2013年5月12日日曜日

ジョイ・ディヴィジョン / アンノウン・プレジャーズ


Joy Division / Unknown Pleasures

Joy Division / Unknown Pleasures(1979年リリース)
①Disorder ②Day Of The Lords ③Candidate ④Insight ⑤New Dawn Fades ⑥She's Lost Control ⑦Shadowplay ⑧Wilderness ⑨Interzone ⑩I Remember Nothing

19歳の頃に友人と交わした会話より

俺:「ジョイ・ディヴィジョンってなんか暗いよな。」
友:「そんなことないよ、かっこいいじゃん、あれが分からないとかダメだな。」
俺:「そう?俺にはどうも合わないんだよな。『アンノウン・プレジャーズ』は重すぎる。」
友:「聴きが足りないんじゃない?暗いの好きじゃん?w」
俺:「まあ、好きだけど、なんかイギリスの暗さってダメなんだよね。」
友:「イギリスって一括りにするなよ。」
俺:「いや、俺ザ・スミスとかエコバニとか聴かないじゃん?なんかイギリス独特の暗さを感じるんだよ。それと同じ。」
友:「偏見だよそれ」
俺:「なんか病的じゃんw ところで、イアン・カーティスって首つり自殺だったでしょ、なんで首つりなんだろうね」
友:「確かに特殊だな」
俺:「そう、ロック・ミュージシャンの死に方ってクスリとか酒とか、あとは銃で撃たれるとかじゃん?それが首つりだよ、首つり。」
友:「死に方が俺たちに近いところにある方法だから、なんか同情する。」
俺:「しかも女性関係とかそんな理由で鬱になったとかじゃん、繊細すぎる。」
友:「それだけじゃないだろう、歌詞読んでる?孤独や疎外感なんかを歌ってるよ。」
俺:「うん、訳詞は読んだけど、そんなに読んでない。」
友:「①なんかさ、いきなり『無秩序』てタイトルだけど、辞書ひくとさ、ディスオーダーって心を狂わすって意味もあるんだよ」
俺:「そうなんだ」
友:「1曲目からこれだからな、重いというのもわかる気はする」
俺:「だろ?⑩なんて怖いぐらい重いよ『うぃーーーーーーーーーあすとれーんじゃー』ってあの低い声でw」
友:「ガラス割れてるしなw」
俺:「イアン・カーティスのヴォーカルが独特過ぎるよね」
友:「『クローサー』は聴いたことある?」
俺:「うん、もちろん、『クローサー』の方が好きかな、しょっちゅう聴くし。」
友:「おい、そっちのほうが重いじゃんw」
俺:「うん、重いね。だけどなんかすっきりしているんだよね。」
友:「イアン・カーティスが死んでから出たアルバムだから、聴けば納得できちゃうという感じ?」
俺:「そうそう、イアン・カーティスが首つり自殺したって前置きがあるから、どうしてもそれが先入観で・・・」
友:「そういう風に結び付けて聴く人がほとんどだろうね。」
俺:「もしかしたら正しく聴かれていないのかもな。」
友:「ところで、『クローサー』聴いているなら、1stとの違いって何か気が付く?」
俺:「え?違い?うーん、、、、曲のクオリティが上がったとか。」
友:「そんなんじゃなくて、1stの方がイアンの声が生き生きしているんだよ。」
俺:「え、そうなの?どっちも変わらないように思えるが・・・」
友:「よく聴いてみよ、①からすぐにわかるよ(と、『アンノウン・プレジャーズ』をかける)。」
俺:「あ、ほんとだ、声に張りが感じる。」
友:「だろ?まだこの頃はイアンも気合が入っていたんだろうな。」
俺:「このアルバムの後からなのかね、鬱になったり癇癪起こしたりってのは。」
友:「うん、この後でしょう。だからまだ『アンノウン・プレジャーズ』は希望みたいなものも感じるんだけどね。」
俺:「そうか、俺はとにかく暗いとしか感じなかったからなぁ。」
友:「もっとちゃんと聴いたほうがいいよw」
俺:「うん、そうする。でも『ラヴ・ウィル・ティア・アス・アパート』は重いけど好きだよ。」
友:「アルバム曲じゃないじゃんw ところでニュー・オーダーは?」
俺:「いや、聴いたことない・・・」
友:「邪道だな、聴きなよ」
俺:「わ、わかった・・・」
友:「ところで、イアンが自殺するときに聴いていたレコードがあるんだけど知ってる?」
俺:「いや、知らない。」
友:「イギー・ポップの『ジ・イディオット』なんだって。」



※最後のイギー・ポップのところは付け足しましたが、それまでの会話はその昔に友人と話したことのあることを若干の脚色で再現しました。ジョイ・ディヴィジョンに関して思っていることは今も上の会話で話しているようなことで、もしイアン・カーティスが自殺なんてしなかったらもっと聴き方もちがっただろうなと思う。ちなみに今でも俺は『クローサー』の方が好き。(h)



【イチオシの曲】She's Lost Control
初めて聴いたジョイ・ディヴィジョンの曲はこれ。『アンノウン・プレジャーズ』に収録されている曲はベースラインが強調されたものがいくつかあって、この曲もベースが主導という感じ。そこにイアン・カーティスのエコーをかけたヴォーカルが呪術的に響くところがツボにはまる。アルバムとシングルではバージョンが違って、シングルは『サブスタンス1977-1980』で聴くことができる。



2013年5月5日日曜日

ザ・ゴシップ / ザッツ・ノット・ホワット・アイ・ヒアード


ザ・ゴシップ / ザッツ・ノット・ホワット・アイ・ヒアード

The Gossip / That's Not What I Heard(2001年リリース)
①Swing Low ②Got All This Waiting ③Bones ④Sweet Baby ⑤Tuff Luv ⑥Got Body If You Want It ⑦Where the Girls Are ⑧Bring it On ⑨Heartbeats ⑩Catfight ⑪Jailbreak ⑫Southern Comfort ⑬And You Know... ⑭Hott Date

このレビューを書こうと思って、いきなり躓いたのがタイトルの日本語表記。この作品は日本盤がリリースされていないため、タイトルのカタカナ表記あるいは邦題がなく、'Heard'をどうカタカナ表記するか悩んだ。「ハード」の方が本来の発音に近いカタカナ表記かと思うが、これだと'Hard'をイメージしてしまいがちと思い、ここでは「ヒアード」とさせてもらった。また、蛇足ながらバンド名が'The Gossip'から'The'が取れて現在では'Gossip'を名乗っている点も書き添えておく。

俺とゴシップが出会ったのは、まだ20世紀だった2000年のHMV横浜VIVRE。今はないこの店舗で当時、店内のエスカレーター横にシングルCDのコーナーが設置されていたと記憶している。そこで目にした黒地に白のラインとピンクで'the GOSSiP'と書かれたD.I.Y.感あふれる雰囲気のジャケット。そこに印刷されたKレコードのロゴを見て購入を即決した。だがその中身を聴いてみると、カレージ直球なサウンド自体は大変好みであったものの、楽曲自体が俺の琴線に触れるようなものではなかった。更に、キル・ロック・スターズからリリースされたこの1stアルバムを中古で入手するも印象は変わらず。ここで一度ゴシップに対する興味を完全に失う。

数年後、スリーター・キニーやクアージ目当てで買った"BURN TO SHINE"の第3弾であるポートランド編にトリで出演していたゴシップを見て、ゴシップに対する印象が180度好転する。この時初めて動くメンバーの姿をキチンと確認したのだが、ぽっちゃりレヴェルでは済ませられない女性シンガーの貫禄、ファッションセンスとそのアクション、小汚いおっさんギタリスト(ここではベース)の佇まいのダサさ、この2人の醸し出す雰囲気にメチャメチャ惹かれて虜になった。そしてもうひとり、映像を繰り返し見てようやく気づいた男前ドラマーのおっぱいの存在。その3人の織り成す絶妙なバランスが堪らなかった。この頃のゴシップは3rdアルバム『スタンディング・イン・ザ・ウェイ・オブ・コントロール』がリリースされ英国で火が付き、ベス・ディットーがポップアイコンとして世間一般の注目を集めていた。ゴシップは俺の知らぬ間に成功を収めていたのだ。

この1stアルバムのガレージなサウンドは、ベスの歌にブレイス・ペインが奏でるシンプルなリフが絡みつくことで構成されており、ベースレスで抜けがいい。もっと言えばベスの声、ブレイスの演奏、その2つがあればこの頃のゴシップは成立していたと思う。ベスの歌い方はロックやパンクっていうよりもゴスペルとかの方が近いと思うが、この1stで聴けるサウンドに対してはガレージって言葉が本当によく似合う。ベースレスでガレージっていうとホワイト・ストライプスの名前が出てくるけど、ジャック・ホワイトのギタープレイと比較してブレイスのギターはカッコいいことを一切やろうとしてない。直球一本勝負なのが味にもなっていて好感が持てるし、逆に言えばそれしかできなかったのかもしれない。2007年の来日公演でブレイスはギターぶら下げたままシンセサイザーも演奏していたけど、ここでも決してカッコよくはない古臭いままのニューウェーヴ感が堪らなかった。この2つの個性は後に大きく化けるダイヤの原石たるものだったわけだが、見た目も含め大きくビルドアップしながらも現在までやっていること、やろうとしていることにブレがないのがいい。ガレージというよりはクラブ受けするダンスロック的な位置付けになったことと、ベスの服装やお化粧にお金を掛けられるようになったことは大きな違いかもしれないけれども。

ちなみに前述の"BURN TO SHINE"で演奏している男前な現ドラマーのハンナ・ブライリーは3rdアルバム『スタンディング~』からの参加で、この1stおよび2ndアルバム『ムーヴメント』では、後に助産師を目指して脱退するキャシー・メンドーサが叩いている。ハンナもベスと同じくLGBTのようで、4thアルバム『ミュージック・フォー・メン』のジャケットで見られるキリッっとした彼女の佇まいが本当に男前だ。その一方、2007年の来日時には髪の毛を伸ばして下ろしており、一目見て恋に落ちるほどスゲー好みの女の子だった。そんな彼女の双子の兄弟は、ザ・ブラッド・ブラザーズのツインヴォーカルの片割れらしい。以上、どうでもいい情報。

3rdアルバム『スタンディング~』およびそれに続く2枚のアルバムでは、シンセサイザーの多用などによりサウンドが華やかでダンサブルになりつつもその立ち位置といった基本路線に大きな変更はないのではないかと思う。そのルックスや行動、言動は極めてキワモノであるにも関わらず多くの人たちに受け入れられている点は注目に値する。グランジ等のオルタナティヴな音楽がメインストリームと化したり、ライオット・ガールやフェミニズム運動が注目された90年代初頭を連想させる部分もあり、LGBTかつ肥満体で真のオルタナティヴな存在であるベスが世間に受け入れられる様は痛快だ。また、フジロックフェスティバルへの出演を含む来日公演では、ニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」やビキニ・キルの「レベル・ガール」をカバーするなど、自身のルーツを明らかにする音楽ファンへのサーヴィスも興味深い。

5thアルバム『ア・ジョイフル・ノイズ』の日本盤帯に書かれた「次世代ダンスロックの決定版!」というダサカッコ悪いコピーに負けない今後の活躍を祈りつつこの文章を締める。(k)



2013年4月28日日曜日

ザ・デッド・ウェザー / 狂おしき薫り


The Dead Weather / Horehound

The Dead Weather / Horehound(2009年リリース)

①60 Feet Tall ②Hang You From The Heavens ③I Cut Like A Buffalo ④So Far From Your Weapon ⑤Treat Me Like Your Mother ⑥Rocking Horse ⑦New Pony ⑧Bone House ⑨3 Birds ⑩No Hassle Night ⑪Will There Be Enough Water?

元ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト、ザ・キルズのアリソン・モシャート、クイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジのディーン・ファーティタ、そしてザ・グリーンホーンズのジャック・ローレンスという豪華なメンツ・・・ごめん、俺はこれらの人たちが所属するバンドの曲を聴いたことがないんだ(笑)。ちゃんと今の音楽シーンを追っている人からすればある意味スーパーグループなのかもしれないが、俺はジャック・ホワイトしか知らないし、そのジャック・ホワイトだってようやく今頃になって興味をもったという程度なんだ。だから取り掛かりとして、そこから書かなくてはならいだろう。

ジャック・ホワイトに興味を持ったのは去年のこと。『ゲット・ラウド ジ・エッジ、ジミー・ペイジ、ジャック・ホワイト×ライフ×ギター』という映画のDVDを見たことに始まる。この映画はタイトルにある通り、U2のジ・エッジといまさら説明不要のジミー・ペイジ、そしてジャックの3人がそれぞれのギタースタイルをどう築きあげていったかとか、各々のバンドの話とかジャム・セッションを行っているものなのだが、俺は最初はジミー・ペイジを目当てに見ていた。だけどジャック・ホワイトの音楽へのこだわり、なんて言ってたのか今は思い出せないけど、それを見ていて若いミュージシャンなのに考え方がアナログで良いなと思った。そこからずっと心の片隅に残るようになっていた。その後彼のソロ・アルバム"Blunderbuss"の評判がいいのでこれも気になりながらもずっと未聴で、そんな中ふと、彼が以前組んでいたザ・ラカンターズのアルバムを聴く機会を得た。これが非常に良く、そこから俺はウィキペディアでジャック・ホワイトのことを読んだりして、その中でこのデッド・ウェザーの事を知ったのだった。だからこのアルバムを聴いたのはつい最近の事だと正直に告白しておく。

ザ・デッド・ウェザーを結成してこのアルバムを出した2009年というのはホワイト・ストライプスもまだ同時進行でやっていたってことになる。何せこのアルバムの日本盤についてAmazonを見ると「『ホワイト・ストライプスの新作までの繋ぎのプロジェクトだしね』なんて侮るなかれ」などと書かれている。ここでさらに白状すると、俺はホワイト・ストライプスも聴いていない。昔一度聴いてみようとしたが、何曲か聴いて好みじゃないと判断してしまったんだ。だからザ・デッド・ウェザーの立ち位置やこのアルバムが出た時の周りの反応なんてものもまったくわからないし、当時はきっと何の興味もなかったと思う。それが今になってなんだよって自分に突っ込みを入れたいぐらいだ。

さて、このアルバム、最近では珍しく邦題なんてついているわけだけど、結論を言ってしまうと俺好みのオドロオドロしたロックである。ガレージ・パンクやブルースの影響を残しつつ、ジャケットの貞子よろしく暗黒系な雰囲気を醸し出している。翌年リリースした"Sea Of Cowards"を聴いてしまうとこのアルバムはまだ手探り状態という感じもしなくないがそんなことはどうでもいい。UKロックがニュー・ウェイヴ以降を引きずっているような印象のバンドばかりというのと比べると、やはりアメリカのバンドのほうが俺には合っているなと思ってしまう。幅が広いんだよな。

なお、ジャック・ホワイト関連で『ゲット・ラウド』およびザ・ラカンターズについて教えてくれたSさんへこの場を借りて感謝!(h)

【イチオシの曲】Hang You From The Heavens
最初にシングルとしてリリースされた曲がこれのようだ。

2013年4月21日日曜日

ヘルメット / ストラップ・イット・オン


ヘルメット / ストラップ・イット・オン

Helmet / Strap It On (1990年リリース)
①Repetition ②Rude ③Bad Mood ④Sinatra ⑤FBLA ⑥Blacktop ⑦Distracted ⑧Make Room ⑨Murder

ヘルメットというバンドについて、大きい括りで言えばオルタナティヴロックということになるだろう。無機質でハードなサウンド故、ジャンクとかノイズとかいう言葉を使って紹介されるが、これらは耳障りで機械的な音を出す、あるいは/または、即興性の高い楽曲を創ったりする人たちを指す言葉だと思われる。奇をてらうようなことをせず、きっちりと構築、コントロールされたヘルメットのサウンドに対し、ジャンク、ノイズと形容するのはどうもスッキリしない。個人的にはポストハードコアという言葉がしっくり来るけど、この言葉も適用範囲が広すぎて何の説明にもなっていないような。ちなみに英語版Wikipediaでは、オルタナティヴメタルということになっている。ところで「ジャンク」というある音楽カテゴリを指す言葉は、「メロコア」と同じく日本で作られたもので日本でしか通じないから注意が必要だ。

言葉遊び的なことをツラツラと書いてしまったが、ヘルメットを一聴するとやはりメタルな印象が強い。しかし、その音にはハードロックであるとか、ヘアメタルであるとかとは一線を介した緻密さやストイックさがあり、もっと言うと機械的で冷たく、打込みに近いような硬いサウンド、リズムからは、情緒や人間性すら排除されているように感じる。見た目もハードロックやメタルからはかけ離れていて、短髪Tシャツジーンズスニーカーと、グランジ/オルタナティヴのムーブメントの一翼を担う存在だった。メタル的でありながら、メタルとは異なる存在。オルタナティヴメタルという言葉に相応しい。

この1stアルバム『ストラップ・イット・オン』は、90年にアンフェタミン・レプタイルからリリースされた後、91年にインタースコープから再リリースされた。荒削りながら、この1stアルバムの時点で既にサウンド、楽曲の根幹は確立されているのは、中心人物のペイジ・ハミルトンがキチンとした音楽の教育を受けていることも関係しているだろう。ハードロックやへヴィメタルとは無縁と思われがちな音楽理論といったものに裏付けられた楽曲は、当時としては真新しく、ニューメタルとかモダンヘヴィネスとか言われるような90年代以降に登場したメタルバンドに与えた影響は計り知れない。

90年代初頭のグランジ/オルタナティヴの流れに乗り、この1stアルバムに続いて92年にリリースされた2ndアルバム『ミーンタイム』でヘルメットは早くも成功を収める。94年リリースの3rdアルバム『ベティ』は、ジャケットも含めより広い層にアピールできる判りやすさもあった。4thアルバム『アフターテイスト』を97年にリリース後、98年には一度解散するが、04年に活動を再開。結局はヘルメット=ペイジ・ハミルトンであり、ヘルメットはメンバーを入れ替えながらも現在まで精力的に活動を継続している。また、ペイジ・ハミルトンの趣味なのか、参加する企画盤のカバー曲の選定がなかなか興味深い。Black SabbathやLed Zeppelinといったハードロックやメタル系は想定の範囲内だが、Bjorkの'Army of Me'、はたまた鉄人28号の海外版"Gigantor"のテーマまでもカバーしている。

ヘルメットを未聴で興味を持たれた方は、まずはとっつき易い『ベティ』あたりから是非聴いてみてほしい。最後に、今回ヘルメットを取り上げた動機のひとつは、㌻・ハミル㌧って書きたかったことを白状しておく。(k)





2013年4月14日日曜日

ユートピア / トッド・ラングレンズ・ユートピア



Todd Rundgren's Utopia(1974年リリース)
①Utopia Theme ②Freak Parade ③Freedom Fighters ④The Ikon

トッド・ラングレンは高校生の頃にロック名盤ガイド的な本でディスコグラフィを読みながら、いつか聴いてみたいと思いつつも未だ聴いていないアーチストの1人だ。タイミングを逃していると言えばそれまでだけど、この人の楽曲は基本はポップ・ミュージックのような印象があって、その時々で俺が求めているロックとは違うんだろうなという偏見も加わっているというのが正直なところ。そんなんで25年以上が過ぎているし、恐らく今後も進んで聴くことがないのかもしれない。不意に何かのきっかけで曲を聴いて「これ良いね」ってならない限りは。

そんなトッド・ラングレンがらみで唯一聴いているのがこのユートピアのデビュー・アルバム。なぜこのアルバムだけは聴いているのかというと、プログレをやっているからだ。10代後半からプログレを聴くようになり、先のロック名盤ガイドでもこのアルバムをプログレと形容していたことから興味を持ったわけだ。実際に聴いたのはもうちょとしてからだったけど、イギリスのプログレバンドよりもプログレっていて俺はこのアルバムがかなり好きだ。まず①はライヴ録音なのだが、もう初っ端から「どプログレ」な演奏。キーボード奏者が3人いるらしいが、もう狙っているとしか思えん。演奏時間も14分あり、ヴォーカルが出てくるまで7分ぐらいかかる。続く②はどことなくフランク・ザッパっぽくもある曲でこれも10分ぐらいある。③は4分程度の曲だけどプログレっぽさを醸し出している。アナログ時代はここまでがA面で、B面にあたる④はなんともまあ驚きの30分もある曲。そう、俺はこの④が30分という記述を見て非常に興味を持ったのですよ。いったいどんな曲だよって。

先ほどからプログレと言っているけど、プログレと言えばやはりイギリスのバンドの方が元祖(?)であって、実際にトッド・ラングレンもこのバンドを結成する前にイエスなどに夢中になっていたらしい。個人的な感想だけど、本家イギリスのプログレとアメリカン・プログレってどこか違うよなって思っていて、イギリスのは様式美のようなものを感じるのだけど、アメリカのそれはとにかくいろいろ詰め込んでやれって感じがしてしょうがない。テクニックに任せてやりたい放題というか、そんな印象がしてしまう。④なんて30分もあるけど展開がコロコロ変わるから退屈しないし、いつの間にか聴き終わっているって感じ。特に今の俺はイギリスのバンドによるプログレが重々しく感じてしまって、むしろこっちのほうが聴ける身体になってしまっている。以前は逆だったんだけどね。

それにしても、気になるのはこのアルバムの収録時間。トータルで59分、CDとなっている今では何てことはない長さだけど、アナログ時代だとA面B面それぞれ30分前後だったわけで、アナログレコードって片面が25分を超えてしまうと音もあまり良くないなんて言われていたし、18分ぐらいがベストじゃなかったかな?そんな時代にずいぶん長時間収録をしたよなって思ったりして、トッド・ラングレンって人はオーディオ的には細かいことは気にしなかった人なのかなと思ってしまう。確か彼のソロ・アルバムでも長時間収録のものがあった気がするけど。

ちなみにこのユートピアってバンドは、トッドがソロ活動と並行して1973年から1986年までやっていたんだよね。80年代のアルバムはリアルタイムで雑誌のレビューに載っていたのとか、ビートルズの曲の雰囲気を真似たアルバムもあったりする。今これを書いていて急に思い出した。トッドのソロはいいからユートピアを揃えようかな。(h)

【イチオシの曲】Utopia Theme
この曲がいちばんわかりやすいからね。トッド・ラングレンがやたらと細いな。



2013年4月7日日曜日

エラスティカ / エラスティカ



Elastica / Elastica(1995年リリース)
①Line Up ②Annie ③Connection ④Car Song ⑤Smile ⑥Hold Me Now ⑦S.O.F.T. ⑧Indian Song ⑨Blue ⑩All-Nighter ⑪Waking Up ⑫2:1 ⑬Vaseline ⑭Never Here ⑮Stutter

NWOBHM(New Wave of British Heavy Metal )という言葉がある。英国で70年代後半に登場したハードロック/ヘヴィメタル界隈のバンド達を指す言葉で、メタル好きなら一度は耳や目にしたことがあるのではないか。このように音楽のカテゴリーと言うか、音楽のムーブメントを指す言葉はいくつかあるが、その中で個人的にお気に入りなのがNWONW(New Wave of New Wave )だ。同じような界隈を指す言葉は、他にもポストパンクとかポストニューウェーヴとかニューウェーヴリバイバルとかなんて表現もあったりして、むつかしくてもうなんか訳が分からない。その中でもNWONWのちょっとマヌケっぽい言い回しが大好きなんだけど、ブリットポップという言葉に飲み込まれてしまい、あまり言及されることがないように思う。

そのマヌケな言い回しに含まれるバンドのひとつがエラスティカだ。この1stアルバム『エラスティカ』には、その楽曲にもサウンドにも贅肉が一切なく、中心メンバーのジャスティーン・フリッシュマンの眉毛よりも体臭(想像)よりも全てが濃く濃縮されている。その一方、まだまだ改善の余地がありそうな演奏力やインディー臭さも含め、ニューウェーヴとかブリットポップとかいう括りを抜きにしても一枚のロックアルバムとしてもう少し評価されても良いと思っている。ジャスティーンのルックスは好みが分かれるところだとは思うが、ドナ・マシューズ、アニー・ホーランドと、ギターやベースをぶら下げた女性3人が並ぶ姿は画になる。下に貼ったYouTubeの動画は、2種類作られた③のPVのひとつなんだけど、状態が良いものがYouTubeにはないようで残念。これは⑪のPVを作った時の素材を繋ぎ合わせただけみたいで、決して出来の良いものではないんだけど、ジャスティーンの苦虫を潰したような顔がリピートされるとこが堪らなく好きた。そして、ドナがただただひたすらに可愛い。アニーは箸休めで、唯一の男であるドラマーはどうでもいい。

本作がリリースされた90年代中期はブリットポップが全盛で、ジャスティーンは、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったブラーのデーモン・アルバーンとの恋愛や、スウェードのブレット・アンダーソンとの過去の関係などが話題を集めた。ブラーは今年2013年3月から9月にかけて、香港、台湾、日本、ジャカルタを含む世界各国で20回以上の公演が発表されている(が、残念ながら出演するはずだったTOKYO ROCKS 2013の開催自体がキャンセルされたため、来日の予定はなくなった)。再結成したスウェードは2013年になって新作『ブラッドスポーツ』を発表した。このようにブラーやスウェードがメンバーの脱退や活動停止、解散などの苦難を乗り越えながら今もなお最前線で活動を続けているのに対し、エラスティカは2ndアルバムをリリースするもドナ・マシューズの脱退などメンバーチェンジを繰り返した末に解散してしまい、その後のメンバーの音楽的な活動が話題になることもない。本当に寂しい限りだ。

本作で聴けるタイトでソリッドな曲達は、彼女たち、特にジャスティーンの積極性、勢いを感じさせるものであった。一方、シングルCD『コネクション』の3曲目に収録されている⑨"Blue"のデモ音源は、本アルバム収録の音源と同じ曲とは思えない繊細さと寂しさで溢れている。ドナの弾き語りによる宅録状態ゆえの劣悪な音質ですら、その良さを引き立てることに貢献しているような代物で、今でも大好きな1曲だ。この音源を聴いてしまってから、エラスティカの解散やジャスティーンのことよりも、ドナのその後の音楽キャリアがよくわからないままなのが残念でならない。(k)





2013年3月31日日曜日

ジョージ・ハリスン / 不思議の壁


Geroge Harrison / Wonderwall Music(1968年リリース)
①Microbes ②Red Lady Too ③Tabla And Pakavaj ④In The Park ⑤Drilling A Home ⑥Guru Vandana ⑦Greasy Legs ⑧Ski-ing ⑨Gat Kirwani ⑩Dream Scene ⑪Party Seacombe ⑫Love Scene ⑬Crying ⑭Cowboy Music ⑮Fantasy Sequins ⑯On The Bed ⑰Glass Box ⑱Wonderwall To Be Here ⑲Singing Om

ジョージ・ハリスンの発言で好きなのは、彼はビートルズの中でも「静かなるビートル(Quiet Beatle)」とメディアから言われてることに対して「でも心根は狂っているのさ。なんていったってビートルズの一員として務まったんだからね。」というもの。後期のビートルズの内情を知れば知るほどこの発言って真実味を帯びてくるんだよなぁって俺はいつも思っていて、例えばジョンやポールは音楽的にも言動的にもたびたびクレイジーさを醸し出していたけど、ジョージはそういうのを内に秘めていた感じがする。その鬱憤をジョージは、ビートルズの音楽性をひっかき回すことで打破しようとしていたような気がする。いや、ひっかき回すって言葉は正しくはないけど。

ジョージはビートルズのアルバムの中では毎回2曲程度しか収録してもらえず、それはやはりジョンとポールという稀代のメロディーメーカーがいたからなんだけど、それが『リボルバー』あたりから提供曲が少ないながらも自己主張を始めてくる。その中で真っ先に思いつくのがインド音楽の導入であり、ここは聴く人によって好き嫌いが大きく分かれることだろう。「ラヴ・ユー・トゥ」とか「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」なんかはそれぞれの収録されたアルバムの中でもかなり浮いている部類に聴こえてしまう。他にも「ジ・インナー・ライト」という曲があるが、いま思うとインドにはまっていた割には3曲ぐらいかという気がしないでもないが、そこはやはり遠慮していたのだろうか?

1968年にビートルズはアップル・レコードを設立し、その第1弾のLPとしてリリースされたのがジョージのこの『不思議の壁』で、ジェーン・バーキン主演の「ワンダーウォール」という映画のサントラという形をとっているが、ここではジョージのインド音楽の影響が存分に発揮されている。ヴォーカル曲は無し(一部インドの言葉で語られるものあり)、所々でロック風な曲もあるが、アルバムはなかなか手強いものがある。インド音楽が好きという人には難なく聴けるだろうが、「ヒア・カムズ・ザ・サン」とか「マイ・スイート・ロード」などのジョージのメロディアスな代表曲をイメージして聴くと2度と聴きたくないと思える代物なんじゃないかと思う。俺もいちどCD化されたときに買ったけど、通して聴けなかったぐらいだから。しかし、このアルバムはジョージがビートルズから解放されて自由にやっている感じがする。

ビートルズは楽曲の数でいえばジョンやポールがもちろんだけど、新しい発想を取り入れるきっかけとしてのジョージの貢献があったからこそ特に後期は面白いと思っている。クラプトンにソロを弾かせたり、悪名高き「ゲット・バック・セッション」ではビリー・プレストンを呼んで、ケンカばかりしていたバンド内の空気を中和させたり、その「ゲット・バック・セッション」が頓挫したあともフィル・スペクターの仕事を最後まで付き合って『レット・イット・ビー』を完成に導いたり、モーグ・シンセサイザーを『アビー・ロード』に取り入れたりなど、ジョージがいなかったらビートルズというバンドはもっと早く解散していたんじゃないかって思う。エゴの塊のようになっていくあの2人とは違って静かなるビートルではいたけれど、ジョージの言うようにまともな神経じゃビートルズの一員ではいられなかっただろうなと。(リンゴでさえ一度脱退したぐらいだからね)

『不思議の壁』はそれこそジョージのインド音楽と西洋音楽をうまく組み合わせようという、彼のやりたいことを具現化したものだけど、続けて出した『電子音楽の世界』というアルバムではそのモーグ・シンセサイザーを使ったA面1曲、B面1曲という電子ノイズが延々鳴っているというとんでもないアルバムを出している。実験的といえばそうなんだけど、俺にはビートルズでは満たされないはけ口のように聴こえてしまうということをオマケとして書いておく(好きなんだけどね、ノイズだから)。(h)

【イチオシの曲】Ski-Ing
エリック・クラプトンと2人でギター弾きまくってるでしょって感じの曲。本当はインド風なのをここに貼ろうかと思ったけど、この曲もバックでインド風味を感じられるので。