2013年3月3日日曜日

ディーヴォ / 頽廃的美学論


Devo / Q:Are We Not Men? A:We Are Devo!(1978年リリース)
①Uncontrollable Urge ②(I Can't Get No) Satisfaction ③Praying Hands ④Space Junk ⑤Mongoloid ⑥Joko Homo ⑦Too Much Paranoias ⑧Gut Feeling/(Slap Your Mammy) ⑨Come Back Jonee ⑩Sloppy (I Saw My Baby Gettin') ⑪Shrivel-Up

かれこれ30年ぐらいはロックやらなにやらと音楽を聴き続けてきて耳も肥えてしまったせいか、かつての名曲がいかなるアレンジでカバーされようが大して驚かなくなってしまった。だけど10代の頃に②を聴いたときは、しばらくはまさかそれがローリング・ストーンズのカバーだったとは思いもしなかった。同名異曲だろうぐらい思っていたから後にカバーと知った時のインパクトと来たら相当のものだった。それを知ってからようやくストーンズの原曲と同じに聞こえたという、俺の耳は元の曲のイメージに縛られすぎだったわけなんだけど、1978年にこの曲がリリースされた頃だってきっと衝撃度は大きかったんじゃないだろうか?

俺は長らくこのバンドのことを「テクノポップの元祖」的な存在だと思っていた。雑誌などでもそう書かれることが多かったし、確かにそういう要素もある。②がきっかけでYMOはビートルズの「デイ・トリッパー」をテクノ風カバーにアレンジしたし、間違いなく影響を受けているであろうプラスチックスや、今だと電気グルーヴ(も、間違いなく影響受けていると思う)など、テクノ系のフォロワーが多い。そんな前提で俺はこの『頽廃的美学論』を聴いたのだけど、このアルバムだけを聴くとテクノ色は薄い。むしろニューウェイヴのバンドじゃないかとすら思う。①を最初に聴いたときはパンクを聴いているのかと。

もともとこのバンドは主要メンバーのうち2人が様々な機械から発せられるノイズをもとにパフォーマンスをするというアヴァンギャルドなことをやっていたらしく、当然誰も見向きもしなかったとか。それでもっと音楽的な方向へ向かうためにロックのフォーマットを取り入れ、その際にエレクトロニクス、つまりシンセサイザーも導入したというのが最初の頃だったらしい。そんな彼らのデモテープに興味を示したのがデヴィッド・ボウイとかイギー・ポップとか、ブライアン・イーノにロバート・フリップという、つまりボウイの「ベルリン3部作」のころに集まっていた人たちというのだから、これは必然的にイーノがプロデュースすることになるでしょうみたいな流れだったのかね。そんな感じがする。でもバンドのメンバーはイーノのプロデュースしたこのアルバムの出来にはちょっぴり不満だったらしい。

でも俺はそんなことはどうでもいいんだよね。とにかくこのアルバムは好き。①や②はもちろん、⑤はモンゴロイドってなんだよって感じだし、⑥はもはやクラシックみたいなもんだし、⑨のなぜかいきなりの女性コーラスとか。そしてメンバーのルックスも。赤い段々の帽子や黄色のつなぎでメンバー全員揃えたり、最初に見たときはこいつらイロモノ?と思ったものです。いま、今でも正直そう思っているよ、メインストリームなバンドではないから、今となっては若い人たちがこのバンドを知る機会って少ないと思う。で、いまこれを書きながら思ったけど、80年代終わりの日本のインディーズ・ブームで、ナゴムレコードの有頂天なんかはディーヴォのコンセプトに近いものがあったんじゃないだろうか。こうして今振り返ると、いま40歳以上の人間には意外と影響力が大きいバンドじゃないか。あの布袋寅泰も言ってたし「群馬でディーヴォは強力でしたよ」と!(h)

【イチオシの曲】(I Can't Get No) Satisfaction
本当は彼らのオリジナル曲といきたいところだけど、曲のインパクトを考えてこれ。これを最初に聴いてストーンズの曲?と気づいた人たちは大したもんだと思うよ。




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