2013年4月28日日曜日
ザ・デッド・ウェザー / 狂おしき薫り
The Dead Weather / Horehound(2009年リリース)
①60 Feet Tall ②Hang You From The Heavens ③I Cut Like A Buffalo ④So Far From Your Weapon ⑤Treat Me Like Your Mother ⑥Rocking Horse ⑦New Pony ⑧Bone House ⑨3 Birds ⑩No Hassle Night ⑪Will There Be Enough Water?
元ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト、ザ・キルズのアリソン・モシャート、クイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジのディーン・ファーティタ、そしてザ・グリーンホーンズのジャック・ローレンスという豪華なメンツ・・・ごめん、俺はこれらの人たちが所属するバンドの曲を聴いたことがないんだ(笑)。ちゃんと今の音楽シーンを追っている人からすればある意味スーパーグループなのかもしれないが、俺はジャック・ホワイトしか知らないし、そのジャック・ホワイトだってようやく今頃になって興味をもったという程度なんだ。だから取り掛かりとして、そこから書かなくてはならいだろう。
ジャック・ホワイトに興味を持ったのは去年のこと。『ゲット・ラウド ジ・エッジ、ジミー・ペイジ、ジャック・ホワイト×ライフ×ギター』という映画のDVDを見たことに始まる。この映画はタイトルにある通り、U2のジ・エッジといまさら説明不要のジミー・ペイジ、そしてジャックの3人がそれぞれのギタースタイルをどう築きあげていったかとか、各々のバンドの話とかジャム・セッションを行っているものなのだが、俺は最初はジミー・ペイジを目当てに見ていた。だけどジャック・ホワイトの音楽へのこだわり、なんて言ってたのか今は思い出せないけど、それを見ていて若いミュージシャンなのに考え方がアナログで良いなと思った。そこからずっと心の片隅に残るようになっていた。その後彼のソロ・アルバム"Blunderbuss"の評判がいいのでこれも気になりながらもずっと未聴で、そんな中ふと、彼が以前組んでいたザ・ラカンターズのアルバムを聴く機会を得た。これが非常に良く、そこから俺はウィキペディアでジャック・ホワイトのことを読んだりして、その中でこのデッド・ウェザーの事を知ったのだった。だからこのアルバムを聴いたのはつい最近の事だと正直に告白しておく。
ザ・デッド・ウェザーを結成してこのアルバムを出した2009年というのはホワイト・ストライプスもまだ同時進行でやっていたってことになる。何せこのアルバムの日本盤についてAmazonを見ると「『ホワイト・ストライプスの新作までの繋ぎのプロジェクトだしね』なんて侮るなかれ」などと書かれている。ここでさらに白状すると、俺はホワイト・ストライプスも聴いていない。昔一度聴いてみようとしたが、何曲か聴いて好みじゃないと判断してしまったんだ。だからザ・デッド・ウェザーの立ち位置やこのアルバムが出た時の周りの反応なんてものもまったくわからないし、当時はきっと何の興味もなかったと思う。それが今になってなんだよって自分に突っ込みを入れたいぐらいだ。
さて、このアルバム、最近では珍しく邦題なんてついているわけだけど、結論を言ってしまうと俺好みのオドロオドロしたロックである。ガレージ・パンクやブルースの影響を残しつつ、ジャケットの貞子よろしく暗黒系な雰囲気を醸し出している。翌年リリースした"Sea Of Cowards"を聴いてしまうとこのアルバムはまだ手探り状態という感じもしなくないがそんなことはどうでもいい。UKロックがニュー・ウェイヴ以降を引きずっているような印象のバンドばかりというのと比べると、やはりアメリカのバンドのほうが俺には合っているなと思ってしまう。幅が広いんだよな。
なお、ジャック・ホワイト関連で『ゲット・ラウド』およびザ・ラカンターズについて教えてくれたSさんへこの場を借りて感謝!(h)
【イチオシの曲】Hang You From The Heavens
最初にシングルとしてリリースされた曲がこれのようだ。
2013年4月21日日曜日
ヘルメット / ストラップ・イット・オン
Helmet / Strap It On (1990年リリース)
①Repetition ②Rude ③Bad Mood ④Sinatra ⑤FBLA ⑥Blacktop ⑦Distracted ⑧Make Room ⑨Murder
ヘルメットというバンドについて、大きい括りで言えばオルタナティヴロックということになるだろう。無機質でハードなサウンド故、ジャンクとかノイズとかいう言葉を使って紹介されるが、これらは耳障りで機械的な音を出す、あるいは/または、即興性の高い楽曲を創ったりする人たちを指す言葉だと思われる。奇をてらうようなことをせず、きっちりと構築、コントロールされたヘルメットのサウンドに対し、ジャンク、ノイズと形容するのはどうもスッキリしない。個人的にはポストハードコアという言葉がしっくり来るけど、この言葉も適用範囲が広すぎて何の説明にもなっていないような。ちなみに英語版Wikipediaでは、オルタナティヴメタルということになっている。ところで「ジャンク」というある音楽カテゴリを指す言葉は、「メロコア」と同じく日本で作られたもので日本でしか通じないから注意が必要だ。
言葉遊び的なことをツラツラと書いてしまったが、ヘルメットを一聴するとやはりメタルな印象が強い。しかし、その音にはハードロックであるとか、ヘアメタルであるとかとは一線を介した緻密さやストイックさがあり、もっと言うと機械的で冷たく、打込みに近いような硬いサウンド、リズムからは、情緒や人間性すら排除されているように感じる。見た目もハードロックやメタルからはかけ離れていて、短髪Tシャツジーンズスニーカーと、グランジ/オルタナティヴのムーブメントの一翼を担う存在だった。メタル的でありながら、メタルとは異なる存在。オルタナティヴメタルという言葉に相応しい。
この1stアルバム『ストラップ・イット・オン』は、90年にアンフェタミン・レプタイルからリリースされた後、91年にインタースコープから再リリースされた。荒削りながら、この1stアルバムの時点で既にサウンド、楽曲の根幹は確立されているのは、中心人物のペイジ・ハミルトンがキチンとした音楽の教育を受けていることも関係しているだろう。ハードロックやへヴィメタルとは無縁と思われがちな音楽理論といったものに裏付けられた楽曲は、当時としては真新しく、ニューメタルとかモダンヘヴィネスとか言われるような90年代以降に登場したメタルバンドに与えた影響は計り知れない。
90年代初頭のグランジ/オルタナティヴの流れに乗り、この1stアルバムに続いて92年にリリースされた2ndアルバム『ミーンタイム』でヘルメットは早くも成功を収める。94年リリースの3rdアルバム『ベティ』は、ジャケットも含めより広い層にアピールできる判りやすさもあった。4thアルバム『アフターテイスト』を97年にリリース後、98年には一度解散するが、04年に活動を再開。結局はヘルメット=ペイジ・ハミルトンであり、ヘルメットはメンバーを入れ替えながらも現在まで精力的に活動を継続している。また、ペイジ・ハミルトンの趣味なのか、参加する企画盤のカバー曲の選定がなかなか興味深い。Black SabbathやLed Zeppelinといったハードロックやメタル系は想定の範囲内だが、Bjorkの'Army of Me'、はたまた鉄人28号の海外版"Gigantor"のテーマまでもカバーしている。
ヘルメットを未聴で興味を持たれた方は、まずはとっつき易い『ベティ』あたりから是非聴いてみてほしい。最後に、今回ヘルメットを取り上げた動機のひとつは、㌻・ハミル㌧って書きたかったことを白状しておく。(k)
2013年4月14日日曜日
ユートピア / トッド・ラングレンズ・ユートピア
Todd Rundgren's Utopia(1974年リリース)
①Utopia Theme ②Freak Parade ③Freedom Fighters ④The Ikon
トッド・ラングレンは高校生の頃にロック名盤ガイド的な本でディスコグラフィを読みながら、いつか聴いてみたいと思いつつも未だ聴いていないアーチストの1人だ。タイミングを逃していると言えばそれまでだけど、この人の楽曲は基本はポップ・ミュージックのような印象があって、その時々で俺が求めているロックとは違うんだろうなという偏見も加わっているというのが正直なところ。そんなんで25年以上が過ぎているし、恐らく今後も進んで聴くことがないのかもしれない。不意に何かのきっかけで曲を聴いて「これ良いね」ってならない限りは。
そんなトッド・ラングレンがらみで唯一聴いているのがこのユートピアのデビュー・アルバム。なぜこのアルバムだけは聴いているのかというと、プログレをやっているからだ。10代後半からプログレを聴くようになり、先のロック名盤ガイドでもこのアルバムをプログレと形容していたことから興味を持ったわけだ。実際に聴いたのはもうちょとしてからだったけど、イギリスのプログレバンドよりもプログレっていて俺はこのアルバムがかなり好きだ。まず①はライヴ録音なのだが、もう初っ端から「どプログレ」な演奏。キーボード奏者が3人いるらしいが、もう狙っているとしか思えん。演奏時間も14分あり、ヴォーカルが出てくるまで7分ぐらいかかる。続く②はどことなくフランク・ザッパっぽくもある曲でこれも10分ぐらいある。③は4分程度の曲だけどプログレっぽさを醸し出している。アナログ時代はここまでがA面で、B面にあたる④はなんともまあ驚きの30分もある曲。そう、俺はこの④が30分という記述を見て非常に興味を持ったのですよ。いったいどんな曲だよって。
先ほどからプログレと言っているけど、プログレと言えばやはりイギリスのバンドの方が元祖(?)であって、実際にトッド・ラングレンもこのバンドを結成する前にイエスなどに夢中になっていたらしい。個人的な感想だけど、本家イギリスのプログレとアメリカン・プログレってどこか違うよなって思っていて、イギリスのは様式美のようなものを感じるのだけど、アメリカのそれはとにかくいろいろ詰め込んでやれって感じがしてしょうがない。テクニックに任せてやりたい放題というか、そんな印象がしてしまう。④なんて30分もあるけど展開がコロコロ変わるから退屈しないし、いつの間にか聴き終わっているって感じ。特に今の俺はイギリスのバンドによるプログレが重々しく感じてしまって、むしろこっちのほうが聴ける身体になってしまっている。以前は逆だったんだけどね。
それにしても、気になるのはこのアルバムの収録時間。トータルで59分、CDとなっている今では何てことはない長さだけど、アナログ時代だとA面B面それぞれ30分前後だったわけで、アナログレコードって片面が25分を超えてしまうと音もあまり良くないなんて言われていたし、18分ぐらいがベストじゃなかったかな?そんな時代にずいぶん長時間収録をしたよなって思ったりして、トッド・ラングレンって人はオーディオ的には細かいことは気にしなかった人なのかなと思ってしまう。確か彼のソロ・アルバムでも長時間収録のものがあった気がするけど。
ちなみにこのユートピアってバンドは、トッドがソロ活動と並行して1973年から1986年までやっていたんだよね。80年代のアルバムはリアルタイムで雑誌のレビューに載っていたのとか、ビートルズの曲の雰囲気を真似たアルバムもあったりする。今これを書いていて急に思い出した。トッドのソロはいいからユートピアを揃えようかな。(h)
【イチオシの曲】Utopia Theme
この曲がいちばんわかりやすいからね。トッド・ラングレンがやたらと細いな。
2013年4月7日日曜日
エラスティカ / エラスティカ
Elastica / Elastica(1995年リリース)
①Line Up ②Annie ③Connection ④Car Song ⑤Smile ⑥Hold Me Now ⑦S.O.F.T. ⑧Indian Song ⑨Blue ⑩All-Nighter ⑪Waking Up ⑫2:1 ⑬Vaseline ⑭Never Here ⑮Stutter
NWOBHM(New Wave of British Heavy Metal )という言葉がある。英国で70年代後半に登場したハードロック/ヘヴィメタル界隈のバンド達を指す言葉で、メタル好きなら一度は耳や目にしたことがあるのではないか。このように音楽のカテゴリーと言うか、音楽のムーブメントを指す言葉はいくつかあるが、その中で個人的にお気に入りなのがNWONW(New Wave of New Wave )だ。同じような界隈を指す言葉は、他にもポストパンクとかポストニューウェーヴとかニューウェーヴリバイバルとかなんて表現もあったりして、むつかしくてもうなんか訳が分からない。その中でもNWONWのちょっとマヌケっぽい言い回しが大好きなんだけど、ブリットポップという言葉に飲み込まれてしまい、あまり言及されることがないように思う。
そのマヌケな言い回しに含まれるバンドのひとつがエラスティカだ。この1stアルバム『エラスティカ』には、その楽曲にもサウンドにも贅肉が一切なく、中心メンバーのジャスティーン・フリッシュマンの眉毛よりも体臭(想像)よりも全てが濃く濃縮されている。その一方、まだまだ改善の余地がありそうな演奏力やインディー臭さも含め、ニューウェーヴとかブリットポップとかいう括りを抜きにしても一枚のロックアルバムとしてもう少し評価されても良いと思っている。ジャスティーンのルックスは好みが分かれるところだとは思うが、ドナ・マシューズ、アニー・ホーランドと、ギターやベースをぶら下げた女性3人が並ぶ姿は画になる。下に貼ったYouTubeの動画は、2種類作られた③のPVのひとつなんだけど、状態が良いものがYouTubeにはないようで残念。これは⑪のPVを作った時の素材を繋ぎ合わせただけみたいで、決して出来の良いものではないんだけど、ジャスティーンの苦虫を潰したような顔がリピートされるとこが堪らなく好きた。そして、ドナがただただひたすらに可愛い。アニーは箸休めで、唯一の男であるドラマーはどうでもいい。
本作がリリースされた90年代中期はブリットポップが全盛で、ジャスティーンは、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったブラーのデーモン・アルバーンとの恋愛や、スウェードのブレット・アンダーソンとの過去の関係などが話題を集めた。ブラーは今年2013年3月から9月にかけて、香港、台湾、日本、ジャカルタを含む世界各国で20回以上の公演が発表されている(が、残念ながら出演するはずだったTOKYO ROCKS 2013の開催自体がキャンセルされたため、来日の予定はなくなった)。再結成したスウェードは2013年になって新作『ブラッドスポーツ』を発表した。このようにブラーやスウェードがメンバーの脱退や活動停止、解散などの苦難を乗り越えながら今もなお最前線で活動を続けているのに対し、エラスティカは2ndアルバムをリリースするもドナ・マシューズの脱退などメンバーチェンジを繰り返した末に解散してしまい、その後のメンバーの音楽的な活動が話題になることもない。本当に寂しい限りだ。
本作で聴けるタイトでソリッドな曲達は、彼女たち、特にジャスティーンの積極性、勢いを感じさせるものであった。一方、シングルCD『コネクション』の3曲目に収録されている⑨"Blue"のデモ音源は、本アルバム収録の音源と同じ曲とは思えない繊細さと寂しさで溢れている。ドナの弾き語りによる宅録状態ゆえの劣悪な音質ですら、その良さを引き立てることに貢献しているような代物で、今でも大好きな1曲だ。この音源を聴いてしまってから、エラスティカの解散やジャスティーンのことよりも、ドナのその後の音楽キャリアがよくわからないままなのが残念でならない。(k)
2013年3月31日日曜日
ジョージ・ハリスン / 不思議の壁
Geroge Harrison / Wonderwall Music(1968年リリース)
①Microbes ②Red Lady Too ③Tabla And Pakavaj ④In The Park ⑤Drilling A Home ⑥Guru Vandana ⑦Greasy Legs ⑧Ski-ing ⑨Gat Kirwani ⑩Dream Scene ⑪Party Seacombe ⑫Love Scene ⑬Crying ⑭Cowboy Music ⑮Fantasy Sequins ⑯On The Bed ⑰Glass Box ⑱Wonderwall To Be Here ⑲Singing Om
ジョージ・ハリスンの発言で好きなのは、彼はビートルズの中でも「静かなるビートル(Quiet Beatle)」とメディアから言われてることに対して「でも心根は狂っているのさ。なんていったってビートルズの一員として務まったんだからね。」というもの。後期のビートルズの内情を知れば知るほどこの発言って真実味を帯びてくるんだよなぁって俺はいつも思っていて、例えばジョンやポールは音楽的にも言動的にもたびたびクレイジーさを醸し出していたけど、ジョージはそういうのを内に秘めていた感じがする。その鬱憤をジョージは、ビートルズの音楽性をひっかき回すことで打破しようとしていたような気がする。いや、ひっかき回すって言葉は正しくはないけど。
ジョージはビートルズのアルバムの中では毎回2曲程度しか収録してもらえず、それはやはりジョンとポールという稀代のメロディーメーカーがいたからなんだけど、それが『リボルバー』あたりから提供曲が少ないながらも自己主張を始めてくる。その中で真っ先に思いつくのがインド音楽の導入であり、ここは聴く人によって好き嫌いが大きく分かれることだろう。「ラヴ・ユー・トゥ」とか「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」なんかはそれぞれの収録されたアルバムの中でもかなり浮いている部類に聴こえてしまう。他にも「ジ・インナー・ライト」という曲があるが、いま思うとインドにはまっていた割には3曲ぐらいかという気がしないでもないが、そこはやはり遠慮していたのだろうか?
1968年にビートルズはアップル・レコードを設立し、その第1弾のLPとしてリリースされたのがジョージのこの『不思議の壁』で、ジェーン・バーキン主演の「ワンダーウォール」という映画のサントラという形をとっているが、ここではジョージのインド音楽の影響が存分に発揮されている。ヴォーカル曲は無し(一部インドの言葉で語られるものあり)、所々でロック風な曲もあるが、アルバムはなかなか手強いものがある。インド音楽が好きという人には難なく聴けるだろうが、「ヒア・カムズ・ザ・サン」とか「マイ・スイート・ロード」などのジョージのメロディアスな代表曲をイメージして聴くと2度と聴きたくないと思える代物なんじゃないかと思う。俺もいちどCD化されたときに買ったけど、通して聴けなかったぐらいだから。しかし、このアルバムはジョージがビートルズから解放されて自由にやっている感じがする。
ビートルズは楽曲の数でいえばジョンやポールがもちろんだけど、新しい発想を取り入れるきっかけとしてのジョージの貢献があったからこそ特に後期は面白いと思っている。クラプトンにソロを弾かせたり、悪名高き「ゲット・バック・セッション」ではビリー・プレストンを呼んで、ケンカばかりしていたバンド内の空気を中和させたり、その「ゲット・バック・セッション」が頓挫したあともフィル・スペクターの仕事を最後まで付き合って『レット・イット・ビー』を完成に導いたり、モーグ・シンセサイザーを『アビー・ロード』に取り入れたりなど、ジョージがいなかったらビートルズというバンドはもっと早く解散していたんじゃないかって思う。エゴの塊のようになっていくあの2人とは違って静かなるビートルではいたけれど、ジョージの言うようにまともな神経じゃビートルズの一員ではいられなかっただろうなと。(リンゴでさえ一度脱退したぐらいだからね)
『不思議の壁』はそれこそジョージのインド音楽と西洋音楽をうまく組み合わせようという、彼のやりたいことを具現化したものだけど、続けて出した『電子音楽の世界』というアルバムではそのモーグ・シンセサイザーを使ったA面1曲、B面1曲という電子ノイズが延々鳴っているというとんでもないアルバムを出している。実験的といえばそうなんだけど、俺にはビートルズでは満たされないはけ口のように聴こえてしまうということをオマケとして書いておく(好きなんだけどね、ノイズだから)。(h)
【イチオシの曲】Ski-Ing
エリック・クラプトンと2人でギター弾きまくってるでしょって感じの曲。本当はインド風なのをここに貼ろうかと思ったけど、この曲もバックでインド風味を感じられるので。
2013年3月24日日曜日
アヴリル・ラヴィーン / レット・ゴー
Avril Lavigne / Let Go(2002年リリース)
①Losing Grip ②Complicated ③Sk8er Boi ④I'm with You ⑤Mobile ⑥Unwanted ⑦Tomorrow ⑧Anything But Ordinary ⑨Things I'll Never Say ⑩My World ⑪Nobody's Fool ⑫Too Much to Ask ⑬Naked
現代のロックスターと言えば、誰のことを想像するだろうか。スーパースターでもギターヒーローでもなく、ロックスター。
ちょっと考えてみたけれども、適切な人が思い浮かばない。グルーピーをとっかえひっかえとか、ホテルの窓からテレビを投げ捨てるとか、薬漬けとリハビリ施設を往復するとか、27歳で死んでしまうとかをするような人を思い浮かべてみたが、どうもしっくり来ない。そもそもセックス・ドラッグ・ロックンロールなんていう感性が古い。
ロックの範疇からは外れるが、エミネム、あるいはジェイ・Zとかショーン・コムズとかはどうだろうか。あるいはレディ・ガガ。彼女はなかなかそれに近い存在ではないだろうか。あのような奇抜なルックスはほとんど宇宙人だ。でも、これらの人たちはギターをかき鳴らすわけでも、ギターを叩き壊すわけでもないわけで、スターやヒーロー(ヒロイン)というよりはセレブリティという方がしっくりくるかも。そもそもロック=エレキギターなんていう感性が古い。
もっと言えばロックスターという言葉を耳にして、ゲーム会社だったり、裏原宿系(?)のブランドのことを思い浮かべる人もいるかも知れない。憧れの存在としてのロックスターが不在しているというよりも、ロックスターという言葉を持ち出す感性が古い。時代遅れなのかもしれない。
アヴリル・ラヴィーンの歌う③('Sk8tr Boi'という綴りはテキストメッセージ文化に馴染んでいるデジタルネイティヴ世代を感じさせる)は、過去に振ってしまったスケボー少年が、気付けばスーパースターになっていたという女の子視点のストーリーが歌詞となっている。この曲は1stアルバム『レット・ゴー』からの2ndシングルで、フジテレビ系の朝の情報番組「めざましテレビ」でこのPVがちょこっと紹介されたりしたと記憶している。それにしても21世紀だというのに、パンク=スケーターとか、MTVでロックしてるとかなんか感性が古い。おいおい、ホントにこれ、十代の女の子が書いた歌詞なの?って思ったけど、制作にはプロデューサー集団ザ・マトリックスが絡んでるので正確なところはわからない。若い子が共感できる歌詞なのかホントに疑問だけれども、そのような価値観は世界各地ではまだ健在なのかもしれないし、曲がブレイクすることと歌詞の内容に相関関係はないのかもしれない。
そんなわけでザ・マトリックスというしっかりとした後見人が居るためか、そのクリーンで無駄に骨太なサウンドがとても心地良い。どこまで彼女の手によるものかはわからないが、売れ線気味の楽曲は全てクオリティが高い一方、良くも悪くも金太郎飴状態の曲を繰り返し聴くのは少々食傷気味だ。などと否定的な表現を使ってしまったがこれは褒め言葉で、彼女の恵まれたルックスを含め、この万人受けする要素がこれだけ揃っていることは本当に素晴らしいと思う。日本でももうちょっと売れてもよかったのではないだろうか。レコード会社のマーケティングに問題があったのではないかとすら考えてしまう。感性の古い俺になんて言われたくないと思うけど。
ザ・マトリックスは、コーンやリズ・フェアなどとの仕事が興味深い一方、バステッドやスカイ・スウィートナム、マクフライ、リリックスなどにも曲の提供やプロデュースをしているようで、アイドルに近いロックやポップスを専門としているようだ。今の時代(と言ってもこの作品がリリースされたのはもう10年以上前だが)、レコードをスクラッチさせる効果音とか部分的にラップを入れるとか当たり前になっているようで、今作でも聴けるこれらの装飾は個人的には余計にしか思えず好みじゃない。アヴリルにはいつか、売れ線プロデューサーの協力なしに荒削りなバンドサウンドのみで作った曲を聴かせて欲しいと期待してる。
アヴリルが同じカナダ出身のSUM41のフロントマンと結婚した時は、若くしてそう来るか!と思ったが、その次がニッケルバックのあのおっさんっていうのは驚いた。やはり彼女の感性は古いというか、ちょっとズレてるのかもしれない。(k)
2013年3月17日日曜日
デヴィッド・ボウイ / David Bowie
David Bowie(1967年リリース)
①Uncle Arthur ②Sell Me A Coat ③Rubber Band ④Love You Till Tuesday ⑤There Is A Happy Land ⑥We Are Hungry Men ⑦When I Live My Dream ⑧Little Bombardier ⑨Silly Boy Blue ⑩Come And Buy My Toys ⑪Join The Gang ⑫She's Got Medals ⑬Maid Of Bond Street ⑭Please Mr. Gravedigger
1990年にアメリカのライコディスクがデヴィッド・ボウイのアルバムの再発を始めた。俺もそれがきっかけで聴くようになったのだが、その時はてっきり『スペース・オディティ』が1stアルバムなのかと思っていた。「RCA時代のアルバム」という前置きがあったこともあるが、ほどなくして特集されたレコード・コレクターズ誌で実はその前にもう1枚あるんだよってのを知ったものの、ずっと軽視していてなかなか聴くことがなかった。そもそも『スペース・オディティ』が再出発となった1枚と言われてたことから、じゃあそれが1枚目でいいじゃんなんて思っていたものだからなおさら手を出さずいたのだ。
デヴィッド・ボウイは1960年代に本名のデイヴィー・ジョーンズの名前でグループを結成して音楽活動を始めたもののヒットに恵まれず、ソロになる際にデヴィッド・ボウイと改名し、デッカレコード傘下のレーベル「デラム」からデビューをした。最初にシングル2枚をリリースし、その後にリリースされたのがこのデビュー・アルバム『デヴィッド・ボウイ』で、シングルカットとして④もリリースされている。1967年という時期だけに、当時のブリティッシュ・ポップ色の濃い内容となっている。しかしこれがデヴィッド・ボウイの原点!と言っていいのかどうか、俺は正直迷っていた。しつこいようだが『スペース・オディティ』こそ原点と思っていたからだ。
このアルバムはほとんど話題になることが無く、デラムからも解雇されてしまうという憂き目に遭っているのだが、その一方でボウイはリンゼイ・ケンプのパントマイムに衝撃を受けて弟子入りをしたり、仏教にのめりこんだりしていくなかで徐々に自己のアイデンティティを確立し、RCAに籍を置くようになってからのフォーク色の強い初期、そしてグラム・ロック期へとなだれ込み一気に立ち位置を確立していく。やはりこの時期以降のインパクトが大きすぎて、デラム期のこのアルバムへの焦点はなかなか当たりにくいというのがある。唯一このアルバムとシンクロするのが60年代のヤードバーズやザ・フー、キンクスなどをカバーした1973年の『ピン・ナップス』ぐらいなんじゃないだろうか。しかしこのデビュー・アルバムに聴きどころがないのかと言えばそんなことはなく、時代を反映したサイケデリックな部分や演劇的な要素やストリングスを散りばめた楽曲たちはそれなりに個性があって面白い。
実はボウイは2001年ごろに、デビュー前の「埋もれた曲」をセルフカバーした"Toy"というアルバムをリリースしようとしていたが、レコード会社とすったもんだしてお蔵入りしている。その中には⑨も含まれていて、もしこのアルバムが正式にリリースされていたら彼のデビュー前後のことももっと語られていたのではないかと思うと残念である。結局は一部の愛好家がリークされたアルバムを聴いているに過ぎない(ごめん、俺も聴いているけど)。それはさておき、ボウイ自身がデビュー前の曲を蘇らせようとしていたのは事実だし、そう考えるとソロ・デビュー前からこのアルバムまでは原点というよりは原石なんじゃないかと思う。RCA時代のボウイの楽曲は発表された時点ですでに完成されていたのに対し、このアルバムの曲はアレンジのしようによってはもっと良くなるんじゃないかとかつい考えてしまう。
だけど俺はこのアルバムは「デヴィッド・ボウイ」というブランドというよりは、60年代のブリティッシュ・ポップのアルバムとして聴いているほうが断然楽しめるという結論に達しているので、RCA時代とどうこうとか、特にそんな比較はしていないというのが本音。散々そんなことを書いておいて最後に何を言ってるのかって感じだけど。(h)
【イチオシの曲】Love You Till Tuesday
邦題「愛は火曜日まで」というそのまんまのタイトル。
いかにも60年代って感じのこの映像は、後のドギツイ化粧をしたグラム・ロック時代のボウイと同じ人物とは思えない・・・。
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