2013年3月10日日曜日

ビョーク / デビュー


Bjork / Debut(1993年リリース)
①Human Behaviour ②Crying ③Venus As A Boy ④There's More To Life Than This ⑤Like Someone In Love ⑥Big Time Sensuality ⑦One Day ⑧Aeroplane ⑨Come To Me ⑩Violently Happy ⑪The Anchor Song

今年も7月に開催予定のフジロックフェスティバル'13に、ビョークがヘッドライナーとして登場することが発表された。遡ること15年前、ノストラダムスの大予言が差し迫った1998年、前年の天神山での失敗から会場を都内に移して開催されたフジロックフェスティバル'98。東京都の埋め立て地に建てられたステージにビョークが居た。もうひとつのステージにはイギー・ポップ。いつ見られなくなるかも分からないイギーのステージよりも、ビョークを選択した。未だイギーを肉眼で拝むチャンスに恵まれてはいないが、後悔はしていない。あれから15年経った現在も、ビョークもイギーもお元気そうで何よりです。

ビョークというアーティストに関する一番古い記憶は、音楽誌クロスビートに掲載されたリリー・フランキーのイラストだった。そこに添えられたコメントでフォトショップという言葉を知った。このイラストはビョークの1stアルバム『デビュー』のジャケットが、所謂パケ写詐欺ではないかというネタだった。

2ndアルバム『ポスト』に続いてリリースされたリミックスアルバム『テレグラム』では、荒木経惟の手による自然体で美しい姿をジャケットに飾った。3rdアルバム『ホモジェニック』のジャケットにおいては彼女の姿は完全にCGで描かれ、もうフォトショップによる編集レヴェルでは済まない領域に達していた。3rdアルバム収録の「オール・イズ・フル・オブ・ラヴ」のPVで、クリス・カミンガムの手によりロボットと化した2体のビョークが体を重ねる姿を見て、この人はビョークというキャラクター、記号なんだなということを強く印象付けられた。フォトショップで加工されていようがCGになろうがビョークはビョークという存在なのだと思うようになり、前述の疑惑など鼻クソみたいに小さい問題だと認識した。

このように視覚的に大変個性的なビョークだが、聴覚的にも彼女の歌う声、彼女が作る旋律は唯一無二。この1stアルバム『デビュー』ではプロデューサーにネリー・フーパーを迎え、ハウスなのかヒップホップなのかジャズなのかはわからないけど、この当時の最先端のサウンドにより構築されている。バックにどんなサウンドが使われていようと、そこに彼女の声とメロディが乗ると全ては彼女の世界に取り込まれ、ビョークというジャンルの音楽になる。リズミカルでダンサブルなサウンドと、誰にも真似できそうにないビョークの歌唱法との対比が興味深い。これだけ独創的なビョークのビョークたる感性と、ポピュラーミュージックとしてのキャッチーさ、普遍性が同居する違和感、不可思議さがたまらない。

この『デビュー』は、文字通りビョークがソロデビューしたアルバムという認識で良いと思うが、彼女がボーカルを取っていたバンド「ザ・シュガーキューブス」での活動以前にもアルバムを一枚リリースしている。そして現在に至るまで40年近くもの間、クリエイティブな活動を持続し続け、世界を相手に新しい音楽を発表し続け、そして成功を収め続けているのだ。前述の荒木経惟、クリス・カミンガムやネリー・フーパー、①のPVを手掛けたミシェル・ゴンドリーなど、コラボレートする相手を見極める彼女の慧眼も凄まじい。2000年にはミュージカル映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」に主演し、音楽も担当。2004年発表の5thアルバム『メダラ』では、そのサウンドの全てを人の声で構築するなど新しい音楽に挑戦し続けるビョーク。過去の作品の二番煎じのようなことは決してしないが、ただ彼女の歌声があるだけでビョークの曲になってしまうのは本当に不思議だ。オンリーワンでナンバーワン。世界に一つだけの花なんてクソ喰らえ。

因みに、ビョークのパンモロ写真が表紙を飾った月刊誌Cutは今でも大切にしてる。(k)





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