえばかつて某音楽評論家がこのアルバムをして「パンクロッカーから知的なロッカーへ変貌」と表現していたんだけど、俺は今でもこれには首をかしげてしまう。イギーにとってはカムバックするチャンスがそこにあって、たままたそれに乗っかっただけだと思うんだよね。こういう音楽性を目指していたわけじゃないだろうし。イギー好きなのは分かるけど、それは言い過ぎだろうと、イギー好きな俺は思います。
【オススメ度】★★★★★
イギー・ポップのアルバムはどうしてもザ・ストゥージズの延長っぽいものになってしまって、特に近年のは食傷気味な感もあった。やはりそういう彼の音楽性を考えるとある種異端であるこのアルバムは絶対に聴いておいたほうがいいかなと思う。それと次作の"Lust For Life"も。(h)
【kakudayaの感想】
当時を全く知らない者としては、デヴィッド・ボウイの先進的なファッションセンスと、イギー・ポップの肉体という相対するヴィジュアルイメージが先行してしまい、この二人の共通項が未だに見出せないでいる。ちょっとウェットで耳障りなスネアの音がどれだけ繰り返されようと、ギャンギャン唸るギターとそこに乗っかるイギーの声があれば、ストゥージズを思い起こさせる。こういうよくわからないジャケットの写真、大好きです。
2013年8月11日日曜日
マーズ・ヴォルタ / ディラウズド・イン・ザ・コーマトリアム
The Mars Volta / De-Loused in the Comatorium(2003年リリース)
①Son et Lumière ②Inertiatic ESP ③Roulette Dares (The Haunt of) ④Tira Me a las Arañas ⑤Drunkship of Lanterns ⑥Eriatarka ⑦Cicatriz ESP ⑧This Apparatus Must Be Unearthed ⑨Televators ⑩Take the Veil Cerpin Taxt
【アルバムについて】
オルタナ、ポストハードコア的なアット・ザ・ドライヴイン(ATDI)のVo.とG.が立ち上げた、より実験的表現を求めるバンド、マーズ・ヴォルタ。プログレ、ハードロック、ジャズ、フュージョンなど、本人たちの好き勝手にさまざまな要素を詰め込み過ぎて、それぞれのジャンルのファンからは見向きもされなくなっている嫌いもあるのではないだろうか。前身のATDIにはなかった、俺の琴線に触れるメロディがこの作品には溢れるように存在しており、7分を超える③や⑤を一気に聴かせてしまう独特の勢い、雰囲気がある。ATDIを含めライヴバンドであり、解散してその楽曲をライヴで体験できなくなってしまったことは本当に残念。
【オススメ度】★★★★☆
★5つと言いたいところだが、そのパフォーマンスを生で拝めなくなってしまったので★をひとつ減らす。ATDIと同じく一時的でもいいから再結成して欲しい。(k)
【hiroumiの感想】
ああ、このジャケットのバンドか!当時、このジャケットを見て「センス悪っ!」と思ってそれっきりだったなぁ。2008年の"Bedlam in Goliath"は少しだけ聴いていいねと思っていたけど、まさか同じバンドのアルバムだったとは。そう、このアルバムのジャケットだけで判断したものだから、これがマーズ・ヴォルタのアルバムだったとは、ここで初めて知った。でも"Bedlam in Goliath"は若干プログレっぽさがあったような気がするから、ちょっと聴き比べてみないと俺はなんとも言えない。下のYouTubeに貼られた②は良い。
2013年8月4日日曜日
ブラック・フラッグ / Damaged
Black Flag / Damaged(1981年リリース)
①Rise Above ②Spray Paint ③Six Pack ④What I See ⑤TV Party ⑥Thirsty And Miserable ⑦Police Story ⑧Gimmie Gimmie Gimmie ⑨Depression ⑩Room 13 ⑪Damaged II ⑫No More ⑬Padded Cell ⑭Life Of Pain ⑮Damaged I
【アルバムについて】
USハードコア・パンクを聴くなら必須の1枚。1976年に結成されたにも関わらず、最初のアルバムが出たのは1981年。それまでに何度もメンバーチェンジを行い、ヘンリー・ロリンズですでに4代目のヴォーカリストである。それまで全米をくまなく回りライヴに明け暮れ、Do It Yourself の精神を貫いたことでその後のインディー・バンドの基盤を作ったのは彼らであることは間違いない。このアルバムではハードコア・パンクというだけでなく、後のグランジにも通じる重さが加わった唯一無二の存在となっている。
【オススメ度】★★★★★
これを聴かないのであればUSハードコアは聴いていないに等しいと思う。続く"My War"ではすでにハードコアという枠を超えてしまっているが、このアルバムはそれまでのシングル中心のパンクとのバランスが絶妙だ。とにかく聴いとけ。(h)
【kakudayaの感想】
俺が初めて聴いたハードコア。インディペンデントとかD.I.Y.とか大事だけど、そういうのを全てどうでも良いと思わせる勢いが本当に凄まじい。マッチョとかストロングスタイルとかパワーバイオレンスとかいう言葉とは距離を置きたいナード気質な俺だけど、大好きです。
2013年7月28日日曜日
トゥール / アンダートゥ
Tool / Undertow(1993年リリース)
①Intolerance ②Prison Sex ③Sober ④Bottom ⑤Crawl Away ⑥Swamp Song ⑦Undertow ⑧4° ⑨Flood ⑩Disgustipated
【アルバムについて】
5月に開催されたオズフェストで来日したばかりのトゥールの1stアルバム。下に貼った②の映像やアルバムのアートワークなどを見てもらえばわかるように、音楽そのもの以外にも独自の世界観を構築し、この時点で既にコンセプチュアルなトゥールというアーティストの骨子は固まっていたことがわかる。一方、そのサウンドには続く2ndアルバム『アニマ』以降に見られるトゥール独特の洗練された空気がまだ醸成されておらず、良い意味での隙があるようにも感じる。この『アンダートゥ』より前に『オウピエット』というE.P.をリリースしており、初めての音源という意味での1stアルバム的価値は微妙かも。
【オススメ度】★★★☆☆
トゥールを初めて聴くという方には、2ndアルバム『アニマ』以降を先に聴くことをお勧めしたい。(k)
【hiroumiの感想】
過去にキング・クリムゾンとツアーをしたとか、そういう話題で名前は長らく知っていて、その際に「インダストリアル」みたいな印象もあって、俺の興味には引っかからないバンドかなとずっと思ってきた。こうして下のYouTubeの曲を聴くと悪くないし、俺が20歳ぐらいだったらきっと夢中になって聴いていたんじゃないかと思う。でもアルバム1枚ぐらいは聴いてみようかなという気になっているので、早めに入手しないと気が変わっちゃうかもしれない。
2013年7月21日日曜日
U.K. / 憂国の四士
U.K.(1978年リリース)
①In The Dead Of Night ②By The Light Of Day ③Presto Vivace And Reprise ④Thirty Years ⑤Alaska ⑥Time To Kill ⑦Nevermore ⑧Mental Medication
【アルバムについて】
元キング・クリムゾンのジョン・ウェットンとビル・ブラッフォード、フランク・ザッパのバンドにも在籍したエディ・ジョブソン、そしてアラン・ホールズワースの4人によるバンドのデビュー・アルバム。「どプログレ」な演奏が満載な複雑な演奏、そして俺にとってはエディ・ジョブソンのキーボードがプログレを彷彿とさせる。①~④が組曲的になっているところなんかも。しかしブラッフォードとホールズワースはもっとジャズ寄りなものをやりたいということでこのアルバムだけで脱退しちゃうというのもメンバーチェンジの激しいプログレッシブ・ロックならではというところか。あと、俺は人に「UKロックは嫌いだけど、ブリティッシュ・ロックは好き」というようなことを言うのだけど、これは典型的ブリティッシュ・ロックだと思う。様式美というものが曲の至る所で感じるからだ。バンド名はUKなんだけどね。
【オススメ度】★★★★★
スタジオ録音のアルバムは2枚しかないからどちらも聴くべし。ビル・ブラッフォードのドラムが好きならこっち、テリー・ボジオのドラムが聴きたかったら2枚目の『デンジャー・マネー』を。(h)
【kakudayaの感想】
当時は電子楽器って未来的なサウンドだったはずなのに、今聴くとどうしてこんなに時代を感じさせるものになるのでしょうか。このバンドに限らず、プログレとか長くて複雑な音楽を聴いていると、良い意味でも悪い意味でもパンクロック的な衝動ってのが理解できる気がします。ってネガティヴに捉えられてしまうような感想でゴメンなさい。
2013年7月14日日曜日
アラニス・モリセット / ジャグド・リトル・ピル
Alanis Morissette / Jagged Little Pill(1995年リリース)
①All I Really Want ②You Oughta Know ③Perfect ④Hand In My Pocket ⑤Right Through You ⑥Forgiven ⑦You Learn ⑧Head Over Feet ⑨Mary Jane ⑩Ironic ⑪Not The Doctor ⑫Wake Up ⑬You Oughta Know (Alternate Take)
【アルバムについて】
カナダ出身のシンガーソングライター、アラニス・モリセットがマドンナ主催のレーベルMaverick Recordsよりリリースした世界デビューアルバム。実はそれ以前にカナダ国内向けに2枚の作品をリリースしており、正確には1stアルバムではない。化粧っ気のないオバチャン顔、伸ばしただけの長い髪、カジュアルな服装、さらにその赤裸々な歌詞から、モテない少女たちの絶大な支持を得る。彼女の高い作曲能力と当時のオルタナティヴロックの影響をモロに受けたサウンドがマッチし、6曲もシングルカットされるような完成度の高いアルバムとなった。それゆえセールス面で彼女は未だにこの作品を超えることができていないが、音楽活動をするにはそれぐらいの方が好きなことができてちょうどいいと思う。蛇足だが②にはレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーとデイヴ・ナヴァロ(当時)が参加している。
【オススメ度】★★★★★
まずはこの作品を聴いてみて、次に『アンプラグド』あたりに手を出すのが吉。(k)
【hiroumiの感想】
前にパティ・スミスのアルバムのことを書いた時に俺は「他の女性ミュージシャンは結局のところ「女」を売りにしているようにしか見えなかったが、パティ・スミスはその辺の男よりも遥かにロックン・ロールを体現してきたと思う」と言ったが、これは実はこの人の事を真っ先に思い出して書いたものだった。そんな明確で具体的な理由はないけど、アルバムを重ねるごとにそんな感じがしたからだ。で、この1stアルバムが出たころってパティ・スミスを引き合いに出して書かれている記事があって「ふざけんなよ」と思ったことがあったからなおさらだ。でもこうして聴いてみると結構よかったりする。今だったら聴けるかなw
2013年7月7日日曜日
ペット・ショップ・ボーイズ / ウエスト・エンド・ガールズ
Pet Shop Boys / Please(1986年リリース)
①Two Divided By Zero ②West End Girls ③Opportunities(Let's Make Lots Of Money) ④Love Comes Quickly ⑤Suburbia ⑥Opportunities(Reprise) ⑦Tonight Is Forever ⑧Violence ⑨I Want A Lover ⑩Later Tonight ⑪Why Don't We Live Together?
【アルバムについて】
元雑誌社の記者と学生だった2人が同じペットショップで働いていたことがあったという理由でこのグループ名になったそうだが、このアルバムが出た当時はイギリスではかなり辛口な評価だったと思う。俺もきっとアルバム1枚か2枚で終わるだろうなと思っていたが、まさか今も活動しているとはね。「ゴー・ウエスト」が代表曲のようになっているけど、このような曲を期待してこのアルバムを聴くと恐らく失敗したと思う事だろう。80年代半ばも過ぎるとヒットチャートにはダンス系の楽曲が多くなってきたが、その中においてこの暗さははっきり言って浮いている。だけど俺は当時②や④のヒットのおかげでこのアルバムを聴くことができたし、1986年のアルバムの中でも上位に入るクオリティだと思っている。
【オススメ度】★★★☆☆
最近の作品かベストを聴けばいいんじゃないかと思う。(h)
【kakudayaの感想】
シンセサイザーとかドラムのサウンドがどうしても80年代を思い起こさせてしまう。当時、こんなラップはさぞ新鮮だったのではないでしょうか。
2013年6月23日日曜日
ラモーンズ / ラモーンズの激情
Ramones(1976年リリース)
①Blitzkrieg Bop ②Beat on The Brat ③Judy Is A Punk ④I Wanna Be Your Boyfriend ⑤Chain Saw ⑥Now I Wanna Sniff Some Glue ⑦I Don't Wanna Go Down To The Basement ⑧Loudmouth ⑨Havana Affair ⑩Listen To My Heart ⑪53rd & 3rd ⑫Let's Dance ⑬I Don't Wanna Walk Around With You ⑭Today Your Love, Tomorrow The World 他ボーナストラック8曲
ラモーンズについて誰もが最初に持つであろう印象は「曲がみんな同じに聴こえる」だと思う。「ワン・トゥ・スリー・フォー」のカウントでダダダダーッと始まって同じようなリフで速くてすぐ終わっちゃうんだから。だけどそれを21年もやってきたわけだ。そんなに長くやっていれば多少の方向転換もするだろうに、ラモーンズはひたすら同じことをやってきた。もっと細かく見ればほんの少しは変化をつけてるなってのはあるけど、そんなことは正直どうでもいい。ラモーンズは偉大なるワンパターンを貫いてきた。それだけでも手放しで絶賛したい。
そんなラモーンズの印象はこの1stアルバムですでに決定づけられている。3分を超える曲がないので、オリジナルのアルバムは14曲入っていても収録時間は30分足らず。油断しているとすぐに聴き終わってしまう。曲について「速い」と書いたが、ハードコア・パンクの速さには及ばないのは言うまでもない。しかし70年代でこれだけ速いテンポの曲を立て続けにやるバンドというのはいなかっただろう。そしてそれらはキャッチーなメロディの曲が多いから立て続けに曲をやられても何の曲かだいたい分かるというところもすごい。ただ、このアルバムは若干音がスカスカで軽い感じがする。俺はもっと重いものを求めていたから、ラモーンズ自体あまり熱心に聴かずに歳をとってしまった。今は曲が短くてシンプルでキャッチーなところがものすごく好きなんだけど。
今だから正直に告白すると、かつて俺はラモーンズって兄弟でやっているのかと思っていた。だってしょうがないだろ、みんな苗字がラモーンなんだからw まさかそういうコンセプトとは思いもしなかったし、それを知ったときは笑ってしまった。しかもメンバー皆が革ジャンにジーンズという格好で統一していて、誰が何ラモーンなのかとかチンプンカンプンだったし、そもそも俺はジョーイ・ラモーンしか名前を認識していなかった。しかもその格好といい、ジョーイの長髪なんかのむさ苦しさも加わって、いったいどこからラモーンズに入っていけばいいのやらという感じだった。それら全部ひっくるめてカッコいいのに、俺は何で10代20代でそれに気づかなかったのだろうと思う。
『ラモーンズの激情』はその後続く偉大なるワンパターンの始まりであり、多くの人が影響を受けたと思う。あまりにも有名な①は遠藤ミチロウがザ・スターリンの「豚に真珠」で似せているし、②はソニック・ユースとU2が、⑨はレッド・ホット・チリ・ペッパーズが、そして⑪はメタリカがというように、ほかにも多くのミュージシャンがこのアルバムの曲をカバーしている。①はもちろん好きな曲だが、俺は⑬と⑭の盛り上がり方が好きだ。そして面白いなと思うのは、曲名を見ると"I Wanna ~"とか"I Don't Wanna ~"という曲名がいくつかあること。これはこのアルバムだけでなく、以降のアルバムにも度々でてきて、どんだけ「○○したい」とか「○○したくない」なんだよって思ってしまう。しかしそのストレートな言い方が俺は好きだ。
今はジョーイもジョニーもディーディーもこの世にいない。ひたすら同じスタイルで突き進むというのはある意味濃いのだろうから、やっぱり濃い人生を送った人ってのはあっという間に逝ってしまうのかなと思ったりする。(h)
【イチオシの曲】Blitzkrieg Bop
やはりラモーンズといえば「電撃バップ(邦題)」でしょう。ヘイ・ホー・レッツゴー!
2013年6月16日日曜日
エアロスミス / 野獣生誕
Aerosmith / Aerosmith(1973年リリース)
①Make It ②Somebody ③Dream On ④One Way Street ⑤Mama Kin ⑥Write Me a Letter ⑦Movin' Out ⑧Walkin' the Dog
エアロスミスを初めて認識したのは、テレビ朝日系列のテレビ番組『タモリ倶楽部』の「空耳アワー」で聴いた「八ッつぁん 入れ歯のじじい♪」という作品にて。これは、1987年リリースの9thアルバム『パーマネント・ヴァケイション』収録の「ラグ・ドール」の歌詞'Hot time get it while it's easy'が空耳でそう聞こえるというものだった。
んで、その少し後、1993年リリースの11thアルバム『ゲット・ア・グリップ』がヒットした。当時高校生だった俺は、1989年リリースの10thアルバム『パンプ』、『パーマネント~』と少しずつ遡り、1977年リリースの5thアルバム『ドロー・ザ・ライン』、1976年リリースの4thアルバム『ロックス』、1975年リリースの3rdアルバム『闇夜のへヴィ・ロック』、そして1973年リリースの1stアルバム『野獣生誕』に辿り着いた。それにしても『野獣生誕』とは何という邦題なんだろうか。それはさておき、その中身がどうかと言えばこのどうしようもないサウンドプロダクション。ブルースなんてものはよくわからないけど、この泥臭い感じがそうなのだろう。また、この音は俺に初期グランジサウンドを思い起こさせる。語弊を覚悟で言えば、全く洗練されていない出来損ないのハードロックであった頃の初期グランジに近いものがあると思う。予算的にも限られたものがあったのだろうが、それが何とも言えない味わいとなっている。
1973年のリリース当時、この1stアルバムは注目を集めることができなかった。しかし地道なライヴ活動と、後にシングルカットされた③が評価され、この1stアルバムも再発売されるまでこぎ着けたのだ。その際にはジャケットが差し替えられ、メンバーの写真部分がクローズアップされると共にロゴの下に'Featuring "Dream On"'と書き加えられた。⑧を除く7曲の作曲にスティーヴン・タイラーが関わり、著名な③以外にも⑤はガンズ・アンド・ローゼズがカバーしたことで有名である。①②④⑥⑦も素晴らしく、4thアルバム『ロックス』あたりと比べると疾走感はないものの、曲数が少ないため繰り返し聴いてしまいがち。⑧はルーファス・トーマスのカバー。実はローリング・ストーンズの1stアルバムもこの曲のカバーで締めくくっており、ストーンズを意識していたものと想像できる。
バンドは何度かの黄金期と危機を繰り返しながらも乗り越え、『パーマネント~』以降はデビュー時のラインナップを維持、1998年の映画『アルマゲドン』のテーマソングとなった「ミス・ア・シング」や、2002年にリリースされたエミネムのアルバム『ザ・エミネム・ショウ』収録の'Sing For The Moment'では③のコーラスがサンプリングされるなど注目を集め、現在に至るまでその人気を維持している。今年2013年の夏には来日も予定されており、40年も前に完成させた1stアルバムのメンバーが今も最前線で活躍していることに驚嘆すると共に頼もしく、嬉しくもある。
一方、個人的には9thアルバム『パーマネント~』以降のビッグロック的なサウンドプロダクションは11thアルバム『ゲット・ア・グリップ』までで食傷気味に。ちなみに当時の俺は、LDでもリリースされたエアロスミスのPV集『ビッグ・ワンズ』を購入し、PVに登場するアリシア・シルヴァーストーンとリヴ・タイラー(スティーヴン・タイラーの娘)にメロメロだった。と言いながらもエアロスミスで一番好きなアルバムは3rdアルバム『闇夜の~』で、この1stアルバムはその次くらいに好き。思い入れの部分も大きいが、それくらい愛着が持てる作品に仕上がっている。活動期間が長いだけにたくさんの作品があるが、エアロスミスに興味を持った方はその原点も是非チェックしてほしいと思う。(k)
2013年6月9日日曜日
ティアーズ・フォー・フィアーズ / ザ・ハーティング
Tears For Fears / The Hurting(1983年リリース)
①The Hurting ②Mad World ③Pale Shelter ④Ideas As Opiates ⑤Memories Fade ⑥Suffer The Children ⑦Watch Me Bleed ⑧Change ⑨The Prisoner ⑩Start Of The Breakdown
ティアーズ・フォー・フィアーズ(以下TFF)の2人の写真を最初に見たのは彼らの大ヒットした2ndアルバム"Songs From The Big Chair(邦題『シャウト』)"で、それを見た時に俺は何故かこの2人をナイーブな人たちなんじゃないかと思った。なぜそう感じたのかは今では覚えていないが、それはこの1stアルバムを聴いて、あながち外れてはいないなと思った。
TFFの2人、ローランド・オーバザルとカート・スミスは共に両親が離婚した家庭で育ち、学生時代に意気投合してバンドを始めたという。片親しかいないというのが2人にとってはある種のトラウマだったのか、この時期の彼らの音楽の原動力となっていたそうだ。それがこの1stアルバムには表れていて、曲のタイトルからもハッピーな要素はどこにもない。アルバム・タイトルからして「痛めつけること」だし、そのせいかどうしても全体的に「痛み」を伴う雰囲気に覆われているような印象を受ける。俺はその内省的な内容はジョイ・ディヴィジョンに通じるものがあると思っているけど、両者の見られ方かして、これは多くの人に否定されそうな気がする。ジャケットは⑥に合わせているのだろうか。発表当時は川辺で佇む2人の写真だったけど、いつのまにか変更されていた。そんな内容ではあるけど、イギリスでは②③⑥がヒットしたことでアルバムも1位を記録した。俺は『シャウト』でTFFを知り、最初はレコードをレンタルしたきたのだけど、モノクロの2人のポートレートが好きですぐに輸入盤のアルバムを買ってきた。それと同じころにこの1stアルバムも聴いたけど、TFFの本質を感じたのは1stだったような気がする。シンセポップとアコースティックをうまくミックスした楽曲の切なさと暗さ、それは俺が最初に『シャウト』のジャケットを見て感じたTFFの2人のナイーブな青年という印象と見事にイコールで結ばれたのだ。
その後、彼らは音楽性に行き詰って、たまたま見て気に入った黒人シンガーを入れて"The Seeds Of Love(邦題「シーズ・オブ・ラヴ」)"をリリースしてこれも大ヒットさせたけど、以降はローランドとカートの仲が悪くなってカートが脱退という最悪なことが起こってしまった。ローランドがTFFの名前を引き継いでアルバムを出していたけど、正直俺にはもはやTFFでは無いように感じてしまい、すっかり聴かなくなってしまった。実を言うと、『シーズ・オブ・ラヴ』も出た時にすぐにアルバムを買ったけど、いまいちなじめずすぐに手放してしまった。だから俺にとってはTFFは最初の2枚だけで止まったようなものだったし、きっと俺と同じような人が世界中にたくさんいるんじゃないかと思っている。しかし2000年以降に2人が接近している噂を聞き、それが現実のものになったのは驚いた。2004年に15年ぶりに2人揃ったアルバム"Everybody Loves A Happy Ending"をリリースしたのだから。俺は数回しか聴いていないけど、やはり2人揃ったTFFってだけで印象がはるかに違う。しかも「誰もがハッピーエンディングが好き」と言えるなんて、初期の悩み多き青年たちも大人になったんだなと、勝手なことを思ったりする。
先にも書いたように、TFFは恐らくこのアルバムで言いたいことをすべて言ってしまったのかもしれない。アルバムには収録されていないが、これに続く"The Way You Are"という曲をシングルで出したもののそれはヒットせず、すでにここで一旦リセットして『シャウト』に繋げている。そして『シーズ・オブ・ラヴ』でも同じような流れだから、限界がきたのもうなづける。だからTFFの最初の3枚のアルバムはすべてタイプが違うのも当然。音の重さは『シャウト』だけど、楽曲の儚さ、切なさは『ザ・ハーティング』だろう。俺はこのどちらも好きなので、そろそろ20数年ぶりに『シーズ・オブ・ラヴ』を聴きなおして再評価したいなと考えている。(h)
【イチオシの曲】Pale Shelter
このアルバムの楽曲はどれも素晴らしいんだけど、一番切なさが伝わってくるのはこの曲かな。それはただ単に音の感じがって意味で。ヴォーカルはカート・スミス。興味がある人は他に"Change"と"Mad World"なんかも試聴してみるといいと思う。ちなみに本文で触れた"The Way You Are"という曲はこのアルバムのボーナストラックとして今は聴くことができる。
2013年6月2日日曜日
ビキニ・キル / プッシー・ホイップド
Bikini Kill / Pussy Whipped (1993年リリース)
①Blood One ②Alien She ③Magnet ④Speed Heart ⑤Lil Red ⑥Tell Me So ⑦Sugar ⑧Star Bellied Boy ⑨Hamster Baby ⑩Rebel Girl ⑪Star Fish ⑫For Tammy Rea
90年代初頭、グランジ/オルタナティヴと呼ばれる音楽がメインストリームをひっくり返して行く中で、ライオット・ガール(Riot Grrrl)と呼ばれるフェミニスト達のムーブメントが注目を集めた。そのライオット・ガールの始祖的なバンドのひとつであるビキニ・キルは、グランジの代表格であるニルヴァーナのカート・コバーンの元カノであるトビ・ヴェイルが居たバンドで、カートのフェミニズム的な思想は彼女からの影響が大きいと言われている。また、ビキニ・キルの中心人物であるキャスリーン・ハンナは、ニルヴァーナの代表曲「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」のインスピレーションをカートに与えた人物としても知られている。グランジ/オルタナティヴな見た目とサウンドを放つホール、L7やベイブス・イン・トイランドといった女性を中心としたバンドが有名なライオット・ガールとして取り上げられるケースもあるが、ライオット・ガールなバンドと言えばまずビキニ・キルの名が挙がって然るべきだろう。
ビキニ・キルのアルバム『プッシー・ホイップド』は、インディレーベル「キル・ロック・スターズ」より93年にリリースされた。これに先立ち、91年には8曲入りの自主製作カセットテープ『レヴォルーション・ガール・スタイル・ナウ!』を、92年にはセルフタイトルのE.P.を、93年にはハギー・ベアとのスプリットアルバム『ヤー・ヤー・ヤー・ヤー』をリリースしている。また、92年のE.P.と93年のスプリットアルバムの音源をコンパイルした『ザ・C.D.バージョン・オブ・ザ・ファースト・トゥー・レコーズ』を94年にリリースしている。
今回、記事を書くにあたってビキニ・キルの1stアルバムに相当するのがどの作品なのかについて少々悩んだが、ここではLPとCDでリリースされた初めてのフルレングスアルバム『プッシー~』を取り上げることにした。Wikipediaに記載されたビキニ・キルのディスコグラフィーでは、1stアルバムを『レヴォルーション~』としているし、活動初期のまとまった音源としては『ザ・C.D.~』を取り上げる方が本ブログの主旨に適するかもしれないが、俺の独断と偏見で『プッシー~』を選ばせてもらった。また、ビキニ・キルの作品は日本盤がリリースされたことがなく、基本的に輸入盤となる(輸入盤に帯とライナーノーツを付けたものがリリースされたことはあったようだ)。ここまで作品のタイトルをカタカナ表記させてもらったが、不適当なものもあるかもしれない点をご了承いただきたい。
この『プッシー~』がリリースされるまでに、ビキニ・キル結成から3年ほど活動していることになるが、その間の演奏能力に大きな進歩はなく、その音からは初期衝動というか凄まじい勢いを感じる。自分自身のアイデンティティに葛藤する②、男女関係における不平等感に対する怒りや悲しみといった感情を楽曲にして叩き付け続ける⑤、⑦、⑧など、英語のヒアリング能力が全くない俺でなくても彼女達の叫びを聞き取ることは難しいだろう。特に⑨の歪まくったトビの叫びは痛々しくすら感じる。しかし、赤裸々で攻撃的な内容である歌詞を男性である俺が聞き取ることができないのは悪い意味で都合が良いのかもしれない。⑩は多くの女性バンドにカバーされているライオット・ガールのアンセムであり、それに続く⑪、⑫の物悲しい雰囲気の流れもその余韻を残すことなくあっという間に終わってしまう。12曲入りで25分にも満たないこの作品からはD.I.Y.やパンクという言葉がとても良くフィットし、メンバーで費用を工面し制作した『レヴォルーション~』をカセットテープにダビングして量産したり、ファンジンを作っていたであろう頃と何ら変わっていない。俺にパンクを教えてくれたのはビキニ・キルだった。
俺にとって特別なバンドであるビキニ・キルだが、彼女たちの歌詞の中でやり玉に挙げられる男性性である自分は、本当の意味でビキニ・キルのファンにはなれないのではないかという恐怖すらある。だが、これこそ彼女たちが怒りを向けるべき無知、無理解から来る考え方でもあることも理解しているつもりだ。ライオット・ガール=男性排除主義というレッテルは、メンバーにビリーという男性ギタリストが居ることからも容易に否定できる。ライオット・ガールは偏った報道により間違った見方をされがちだが、俺は彼女たちのようなパワフルでエモーショナルな音楽、サウンドが大好きなのだ。
97年の来日公演で俺にダイヴを喰らわせぶっ倒れさせたキャスリーン。彼女の目には、ステージ前方に来た俺が他の女性ファンの邪魔になっていると映ったのかもしれない。以後気を付けます。
P.S.
以下に貼った動画の’Rebel Girl’の音源は、このアルバムに収録されているバージョンとは異なる点をご了承ください。(k)
2013年5月26日日曜日
ザ・パワー・ステーション / The Power Station
The Power Station(1985年リリース)
①Some Like Hot It ②Murderess ③Lonely Tonight ④Communication ⑤Get It On (Bang A Gong) ⑥Go To Zero ⑦Harvest For The World ⑧Still In Your Heart
デュラン・デュランのギタリストであるアンディ・テイラーの最大の功績のひとつはザ・パワー・ステーションを結成したことなんじゃないかと俺は思っている。イケメン揃いのデュラン・デュランは派手なPVでヒットを飛ばすも、やはりどこかでアイドル・バンドのような印象を拭えなかったけど、ザ・パワー・ステーションのこのアルバムが出たことで、アンディってギターバリバリ弾けるじゃんって思ったし、何よりも中高生だった当時の洋楽ファンにロバート・パーマーという素晴らしいヴォーカリストを教えてくれたわけだし。黒くてハードだけどソウルフルな楽曲はあの時代を過ごした10代の人間にとってはカッコ良すぎた。
デュラン・デュランが3枚目のアルバム『セブン・アンド・ザ・ラグド・タイガー』に伴う世界ツアーを終了させ、グループは小休止状態に入った。その時にアンディ・テイラーは彼が憧れていたロバート・パーマーに声をかけてレコーディングが実現したそうだ。メンバーはデュラン・デュランからジョン・テイラーも参加し、ドラムにはシックのトニー・トンプソン、そしてプロデュースはこれまたシックのバーナード・エドワーズという、いわゆるスーパー・グループだったわけだが、当時の俺はそのメンバーの素晴らしさがまだ分かってなかったのは言うまでもない。そして①の重いドラムの音と、パーマーの "Are You Gonna Do It?" と繰り返される渋いヴォーカルにすぐに打ちのめされた。割とすぐに貸しレコード屋に行ったと記憶している。当時の俺は意識していなかったけど、ドラムの音が重い曲が好きだった。例えば当時だとデフ・レパードの『炎のターゲット』なんかはレコードを買ったのだが、ドラムの音はかなり処理しているような発言を当時読んでいた。それと同じものをこのアルバムからは聴き取れる。ゲートリヴァーヴって言ったけかな、この音処理。
個人的には①はもちろん②の腰にきそうな重さや⑤のT-Rexの有名すぎる曲のカバー、そしてパーマー作の⑥がキラーチューンで、⑤なんてオリジナルよりも良いカバーなんじゃないかって思っている。そして⑦ではアンディのヴォーカルも聴くことができる。アルバムはアメリカのキャッシュボックス誌で最高7位ぐらいだったかな、当時はマドンナの『ライク・ア・ヴァージン』やプリンスの『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』、ティアーズ・フォー・フィアーズの『シャウト』、フィル・コリンズの『ノー・ジャケット・リクワイアード』なんかが上位にいた。ザ・パワー・ステーションとしてはアルバムもヒットしたけど、これがきっかけでロバート・パーマーの後の『リップタイド』が大ヒットしたのだろうと思う。しかしこのグループ、同年のライヴ・エイドではヴォーカルがマイケル・デ・バレスという人に代わってしまった。なんでもパーマーはレコーディングだけの契約でライヴをやるつもりはないという、なんともガッカリな話だった。俺は2枚目のアルバムを期待していたのだけど、ライヴでのそういう話があったからきっとアルバムは出ないのだろうと思っていたからまさか11年後の1996年に2枚目のアルバム"Living In Fear"が出るなんて思いもしなかった。成熟されたザ・パワー・ステーションって感じで、1stのようなインパクトはないし、俺も当時でたCDシングルを輸入盤で早々に買ったもののほとんど聴いていなかった。
じゃあ3枚目は?と言いたいところだけど、これはもう絶対にない。なぜならバーナード・エドワーズは2枚目のアルバムの直前に東京で死去(シックのライヴで来日公演中だった)、そして2003年にはトニー・トンプソンもロバート・パーマーも亡くなってしまい、デュラン・デュランのメンバーしか残っていないからだ。もう2度と再現ができないこのバンド、俺は今でもこのアルバムを聴くことが多いが、リアルタイムで体験できたことを本当に幸せに思う。(h)
【イチオシの曲】Some Like Hot It
俺はPV自体ほとんど見ていないからきっとFMラジオの番組で知ったのだと思う。トニー・トンプソンは確か、この年のライヴ・エイドでレッド・ツェッペリンのドラムを依頼されていたんじゃなかったっけ?それともツェッペリン解散前のジョン・ボーナム死去直後の話だったか、いまいち思い出せない。
2013年5月19日日曜日
ジェームス・イハ / レット・イット・カム・ダウン
James Iha / Let It Come Down (1998年リリース)
①Be Strong Now ②Sound of Love ③Beauty ④See the Sun ⑤Country Girl ⑥Jealousy ⑦Lover, Lover ⑧Silver String ⑨Winter ⑩One and Two ⑪No One's Gonna Hurt You
ジェームス・イハ。井葉吉伸(いはよしのぶ)という名前と、日本人にも親しみやすいルックスを持つ一方、彼は日本語が話せない。彼のことはスマパン(ザ・スマッシング・パンプキンズ)の日系ギタリストと言った方が通りがいいだろう。そんな彼がスマパンの4thアルバム『アドア』より数か月早くリリースした初めてのソロアルバムが本作『レット・イット・カム・ダウン』だ。
スマパンからメンバーが次々と離脱していく様を寂しく見ていたファンの一人としては、スマパンとは大きくベクトルの異なるこのアルバムは驚きだった。このアルバムがスマパン在籍時の数少ない彼の手による曲の延長にあることは間違いない。後のア・パーフェクト・サークルやティンテッド・ウィンドウズへの参加、デザイナーやレーベル運営といった彼の多岐に渡る活動を見るに、スマパンのギタリストというだけでは彼の可能性が制限されていたことがよくわかる。彼のスマパンとの決別は必然だったのかもしれない。
スマパンの元ギタリストという枕詞は要らない。彼が愛について歌っている。ラブソングばかり。こっちが恥ずかしくなるくらい。日本語でやられたら俺は聴いていられないだろう。でも俺を惹きつけて離さない。俺の琴線にビシバシ触れるメロディが溢れている。それは彼の日本人の血によるものなのか。優しく温かく全てが控えめでお互い主張しないサウンド。そのエヴァーグリーンなサウンドが心に沁みる。今でもたまに聴きたくなる。そんなアルバム。悪く言えば技術的には何ら注目されるようなことはしていない。
ウィキペディアによると、このアルバムに収録された曲たちはスマパンのツアー中のホテルで作ったことが影響し、ラウドに演奏するようなものにはならなかったとのこと。その一方、2012年にリリースされた2ndアルバム『ルック・トゥー・ザ・スカイ』はこの1stアルバムを踏襲したものであり、自分の歌声はロックというフォーマットには適していないという彼の判断なのかもしれない。
因みに、98年リリース当時の日本盤にはボーナストラックとして'My Advice'が収録されており、2ndアルバムのリリースに合わせてリマスタリングされ再発された際には'My Advice'に加えて'Take Care'、'Falling'が追加された。この3曲はシングルカットされた①のCDに収録されていた音源である。また、このアルバムには多くのゲストミュージシャンが登場するが、中でも③には俺の大好きなヴェルーカ・ソルトの片割れであるニーナ・ゴードンがコーラスで参加している。これよりも前に彼女はスマパンの'...Said Sadly'という彼の手による曲にも参加しており、自分が好きなミュージシャン同士に繋がりがあることは単純に嬉しかったりする。
2ndアルバムリリースまでには14年ものインターバルがあったにも拘らず、フジロックフェスティバル'12出演に続き開催された来日公演はチケットがソールドアウト。スマパンとは関係なく彼がアーティストとしてキチンと支持を得られている証拠だろう。ビリー・コーガンがその存在が大きくなりすぎたスマパンという怪物に孤軍奮闘しながら苦しんでいるのに対し、自分のペースで身の丈に合った成功とともに確実なキャリアを積んでいくジェームス・イハの選んだ道を俺も支持したい。(k)
2013年5月12日日曜日
ジョイ・ディヴィジョン / アンノウン・プレジャーズ
Joy Division / Unknown Pleasures(1979年リリース)
①Disorder ②Day Of The Lords ③Candidate ④Insight ⑤New Dawn Fades ⑥She's Lost Control ⑦Shadowplay ⑧Wilderness ⑨Interzone ⑩I Remember Nothing
19歳の頃に友人と交わした会話より
俺:「ジョイ・ディヴィジョンってなんか暗いよな。」
友:「そんなことないよ、かっこいいじゃん、あれが分からないとかダメだな。」
俺:「そう?俺にはどうも合わないんだよな。『アンノウン・プレジャーズ』は重すぎる。」
友:「聴きが足りないんじゃない?暗いの好きじゃん?w」
俺:「まあ、好きだけど、なんかイギリスの暗さってダメなんだよね。」
友:「イギリスって一括りにするなよ。」
俺:「いや、俺ザ・スミスとかエコバニとか聴かないじゃん?なんかイギリス独特の暗さを感じるんだよ。それと同じ。」
友:「偏見だよそれ」
俺:「なんか病的じゃんw ところで、イアン・カーティスって首つり自殺だったでしょ、なんで首つりなんだろうね」
友:「確かに特殊だな」
俺:「そう、ロック・ミュージシャンの死に方ってクスリとか酒とか、あとは銃で撃たれるとかじゃん?それが首つりだよ、首つり。」
友:「死に方が俺たちに近いところにある方法だから、なんか同情する。」
俺:「しかも女性関係とかそんな理由で鬱になったとかじゃん、繊細すぎる。」
友:「それだけじゃないだろう、歌詞読んでる?孤独や疎外感なんかを歌ってるよ。」
俺:「うん、訳詞は読んだけど、そんなに読んでない。」
友:「①なんかさ、いきなり『無秩序』てタイトルだけど、辞書ひくとさ、ディスオーダーって心を狂わすって意味もあるんだよ」
俺:「そうなんだ」
友:「1曲目からこれだからな、重いというのもわかる気はする」
俺:「だろ?⑩なんて怖いぐらい重いよ『うぃーーーーーーーーーあすとれーんじゃー』ってあの低い声でw」
友:「ガラス割れてるしなw」
俺:「イアン・カーティスのヴォーカルが独特過ぎるよね」
友:「『クローサー』は聴いたことある?」
俺:「うん、もちろん、『クローサー』の方が好きかな、しょっちゅう聴くし。」
友:「おい、そっちのほうが重いじゃんw」
俺:「うん、重いね。だけどなんかすっきりしているんだよね。」
友:「イアン・カーティスが死んでから出たアルバムだから、聴けば納得できちゃうという感じ?」
俺:「そうそう、イアン・カーティスが首つり自殺したって前置きがあるから、どうしてもそれが先入観で・・・」
友:「そういう風に結び付けて聴く人がほとんどだろうね。」
俺:「もしかしたら正しく聴かれていないのかもな。」
友:「ところで、『クローサー』聴いているなら、1stとの違いって何か気が付く?」
俺:「え?違い?うーん、、、、曲のクオリティが上がったとか。」
友:「そんなんじゃなくて、1stの方がイアンの声が生き生きしているんだよ。」
俺:「え、そうなの?どっちも変わらないように思えるが・・・」
友:「よく聴いてみよ、①からすぐにわかるよ(と、『アンノウン・プレジャーズ』をかける)。」
俺:「あ、ほんとだ、声に張りが感じる。」
友:「だろ?まだこの頃はイアンも気合が入っていたんだろうな。」
俺:「このアルバムの後からなのかね、鬱になったり癇癪起こしたりってのは。」
友:「うん、この後でしょう。だからまだ『アンノウン・プレジャーズ』は希望みたいなものも感じるんだけどね。」
俺:「そうか、俺はとにかく暗いとしか感じなかったからなぁ。」
友:「もっとちゃんと聴いたほうがいいよw」
俺:「うん、そうする。でも『ラヴ・ウィル・ティア・アス・アパート』は重いけど好きだよ。」
友:「アルバム曲じゃないじゃんw ところでニュー・オーダーは?」
俺:「いや、聴いたことない・・・」
友:「邪道だな、聴きなよ」
俺:「わ、わかった・・・」
友:「ところで、イアンが自殺するときに聴いていたレコードがあるんだけど知ってる?」
俺:「いや、知らない。」
友:「イギー・ポップの『ジ・イディオット』なんだって。」
※最後のイギー・ポップのところは付け足しましたが、それまでの会話はその昔に友人と話したことのあることを若干の脚色で再現しました。ジョイ・ディヴィジョンに関して思っていることは今も上の会話で話しているようなことで、もしイアン・カーティスが自殺なんてしなかったらもっと聴き方もちがっただろうなと思う。ちなみに今でも俺は『クローサー』の方が好き。(h)
【イチオシの曲】She's Lost Control
初めて聴いたジョイ・ディヴィジョンの曲はこれ。『アンノウン・プレジャーズ』に収録されている曲はベースラインが強調されたものがいくつかあって、この曲もベースが主導という感じ。そこにイアン・カーティスのエコーをかけたヴォーカルが呪術的に響くところがツボにはまる。アルバムとシングルではバージョンが違って、シングルは『サブスタンス1977-1980』で聴くことができる。
2013年5月5日日曜日
ザ・ゴシップ / ザッツ・ノット・ホワット・アイ・ヒアード
The Gossip / That's Not What I Heard(2001年リリース)
①Swing Low ②Got All This Waiting ③Bones ④Sweet Baby ⑤Tuff Luv ⑥Got Body If You Want It ⑦Where the Girls Are ⑧Bring it On ⑨Heartbeats ⑩Catfight ⑪Jailbreak ⑫Southern Comfort ⑬And You Know... ⑭Hott Date
このレビューを書こうと思って、いきなり躓いたのがタイトルの日本語表記。この作品は日本盤がリリースされていないため、タイトルのカタカナ表記あるいは邦題がなく、'Heard'をどうカタカナ表記するか悩んだ。「ハード」の方が本来の発音に近いカタカナ表記かと思うが、これだと'Hard'をイメージしてしまいがちと思い、ここでは「ヒアード」とさせてもらった。また、蛇足ながらバンド名が'The Gossip'から'The'が取れて現在では'Gossip'を名乗っている点も書き添えておく。
俺とゴシップが出会ったのは、まだ20世紀だった2000年のHMV横浜VIVRE。今はないこの店舗で当時、店内のエスカレーター横にシングルCDのコーナーが設置されていたと記憶している。そこで目にした黒地に白のラインとピンクで'the GOSSiP'と書かれたD.I.Y.感あふれる雰囲気のジャケット。そこに印刷されたKレコードのロゴを見て購入を即決した。だがその中身を聴いてみると、カレージ直球なサウンド自体は大変好みであったものの、楽曲自体が俺の琴線に触れるようなものではなかった。更に、キル・ロック・スターズからリリースされたこの1stアルバムを中古で入手するも印象は変わらず。ここで一度ゴシップに対する興味を完全に失う。
数年後、スリーター・キニーやクアージ目当てで買った"BURN TO SHINE"の第3弾であるポートランド編にトリで出演していたゴシップを見て、ゴシップに対する印象が180度好転する。この時初めて動くメンバーの姿をキチンと確認したのだが、ぽっちゃりレヴェルでは済ませられない女性シンガーの貫禄、ファッションセンスとそのアクション、小汚いおっさんギタリスト(ここではベース)の佇まいのダサさ、この2人の醸し出す雰囲気にメチャメチャ惹かれて虜になった。そしてもうひとり、映像を繰り返し見てようやく気づいた男前ドラマーのおっぱいの存在。その3人の織り成す絶妙なバランスが堪らなかった。この頃のゴシップは3rdアルバム『スタンディング・イン・ザ・ウェイ・オブ・コントロール』がリリースされ英国で火が付き、ベス・ディットーがポップアイコンとして世間一般の注目を集めていた。ゴシップは俺の知らぬ間に成功を収めていたのだ。
この1stアルバムのガレージなサウンドは、ベスの歌にブレイス・ペインが奏でるシンプルなリフが絡みつくことで構成されており、ベースレスで抜けがいい。もっと言えばベスの声、ブレイスの演奏、その2つがあればこの頃のゴシップは成立していたと思う。ベスの歌い方はロックやパンクっていうよりもゴスペルとかの方が近いと思うが、この1stで聴けるサウンドに対してはガレージって言葉が本当によく似合う。ベースレスでガレージっていうとホワイト・ストライプスの名前が出てくるけど、ジャック・ホワイトのギタープレイと比較してブレイスのギターはカッコいいことを一切やろうとしてない。直球一本勝負なのが味にもなっていて好感が持てるし、逆に言えばそれしかできなかったのかもしれない。2007年の来日公演でブレイスはギターぶら下げたままシンセサイザーも演奏していたけど、ここでも決してカッコよくはない古臭いままのニューウェーヴ感が堪らなかった。この2つの個性は後に大きく化けるダイヤの原石たるものだったわけだが、見た目も含め大きくビルドアップしながらも現在までやっていること、やろうとしていることにブレがないのがいい。ガレージというよりはクラブ受けするダンスロック的な位置付けになったことと、ベスの服装やお化粧にお金を掛けられるようになったことは大きな違いかもしれないけれども。
ちなみに前述の"BURN TO SHINE"で演奏している男前な現ドラマーのハンナ・ブライリーは3rdアルバム『スタンディング~』からの参加で、この1stおよび2ndアルバム『ムーヴメント』では、後に助産師を目指して脱退するキャシー・メンドーサが叩いている。ハンナもベスと同じくLGBTのようで、4thアルバム『ミュージック・フォー・メン』のジャケットで見られるキリッっとした彼女の佇まいが本当に男前だ。その一方、2007年の来日時には髪の毛を伸ばして下ろしており、一目見て恋に落ちるほどスゲー好みの女の子だった。そんな彼女の双子の兄弟は、ザ・ブラッド・ブラザーズのツインヴォーカルの片割れらしい。以上、どうでもいい情報。
3rdアルバム『スタンディング~』およびそれに続く2枚のアルバムでは、シンセサイザーの多用などによりサウンドが華やかでダンサブルになりつつもその立ち位置といった基本路線に大きな変更はないのではないかと思う。そのルックスや行動、言動は極めてキワモノであるにも関わらず多くの人たちに受け入れられている点は注目に値する。グランジ等のオルタナティヴな音楽がメインストリームと化したり、ライオット・ガールやフェミニズム運動が注目された90年代初頭を連想させる部分もあり、LGBTかつ肥満体で真のオルタナティヴな存在であるベスが世間に受け入れられる様は痛快だ。また、フジロックフェスティバルへの出演を含む来日公演では、ニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」やビキニ・キルの「レベル・ガール」をカバーするなど、自身のルーツを明らかにする音楽ファンへのサーヴィスも興味深い。
5thアルバム『ア・ジョイフル・ノイズ』の日本盤帯に書かれた「次世代ダンスロックの決定版!」というダサカッコ悪いコピーに負けない今後の活躍を祈りつつこの文章を締める。(k)
2013年4月28日日曜日
ザ・デッド・ウェザー / 狂おしき薫り
The Dead Weather / Horehound(2009年リリース)
①60 Feet Tall ②Hang You From The Heavens ③I Cut Like A Buffalo ④So Far From Your Weapon ⑤Treat Me Like Your Mother ⑥Rocking Horse ⑦New Pony ⑧Bone House ⑨3 Birds ⑩No Hassle Night ⑪Will There Be Enough Water?
元ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト、ザ・キルズのアリソン・モシャート、クイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジのディーン・ファーティタ、そしてザ・グリーンホーンズのジャック・ローレンスという豪華なメンツ・・・ごめん、俺はこれらの人たちが所属するバンドの曲を聴いたことがないんだ(笑)。ちゃんと今の音楽シーンを追っている人からすればある意味スーパーグループなのかもしれないが、俺はジャック・ホワイトしか知らないし、そのジャック・ホワイトだってようやく今頃になって興味をもったという程度なんだ。だから取り掛かりとして、そこから書かなくてはならいだろう。
ジャック・ホワイトに興味を持ったのは去年のこと。『ゲット・ラウド ジ・エッジ、ジミー・ペイジ、ジャック・ホワイト×ライフ×ギター』という映画のDVDを見たことに始まる。この映画はタイトルにある通り、U2のジ・エッジといまさら説明不要のジミー・ペイジ、そしてジャックの3人がそれぞれのギタースタイルをどう築きあげていったかとか、各々のバンドの話とかジャム・セッションを行っているものなのだが、俺は最初はジミー・ペイジを目当てに見ていた。だけどジャック・ホワイトの音楽へのこだわり、なんて言ってたのか今は思い出せないけど、それを見ていて若いミュージシャンなのに考え方がアナログで良いなと思った。そこからずっと心の片隅に残るようになっていた。その後彼のソロ・アルバム"Blunderbuss"の評判がいいのでこれも気になりながらもずっと未聴で、そんな中ふと、彼が以前組んでいたザ・ラカンターズのアルバムを聴く機会を得た。これが非常に良く、そこから俺はウィキペディアでジャック・ホワイトのことを読んだりして、その中でこのデッド・ウェザーの事を知ったのだった。だからこのアルバムを聴いたのはつい最近の事だと正直に告白しておく。
ザ・デッド・ウェザーを結成してこのアルバムを出した2009年というのはホワイト・ストライプスもまだ同時進行でやっていたってことになる。何せこのアルバムの日本盤についてAmazonを見ると「『ホワイト・ストライプスの新作までの繋ぎのプロジェクトだしね』なんて侮るなかれ」などと書かれている。ここでさらに白状すると、俺はホワイト・ストライプスも聴いていない。昔一度聴いてみようとしたが、何曲か聴いて好みじゃないと判断してしまったんだ。だからザ・デッド・ウェザーの立ち位置やこのアルバムが出た時の周りの反応なんてものもまったくわからないし、当時はきっと何の興味もなかったと思う。それが今になってなんだよって自分に突っ込みを入れたいぐらいだ。
さて、このアルバム、最近では珍しく邦題なんてついているわけだけど、結論を言ってしまうと俺好みのオドロオドロしたロックである。ガレージ・パンクやブルースの影響を残しつつ、ジャケットの貞子よろしく暗黒系な雰囲気を醸し出している。翌年リリースした"Sea Of Cowards"を聴いてしまうとこのアルバムはまだ手探り状態という感じもしなくないがそんなことはどうでもいい。UKロックがニュー・ウェイヴ以降を引きずっているような印象のバンドばかりというのと比べると、やはりアメリカのバンドのほうが俺には合っているなと思ってしまう。幅が広いんだよな。
なお、ジャック・ホワイト関連で『ゲット・ラウド』およびザ・ラカンターズについて教えてくれたSさんへこの場を借りて感謝!(h)
【イチオシの曲】Hang You From The Heavens
最初にシングルとしてリリースされた曲がこれのようだ。
2013年4月21日日曜日
ヘルメット / ストラップ・イット・オン
Helmet / Strap It On (1990年リリース)
①Repetition ②Rude ③Bad Mood ④Sinatra ⑤FBLA ⑥Blacktop ⑦Distracted ⑧Make Room ⑨Murder
ヘルメットというバンドについて、大きい括りで言えばオルタナティヴロックということになるだろう。無機質でハードなサウンド故、ジャンクとかノイズとかいう言葉を使って紹介されるが、これらは耳障りで機械的な音を出す、あるいは/または、即興性の高い楽曲を創ったりする人たちを指す言葉だと思われる。奇をてらうようなことをせず、きっちりと構築、コントロールされたヘルメットのサウンドに対し、ジャンク、ノイズと形容するのはどうもスッキリしない。個人的にはポストハードコアという言葉がしっくり来るけど、この言葉も適用範囲が広すぎて何の説明にもなっていないような。ちなみに英語版Wikipediaでは、オルタナティヴメタルということになっている。ところで「ジャンク」というある音楽カテゴリを指す言葉は、「メロコア」と同じく日本で作られたもので日本でしか通じないから注意が必要だ。
言葉遊び的なことをツラツラと書いてしまったが、ヘルメットを一聴するとやはりメタルな印象が強い。しかし、その音にはハードロックであるとか、ヘアメタルであるとかとは一線を介した緻密さやストイックさがあり、もっと言うと機械的で冷たく、打込みに近いような硬いサウンド、リズムからは、情緒や人間性すら排除されているように感じる。見た目もハードロックやメタルからはかけ離れていて、短髪Tシャツジーンズスニーカーと、グランジ/オルタナティヴのムーブメントの一翼を担う存在だった。メタル的でありながら、メタルとは異なる存在。オルタナティヴメタルという言葉に相応しい。
この1stアルバム『ストラップ・イット・オン』は、90年にアンフェタミン・レプタイルからリリースされた後、91年にインタースコープから再リリースされた。荒削りながら、この1stアルバムの時点で既にサウンド、楽曲の根幹は確立されているのは、中心人物のペイジ・ハミルトンがキチンとした音楽の教育を受けていることも関係しているだろう。ハードロックやへヴィメタルとは無縁と思われがちな音楽理論といったものに裏付けられた楽曲は、当時としては真新しく、ニューメタルとかモダンヘヴィネスとか言われるような90年代以降に登場したメタルバンドに与えた影響は計り知れない。
90年代初頭のグランジ/オルタナティヴの流れに乗り、この1stアルバムに続いて92年にリリースされた2ndアルバム『ミーンタイム』でヘルメットは早くも成功を収める。94年リリースの3rdアルバム『ベティ』は、ジャケットも含めより広い層にアピールできる判りやすさもあった。4thアルバム『アフターテイスト』を97年にリリース後、98年には一度解散するが、04年に活動を再開。結局はヘルメット=ペイジ・ハミルトンであり、ヘルメットはメンバーを入れ替えながらも現在まで精力的に活動を継続している。また、ペイジ・ハミルトンの趣味なのか、参加する企画盤のカバー曲の選定がなかなか興味深い。Black SabbathやLed Zeppelinといったハードロックやメタル系は想定の範囲内だが、Bjorkの'Army of Me'、はたまた鉄人28号の海外版"Gigantor"のテーマまでもカバーしている。
ヘルメットを未聴で興味を持たれた方は、まずはとっつき易い『ベティ』あたりから是非聴いてみてほしい。最後に、今回ヘルメットを取り上げた動機のひとつは、㌻・ハミル㌧って書きたかったことを白状しておく。(k)
2013年4月14日日曜日
ユートピア / トッド・ラングレンズ・ユートピア
Todd Rundgren's Utopia(1974年リリース)
①Utopia Theme ②Freak Parade ③Freedom Fighters ④The Ikon
トッド・ラングレンは高校生の頃にロック名盤ガイド的な本でディスコグラフィを読みながら、いつか聴いてみたいと思いつつも未だ聴いていないアーチストの1人だ。タイミングを逃していると言えばそれまでだけど、この人の楽曲は基本はポップ・ミュージックのような印象があって、その時々で俺が求めているロックとは違うんだろうなという偏見も加わっているというのが正直なところ。そんなんで25年以上が過ぎているし、恐らく今後も進んで聴くことがないのかもしれない。不意に何かのきっかけで曲を聴いて「これ良いね」ってならない限りは。
そんなトッド・ラングレンがらみで唯一聴いているのがこのユートピアのデビュー・アルバム。なぜこのアルバムだけは聴いているのかというと、プログレをやっているからだ。10代後半からプログレを聴くようになり、先のロック名盤ガイドでもこのアルバムをプログレと形容していたことから興味を持ったわけだ。実際に聴いたのはもうちょとしてからだったけど、イギリスのプログレバンドよりもプログレっていて俺はこのアルバムがかなり好きだ。まず①はライヴ録音なのだが、もう初っ端から「どプログレ」な演奏。キーボード奏者が3人いるらしいが、もう狙っているとしか思えん。演奏時間も14分あり、ヴォーカルが出てくるまで7分ぐらいかかる。続く②はどことなくフランク・ザッパっぽくもある曲でこれも10分ぐらいある。③は4分程度の曲だけどプログレっぽさを醸し出している。アナログ時代はここまでがA面で、B面にあたる④はなんともまあ驚きの30分もある曲。そう、俺はこの④が30分という記述を見て非常に興味を持ったのですよ。いったいどんな曲だよって。
先ほどからプログレと言っているけど、プログレと言えばやはりイギリスのバンドの方が元祖(?)であって、実際にトッド・ラングレンもこのバンドを結成する前にイエスなどに夢中になっていたらしい。個人的な感想だけど、本家イギリスのプログレとアメリカン・プログレってどこか違うよなって思っていて、イギリスのは様式美のようなものを感じるのだけど、アメリカのそれはとにかくいろいろ詰め込んでやれって感じがしてしょうがない。テクニックに任せてやりたい放題というか、そんな印象がしてしまう。④なんて30分もあるけど展開がコロコロ変わるから退屈しないし、いつの間にか聴き終わっているって感じ。特に今の俺はイギリスのバンドによるプログレが重々しく感じてしまって、むしろこっちのほうが聴ける身体になってしまっている。以前は逆だったんだけどね。
それにしても、気になるのはこのアルバムの収録時間。トータルで59分、CDとなっている今では何てことはない長さだけど、アナログ時代だとA面B面それぞれ30分前後だったわけで、アナログレコードって片面が25分を超えてしまうと音もあまり良くないなんて言われていたし、18分ぐらいがベストじゃなかったかな?そんな時代にずいぶん長時間収録をしたよなって思ったりして、トッド・ラングレンって人はオーディオ的には細かいことは気にしなかった人なのかなと思ってしまう。確か彼のソロ・アルバムでも長時間収録のものがあった気がするけど。
ちなみにこのユートピアってバンドは、トッドがソロ活動と並行して1973年から1986年までやっていたんだよね。80年代のアルバムはリアルタイムで雑誌のレビューに載っていたのとか、ビートルズの曲の雰囲気を真似たアルバムもあったりする。今これを書いていて急に思い出した。トッドのソロはいいからユートピアを揃えようかな。(h)
【イチオシの曲】Utopia Theme
この曲がいちばんわかりやすいからね。トッド・ラングレンがやたらと細いな。
2013年4月7日日曜日
エラスティカ / エラスティカ
Elastica / Elastica(1995年リリース)
①Line Up ②Annie ③Connection ④Car Song ⑤Smile ⑥Hold Me Now ⑦S.O.F.T. ⑧Indian Song ⑨Blue ⑩All-Nighter ⑪Waking Up ⑫2:1 ⑬Vaseline ⑭Never Here ⑮Stutter
NWOBHM(New Wave of British Heavy Metal )という言葉がある。英国で70年代後半に登場したハードロック/ヘヴィメタル界隈のバンド達を指す言葉で、メタル好きなら一度は耳や目にしたことがあるのではないか。このように音楽のカテゴリーと言うか、音楽のムーブメントを指す言葉はいくつかあるが、その中で個人的にお気に入りなのがNWONW(New Wave of New Wave )だ。同じような界隈を指す言葉は、他にもポストパンクとかポストニューウェーヴとかニューウェーヴリバイバルとかなんて表現もあったりして、むつかしくてもうなんか訳が分からない。その中でもNWONWのちょっとマヌケっぽい言い回しが大好きなんだけど、ブリットポップという言葉に飲み込まれてしまい、あまり言及されることがないように思う。
そのマヌケな言い回しに含まれるバンドのひとつがエラスティカだ。この1stアルバム『エラスティカ』には、その楽曲にもサウンドにも贅肉が一切なく、中心メンバーのジャスティーン・フリッシュマンの眉毛よりも体臭(想像)よりも全てが濃く濃縮されている。その一方、まだまだ改善の余地がありそうな演奏力やインディー臭さも含め、ニューウェーヴとかブリットポップとかいう括りを抜きにしても一枚のロックアルバムとしてもう少し評価されても良いと思っている。ジャスティーンのルックスは好みが分かれるところだとは思うが、ドナ・マシューズ、アニー・ホーランドと、ギターやベースをぶら下げた女性3人が並ぶ姿は画になる。下に貼ったYouTubeの動画は、2種類作られた③のPVのひとつなんだけど、状態が良いものがYouTubeにはないようで残念。これは⑪のPVを作った時の素材を繋ぎ合わせただけみたいで、決して出来の良いものではないんだけど、ジャスティーンの苦虫を潰したような顔がリピートされるとこが堪らなく好きた。そして、ドナがただただひたすらに可愛い。アニーは箸休めで、唯一の男であるドラマーはどうでもいい。
本作がリリースされた90年代中期はブリットポップが全盛で、ジャスティーンは、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったブラーのデーモン・アルバーンとの恋愛や、スウェードのブレット・アンダーソンとの過去の関係などが話題を集めた。ブラーは今年2013年3月から9月にかけて、香港、台湾、日本、ジャカルタを含む世界各国で20回以上の公演が発表されている(が、残念ながら出演するはずだったTOKYO ROCKS 2013の開催自体がキャンセルされたため、来日の予定はなくなった)。再結成したスウェードは2013年になって新作『ブラッドスポーツ』を発表した。このようにブラーやスウェードがメンバーの脱退や活動停止、解散などの苦難を乗り越えながら今もなお最前線で活動を続けているのに対し、エラスティカは2ndアルバムをリリースするもドナ・マシューズの脱退などメンバーチェンジを繰り返した末に解散してしまい、その後のメンバーの音楽的な活動が話題になることもない。本当に寂しい限りだ。
本作で聴けるタイトでソリッドな曲達は、彼女たち、特にジャスティーンの積極性、勢いを感じさせるものであった。一方、シングルCD『コネクション』の3曲目に収録されている⑨"Blue"のデモ音源は、本アルバム収録の音源と同じ曲とは思えない繊細さと寂しさで溢れている。ドナの弾き語りによる宅録状態ゆえの劣悪な音質ですら、その良さを引き立てることに貢献しているような代物で、今でも大好きな1曲だ。この音源を聴いてしまってから、エラスティカの解散やジャスティーンのことよりも、ドナのその後の音楽キャリアがよくわからないままなのが残念でならない。(k)
2013年3月31日日曜日
ジョージ・ハリスン / 不思議の壁
Geroge Harrison / Wonderwall Music(1968年リリース)
①Microbes ②Red Lady Too ③Tabla And Pakavaj ④In The Park ⑤Drilling A Home ⑥Guru Vandana ⑦Greasy Legs ⑧Ski-ing ⑨Gat Kirwani ⑩Dream Scene ⑪Party Seacombe ⑫Love Scene ⑬Crying ⑭Cowboy Music ⑮Fantasy Sequins ⑯On The Bed ⑰Glass Box ⑱Wonderwall To Be Here ⑲Singing Om
ジョージ・ハリスンの発言で好きなのは、彼はビートルズの中でも「静かなるビートル(Quiet Beatle)」とメディアから言われてることに対して「でも心根は狂っているのさ。なんていったってビートルズの一員として務まったんだからね。」というもの。後期のビートルズの内情を知れば知るほどこの発言って真実味を帯びてくるんだよなぁって俺はいつも思っていて、例えばジョンやポールは音楽的にも言動的にもたびたびクレイジーさを醸し出していたけど、ジョージはそういうのを内に秘めていた感じがする。その鬱憤をジョージは、ビートルズの音楽性をひっかき回すことで打破しようとしていたような気がする。いや、ひっかき回すって言葉は正しくはないけど。
ジョージはビートルズのアルバムの中では毎回2曲程度しか収録してもらえず、それはやはりジョンとポールという稀代のメロディーメーカーがいたからなんだけど、それが『リボルバー』あたりから提供曲が少ないながらも自己主張を始めてくる。その中で真っ先に思いつくのがインド音楽の導入であり、ここは聴く人によって好き嫌いが大きく分かれることだろう。「ラヴ・ユー・トゥ」とか「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」なんかはそれぞれの収録されたアルバムの中でもかなり浮いている部類に聴こえてしまう。他にも「ジ・インナー・ライト」という曲があるが、いま思うとインドにはまっていた割には3曲ぐらいかという気がしないでもないが、そこはやはり遠慮していたのだろうか?
1968年にビートルズはアップル・レコードを設立し、その第1弾のLPとしてリリースされたのがジョージのこの『不思議の壁』で、ジェーン・バーキン主演の「ワンダーウォール」という映画のサントラという形をとっているが、ここではジョージのインド音楽の影響が存分に発揮されている。ヴォーカル曲は無し(一部インドの言葉で語られるものあり)、所々でロック風な曲もあるが、アルバムはなかなか手強いものがある。インド音楽が好きという人には難なく聴けるだろうが、「ヒア・カムズ・ザ・サン」とか「マイ・スイート・ロード」などのジョージのメロディアスな代表曲をイメージして聴くと2度と聴きたくないと思える代物なんじゃないかと思う。俺もいちどCD化されたときに買ったけど、通して聴けなかったぐらいだから。しかし、このアルバムはジョージがビートルズから解放されて自由にやっている感じがする。
ビートルズは楽曲の数でいえばジョンやポールがもちろんだけど、新しい発想を取り入れるきっかけとしてのジョージの貢献があったからこそ特に後期は面白いと思っている。クラプトンにソロを弾かせたり、悪名高き「ゲット・バック・セッション」ではビリー・プレストンを呼んで、ケンカばかりしていたバンド内の空気を中和させたり、その「ゲット・バック・セッション」が頓挫したあともフィル・スペクターの仕事を最後まで付き合って『レット・イット・ビー』を完成に導いたり、モーグ・シンセサイザーを『アビー・ロード』に取り入れたりなど、ジョージがいなかったらビートルズというバンドはもっと早く解散していたんじゃないかって思う。エゴの塊のようになっていくあの2人とは違って静かなるビートルではいたけれど、ジョージの言うようにまともな神経じゃビートルズの一員ではいられなかっただろうなと。(リンゴでさえ一度脱退したぐらいだからね)
『不思議の壁』はそれこそジョージのインド音楽と西洋音楽をうまく組み合わせようという、彼のやりたいことを具現化したものだけど、続けて出した『電子音楽の世界』というアルバムではそのモーグ・シンセサイザーを使ったA面1曲、B面1曲という電子ノイズが延々鳴っているというとんでもないアルバムを出している。実験的といえばそうなんだけど、俺にはビートルズでは満たされないはけ口のように聴こえてしまうということをオマケとして書いておく(好きなんだけどね、ノイズだから)。(h)
【イチオシの曲】Ski-Ing
エリック・クラプトンと2人でギター弾きまくってるでしょって感じの曲。本当はインド風なのをここに貼ろうかと思ったけど、この曲もバックでインド風味を感じられるので。
2013年3月24日日曜日
アヴリル・ラヴィーン / レット・ゴー
Avril Lavigne / Let Go(2002年リリース)
①Losing Grip ②Complicated ③Sk8er Boi ④I'm with You ⑤Mobile ⑥Unwanted ⑦Tomorrow ⑧Anything But Ordinary ⑨Things I'll Never Say ⑩My World ⑪Nobody's Fool ⑫Too Much to Ask ⑬Naked
現代のロックスターと言えば、誰のことを想像するだろうか。スーパースターでもギターヒーローでもなく、ロックスター。
ちょっと考えてみたけれども、適切な人が思い浮かばない。グルーピーをとっかえひっかえとか、ホテルの窓からテレビを投げ捨てるとか、薬漬けとリハビリ施設を往復するとか、27歳で死んでしまうとかをするような人を思い浮かべてみたが、どうもしっくり来ない。そもそもセックス・ドラッグ・ロックンロールなんていう感性が古い。
ロックの範疇からは外れるが、エミネム、あるいはジェイ・Zとかショーン・コムズとかはどうだろうか。あるいはレディ・ガガ。彼女はなかなかそれに近い存在ではないだろうか。あのような奇抜なルックスはほとんど宇宙人だ。でも、これらの人たちはギターをかき鳴らすわけでも、ギターを叩き壊すわけでもないわけで、スターやヒーロー(ヒロイン)というよりはセレブリティという方がしっくりくるかも。そもそもロック=エレキギターなんていう感性が古い。
もっと言えばロックスターという言葉を耳にして、ゲーム会社だったり、裏原宿系(?)のブランドのことを思い浮かべる人もいるかも知れない。憧れの存在としてのロックスターが不在しているというよりも、ロックスターという言葉を持ち出す感性が古い。時代遅れなのかもしれない。
アヴリル・ラヴィーンの歌う③('Sk8tr Boi'という綴りはテキストメッセージ文化に馴染んでいるデジタルネイティヴ世代を感じさせる)は、過去に振ってしまったスケボー少年が、気付けばスーパースターになっていたという女の子視点のストーリーが歌詞となっている。この曲は1stアルバム『レット・ゴー』からの2ndシングルで、フジテレビ系の朝の情報番組「めざましテレビ」でこのPVがちょこっと紹介されたりしたと記憶している。それにしても21世紀だというのに、パンク=スケーターとか、MTVでロックしてるとかなんか感性が古い。おいおい、ホントにこれ、十代の女の子が書いた歌詞なの?って思ったけど、制作にはプロデューサー集団ザ・マトリックスが絡んでるので正確なところはわからない。若い子が共感できる歌詞なのかホントに疑問だけれども、そのような価値観は世界各地ではまだ健在なのかもしれないし、曲がブレイクすることと歌詞の内容に相関関係はないのかもしれない。
そんなわけでザ・マトリックスというしっかりとした後見人が居るためか、そのクリーンで無駄に骨太なサウンドがとても心地良い。どこまで彼女の手によるものかはわからないが、売れ線気味の楽曲は全てクオリティが高い一方、良くも悪くも金太郎飴状態の曲を繰り返し聴くのは少々食傷気味だ。などと否定的な表現を使ってしまったがこれは褒め言葉で、彼女の恵まれたルックスを含め、この万人受けする要素がこれだけ揃っていることは本当に素晴らしいと思う。日本でももうちょっと売れてもよかったのではないだろうか。レコード会社のマーケティングに問題があったのではないかとすら考えてしまう。感性の古い俺になんて言われたくないと思うけど。
ザ・マトリックスは、コーンやリズ・フェアなどとの仕事が興味深い一方、バステッドやスカイ・スウィートナム、マクフライ、リリックスなどにも曲の提供やプロデュースをしているようで、アイドルに近いロックやポップスを専門としているようだ。今の時代(と言ってもこの作品がリリースされたのはもう10年以上前だが)、レコードをスクラッチさせる効果音とか部分的にラップを入れるとか当たり前になっているようで、今作でも聴けるこれらの装飾は個人的には余計にしか思えず好みじゃない。アヴリルにはいつか、売れ線プロデューサーの協力なしに荒削りなバンドサウンドのみで作った曲を聴かせて欲しいと期待してる。
アヴリルが同じカナダ出身のSUM41のフロントマンと結婚した時は、若くしてそう来るか!と思ったが、その次がニッケルバックのあのおっさんっていうのは驚いた。やはり彼女の感性は古いというか、ちょっとズレてるのかもしれない。(k)
2013年3月17日日曜日
デヴィッド・ボウイ / David Bowie
David Bowie(1967年リリース)
①Uncle Arthur ②Sell Me A Coat ③Rubber Band ④Love You Till Tuesday ⑤There Is A Happy Land ⑥We Are Hungry Men ⑦When I Live My Dream ⑧Little Bombardier ⑨Silly Boy Blue ⑩Come And Buy My Toys ⑪Join The Gang ⑫She's Got Medals ⑬Maid Of Bond Street ⑭Please Mr. Gravedigger
1990年にアメリカのライコディスクがデヴィッド・ボウイのアルバムの再発を始めた。俺もそれがきっかけで聴くようになったのだが、その時はてっきり『スペース・オディティ』が1stアルバムなのかと思っていた。「RCA時代のアルバム」という前置きがあったこともあるが、ほどなくして特集されたレコード・コレクターズ誌で実はその前にもう1枚あるんだよってのを知ったものの、ずっと軽視していてなかなか聴くことがなかった。そもそも『スペース・オディティ』が再出発となった1枚と言われてたことから、じゃあそれが1枚目でいいじゃんなんて思っていたものだからなおさら手を出さずいたのだ。
デヴィッド・ボウイは1960年代に本名のデイヴィー・ジョーンズの名前でグループを結成して音楽活動を始めたもののヒットに恵まれず、ソロになる際にデヴィッド・ボウイと改名し、デッカレコード傘下のレーベル「デラム」からデビューをした。最初にシングル2枚をリリースし、その後にリリースされたのがこのデビュー・アルバム『デヴィッド・ボウイ』で、シングルカットとして④もリリースされている。1967年という時期だけに、当時のブリティッシュ・ポップ色の濃い内容となっている。しかしこれがデヴィッド・ボウイの原点!と言っていいのかどうか、俺は正直迷っていた。しつこいようだが『スペース・オディティ』こそ原点と思っていたからだ。
このアルバムはほとんど話題になることが無く、デラムからも解雇されてしまうという憂き目に遭っているのだが、その一方でボウイはリンゼイ・ケンプのパントマイムに衝撃を受けて弟子入りをしたり、仏教にのめりこんだりしていくなかで徐々に自己のアイデンティティを確立し、RCAに籍を置くようになってからのフォーク色の強い初期、そしてグラム・ロック期へとなだれ込み一気に立ち位置を確立していく。やはりこの時期以降のインパクトが大きすぎて、デラム期のこのアルバムへの焦点はなかなか当たりにくいというのがある。唯一このアルバムとシンクロするのが60年代のヤードバーズやザ・フー、キンクスなどをカバーした1973年の『ピン・ナップス』ぐらいなんじゃないだろうか。しかしこのデビュー・アルバムに聴きどころがないのかと言えばそんなことはなく、時代を反映したサイケデリックな部分や演劇的な要素やストリングスを散りばめた楽曲たちはそれなりに個性があって面白い。
実はボウイは2001年ごろに、デビュー前の「埋もれた曲」をセルフカバーした"Toy"というアルバムをリリースしようとしていたが、レコード会社とすったもんだしてお蔵入りしている。その中には⑨も含まれていて、もしこのアルバムが正式にリリースされていたら彼のデビュー前後のことももっと語られていたのではないかと思うと残念である。結局は一部の愛好家がリークされたアルバムを聴いているに過ぎない(ごめん、俺も聴いているけど)。それはさておき、ボウイ自身がデビュー前の曲を蘇らせようとしていたのは事実だし、そう考えるとソロ・デビュー前からこのアルバムまでは原点というよりは原石なんじゃないかと思う。RCA時代のボウイの楽曲は発表された時点ですでに完成されていたのに対し、このアルバムの曲はアレンジのしようによってはもっと良くなるんじゃないかとかつい考えてしまう。
だけど俺はこのアルバムは「デヴィッド・ボウイ」というブランドというよりは、60年代のブリティッシュ・ポップのアルバムとして聴いているほうが断然楽しめるという結論に達しているので、RCA時代とどうこうとか、特にそんな比較はしていないというのが本音。散々そんなことを書いておいて最後に何を言ってるのかって感じだけど。(h)
【イチオシの曲】Love You Till Tuesday
邦題「愛は火曜日まで」というそのまんまのタイトル。
いかにも60年代って感じのこの映像は、後のドギツイ化粧をしたグラム・ロック時代のボウイと同じ人物とは思えない・・・。
2013年3月10日日曜日
ビョーク / デビュー
Bjork / Debut(1993年リリース)
①Human Behaviour ②Crying ③Venus As A Boy ④There's More To Life Than This ⑤Like Someone In Love ⑥Big Time Sensuality ⑦One Day ⑧Aeroplane ⑨Come To Me ⑩Violently Happy ⑪The Anchor Song
今年も7月に開催予定のフジロックフェスティバル'13に、ビョークがヘッドライナーとして登場することが発表された。遡ること15年前、ノストラダムスの大予言が差し迫った1998年、前年の天神山での失敗から会場を都内に移して開催されたフジロックフェスティバル'98。東京都の埋め立て地に建てられたステージにビョークが居た。もうひとつのステージにはイギー・ポップ。いつ見られなくなるかも分からないイギーのステージよりも、ビョークを選択した。未だイギーを肉眼で拝むチャンスに恵まれてはいないが、後悔はしていない。あれから15年経った現在も、ビョークもイギーもお元気そうで何よりです。
ビョークというアーティストに関する一番古い記憶は、音楽誌クロスビートに掲載されたリリー・フランキーのイラストだった。そこに添えられたコメントでフォトショップという言葉を知った。このイラストはビョークの1stアルバム『デビュー』のジャケットが、所謂パケ写詐欺ではないかというネタだった。
2ndアルバム『ポスト』に続いてリリースされたリミックスアルバム『テレグラム』では、荒木経惟の手による自然体で美しい姿をジャケットに飾った。3rdアルバム『ホモジェニック』のジャケットにおいては彼女の姿は完全にCGで描かれ、もうフォトショップによる編集レヴェルでは済まない領域に達していた。3rdアルバム収録の「オール・イズ・フル・オブ・ラヴ」のPVで、クリス・カミンガムの手によりロボットと化した2体のビョークが体を重ねる姿を見て、この人はビョークというキャラクター、記号なんだなということを強く印象付けられた。フォトショップで加工されていようがCGになろうがビョークはビョークという存在なのだと思うようになり、前述の疑惑など鼻クソみたいに小さい問題だと認識した。
このように視覚的に大変個性的なビョークだが、聴覚的にも彼女の歌う声、彼女が作る旋律は唯一無二。この1stアルバム『デビュー』ではプロデューサーにネリー・フーパーを迎え、ハウスなのかヒップホップなのかジャズなのかはわからないけど、この当時の最先端のサウンドにより構築されている。バックにどんなサウンドが使われていようと、そこに彼女の声とメロディが乗ると全ては彼女の世界に取り込まれ、ビョークというジャンルの音楽になる。リズミカルでダンサブルなサウンドと、誰にも真似できそうにないビョークの歌唱法との対比が興味深い。これだけ独創的なビョークのビョークたる感性と、ポピュラーミュージックとしてのキャッチーさ、普遍性が同居する違和感、不可思議さがたまらない。
この『デビュー』は、文字通りビョークがソロデビューしたアルバムという認識で良いと思うが、彼女がボーカルを取っていたバンド「ザ・シュガーキューブス」での活動以前にもアルバムを一枚リリースしている。そして現在に至るまで40年近くもの間、クリエイティブな活動を持続し続け、世界を相手に新しい音楽を発表し続け、そして成功を収め続けているのだ。前述の荒木経惟、クリス・カミンガムやネリー・フーパー、①のPVを手掛けたミシェル・ゴンドリーなど、コラボレートする相手を見極める彼女の慧眼も凄まじい。2000年にはミュージカル映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」に主演し、音楽も担当。2004年発表の5thアルバム『メダラ』では、そのサウンドの全てを人の声で構築するなど新しい音楽に挑戦し続けるビョーク。過去の作品の二番煎じのようなことは決してしないが、ただ彼女の歌声があるだけでビョークの曲になってしまうのは本当に不思議だ。オンリーワンでナンバーワン。世界に一つだけの花なんてクソ喰らえ。
因みに、ビョークのパンモロ写真が表紙を飾った月刊誌Cutは今でも大切にしてる。(k)
登録:
投稿 (Atom)