2013年10月27日日曜日

パブリック・エナミー / Yo! Bum Rush the Show


Public Enemy / Yo! Bum Rush the Show

Public Enemy / Yo! Bum Rush the Show(1987年リリース)
①You're Gonna Get Yours ②Sophisticated Bitch ③Miuzi Weighs A Ton ④Timebomb ⑤Too Much Posse ⑥Rightstarter (Message To A Black Man) ⑦Public Enemy No.1 ⑧M.P.E. ⑨Yo! Bum Rush The Show ⑩Raise The Roof ⑪Megablast ⑫Terminator X Speaks With His Hands

【アルバムについて】
俺のヒップ・ホップ、とりわけラップの認識は黒人たちが抱える差別や貧困などの問題を早急に世に訴えるための手段だと思っている。呑気に歌なんか歌ってらんねえんだよ、しゃべった方が早いんだよ!と言わんばかりの言葉の応酬。オールド・スクールのグループは特にそう思うし、その筆頭がパブリック・エナミー(以下PE)なんじゃないかと。そんな彼らのデビュー・アルバムは後のアルバムと比べると、ヒップ・ホップ黎明期のようなリズム重視のトラックが多く、まだ先に書いた問題重視のリリックよりも自分たちの存在をアピールしている段階という感じがする。⑦なんてまさにそう!ヒップ・ホップグループの「俺たちが1番!」という自己主張はそんなに好きじゃないのだけど、PEなら仕方ないと思ってしまう。だって1番なんだもん。

【オススメ度】★★★★☆
PEを聴くならやはり2ndの"It Takes A Nation of Millions To Hold Us Back"を筆頭に挙げないとならないでしょう、そして次に"Fear Of a Black Planet"を聴くべきで、このアルバムは3番目ぐらいにしても良いと思うが、先の2枚があまりにも強烈なので逆に印象が薄くなってしまうかもしれない。(h)

【kakudayaの感想】
B-BOY的なファッションや、暴力的なギャングスタラップがニガテなんです。クラブ文化も。だから所謂ヒップホップと呼ばれるような音楽や文化に対し、積極的に聴こうとか関わろうとか思わないんですよね。残念ながら。ナード気質なんで、勝手な被害妄想です。つまり、ウジウジ内向的なグランジが大好きってことですね。



2013年10月20日日曜日

べス・オートン / スーパーピンキーマンディ


べス・オートン / スーパーピンキーマンディ

Beth Orton / Superpinkymandy(1993年リリース)
①Don't Wanna Know Bout Evil ②Faith Will Carry ③Yesterday's Gone ④She Cries Your Name ⑤When You Wake ⑥Roll the Dice ⑦City Blue ⑧The Prisoner ⑨Where Do You Go ⑩Release Me

【アルバムについて】
まだ20世紀だった頃、べス・オートンの"Best Bit"という作品のジャケットを見て一目惚れしてしまった。そのルックスにフィットした素晴らしい声、来日公演で見た折れそうなくらい細い腕で爪弾くギターの音、それ以上何も要らないと思った。このべス・オートンの1stアルバム『スーパーピンキーマンディ』では、ウィリアム・オービットがそのサウンドを全面的にバックアップしており華美に感じる嫌いがあるが、ケミカル・ブラザーズの曲'Where Do I Begin'に彼女のヴォーカルがフィーチャーされ注目を集めたこともあり、好みの問題だろう。④を作り直したものが2ndアルバム『トレイラー・パーク』の1曲目として収録されており、こちらの方が彼女の良さを引き出せていると個人的には思う。

そんな風に大好きだったべス・オートンだが、2002年に発売されたアルバム『デイブレイカー』がCCCDだったことが切っ掛けで、フォローするのを止めてしまった。つい先日の来日公演も行かなかった。ちょっと後悔していて気分を切り替えようと思い、ここで取り上げてみた。ケミカル・ブラザーズとのコラボも含め、『トレイラー~』以降とは大きく異なる作品を彼女がリリースしていたことを知らないファンも居るのではないだろうか。

【オススメ度】★★★☆☆
Wikipediaによると、この『スーパー~』は日本で5,000枚程度しか作られなかったらしく、また本人も『トレイラー・パーク』を1stアルバムとして言及しているようだ。『トレイラー~』ではウィリアム・オービットと懐を分かち、それ以降トラディショナルな音楽を演奏している。なので最初に聴く彼女自身の作品としては『トレイラー~』をお勧めするが、下のAmazonのリンクでは、①と⑨が収録されたベスト盤を紹介している。(k)

【hiroumiの感想】
ベス・オートンって、今回この記事の下書きを見るまで、俺はずっと男だと思っていた。まずはそこからいろいろイメージが崩れていったし、そしてこのアーチストを選んだkakudaya氏の好みからもっとバリバリなUKロック風シンガーなのかと思って下のYouTubeの①を聴いてみたら、アンビエント風なバックトラックで歌われていてさらにイメージが崩れていった。なんでもウィリアム・オービットを組んでいたこともあるらしくて、オービットというとこれも俺のイメージだけどそれこそアンビエント風な音楽性だったので、そこでようやく納得できた。しかし何で男だと思っていたんだろうな、ベスってどう転がっても女性名なのにね。



2013年10月13日日曜日

スペースメン 3 / Sound of Confusion


Spacemen 3 / Sound of Confusion

Spacemen 3 / Sound of Confusion(1986年リリース)
①Losing Touch with My Mind ②Hey Man ③Rollercoaster ④Mary Anne ⑤Little Doll ⑥2:35 ⑦O.D. Catastrophe ⑧Walkin' With Jesus ⑨Rollercoaster(Live) ⑩Feel So Good ⑪2:35 (Demo)


【アルバムについて】
1982年に結成したスペースメン3は1986年にこのアルバムでデビューした。60年代のガレージ・ロックのような音で③は13thフロア・エレベーターズ、④はジューシー・ルーシー、そして⑤はザ・ストゥージズのカバーというところからもガレージ度が伝わってくる。ついでに言うと⑦はやはりザ・ストゥージズの"T.V.Eye"をモチーフとした曲だろう。2枚目のアルバム以降はサイケデリック色が強くなり、ドローン系のバンドとなっていく。なお、CDのボーナストラックに収録された⑨のライヴ・バージョンは圧巻で、17分あるうちの後半10分以降からはずっと同じリフが繰り返されるという、ちょっとしたトリップ気分も味わえる(しかもフェイドアウトで終わるとか、実際に何分ぐらいやったんだよ)。シューゲイザー的側面もあって、もし1991年にバンドが消滅していなかったらもっと多くの聴き手を獲得できたんじゃないかと思う。

【オススメ度】★★★★★
1989年ごろ、当時の友人のところへ遊びに行った時に聴かされて「こういうの好きでしょ」と言われたことだけをよく覚えている。でもどのアルバムだったかは覚えていない。彼らのアルバムはどれも好きなんだけど、今でも頻繁に聴くのはやはりこのアルバムなので、これをいちばんにオススメしたい。分かり易いってところもあるからね。(h)

【kakudayaの感想】
90年代、音楽の情報源と言えば専らロッキング・オンやクロスビートといった洋楽誌で、即ち俺は音楽情報を活字から得ていた(その次に情報源となったのがtvkの音楽番組で、その次は数少ない友達)。従ってスペースメン3に関しては、スピリチュアライズドのジェイソン・ピアースの居たバンド、という情報を活字で得ていたのみであった。その当時、スピリチュアライズドを少しだけ聴いて興味が持てなかった俺が、スペースメン3に辿り着くことは今日までなかったのだ。今回、このようなオチのない文章を書かせていただいたことを好機と捉え、スピリチュアライズドの『宇宙遊泳』をもう一度聴き直してみようと思った。



2013年10月6日日曜日

ザ・ポウジーズ / フェイラー


ザ・ポウジーズ / フェイラー

The Posies / Failure(1988年リリース)
①Blind Eyes Open ②The Longest Line ③Under Easy ④Like Me Too ⑤I May Hate You Sometimes ⑥Ironing Tuesdays ⑦Paint Me ⑧Believe in Something Other (Than Yourself) ⑨Compliment? ⑨At Least for Now ⑩Uncombined ⑪What Little Remains

【アルバムについて】
中心人物であるジョン・オウアとケン・ストリングフェロウが作成したカセットテープが、後にシアトルのインディレーベルPopLlamaからリリースされた。それがザ・ポウジーズの1stアルバム『フェイラー』だ。パワーポップとかネオアコ/ギターポップとかのカテゴライズはよくわからないけど、ザ・ビートルズからウィーザーに至るまで、胸キュン(死語)するようなメロディを求めてる人に自信をもってお勧めしたいバンドのひとつ。

この1stアルバムに封入された宅録っぽいサウンドのチープさは気になるほどのものではないと思うが、残念ながら楽曲そのものはまだ未成熟である点は否めない。しかしながら、その才能の片鱗は確実に見え隠れし、⑤などはライヴの定番曲となっている。商業的には成功を収めたと言い難い彼らだが、2010年には7thアルバム『ブラッド/キャンディ』をリリースし、2011年には来日公演も果たしており、今後の活動にも期待したい。

【オススメ度】★☆☆☆☆
まずは3rdアルバム『フロスティング・オン・ザ・ビーター』を聴いてみて欲しい。話はそれからだ。因みにこの3rdアルバムのプロデューサーはドン・フレミング。(k)

【hiroumiの感想】
シアトルのインディレーベルからというので、てっきりグランジかと思って下のYouTube(⑤)を聴いたらまるで俺が80年代に親しんだポップ・ミュージックのようで面食らった。ずいぶん爽やかなんだけど、きっとこれ1曲で判断したら痛い目にあうんじゃないかと思われるのだが、ウィーザーが引き合いに出されるあたりはもしかしたらもしかするw いいじゃんこれ。