2012年10月14日日曜日

ホール / プリティ・オン・ジ・インサイド


Hole / Pretty On The Inside(1991年リリース)
①Teenage Whore ②Babydoll ③Garbage Man ④Sassy ⑤Goodsister/Badsister ⑥Mrs. Jones ⑦Berry ⑧Loaded ⑨Star Belly ⑩Pretty On The Inside

イントロもなく「私が十代の娼婦だった頃~」なんて歌い出す①から始まるこのアルバムを作ったバンドの名前はホール、もちろんその意味するところは「穴」である。その見た目も、その歌声も、その演奏も、決して褒められたものではない。フロントに立つコートニー・ラヴは、ステージでPAに片脚を乗せ大きく股を開き、ギターを掻き鳴らし、喚くように歌う。ただただ下品である。

ところで、'Whore'って単語の日本語訳が娼婦、売春婦とか売女ってのはちょっと古いというか昭和臭がするというか。ヤリマン、ビッチ的な意味なのか、あるいはお金を稼ぐという意味では援交、ウリとか。もう少しサーヴィスが具体的ならデリヘルとか。「十代の○○」って言い回しも日本語だとあまりしないような。「私が援交してた十代の頃~」って少しでも違和感のない日本語になるようにと工夫してみたが、なんかしっくりこない。

閑話休題。

ニルヴァーナのカート・コバーンの名声を利用してのし上がったと思われている節があるコートニー・ラヴ。しかし、ニルヴァーナが『ネヴァーマインド』でブレイクする前に発売されたホールの1stアルバムのプロデューサーには、なんとソニック・ユースのキム・ゴードンと、ザ・ヴェルヴェット・モンキーズ、B.A.L.L.やガンボールのフロントマン、ドン・フレミングが名を連ねている。つまり、この時点ではニルヴァーナよりもホールの方が有望視されていたことが容易に想像できる。あれ?何のエクスキューズにもなってないか?

余談だが、ドン・フレミングがプロデュースした作品には、ティーンエイジ・ファンクラブの『バンドワゴネスク』、スクリーミング・トゥリーズの『スイート・オブリビオン』、ザ・ポウジーズの『フロスティング・オン・ザ・ビーター』なんていうのがある。なんとまぁ俺好みなこと!

閑話休題アゲイン。

さすが二人もプロデューサーが付いてるだけあってかそれぞれの曲にはフックがありアルバムの構成もしっかりしたモンです。③や⑤あたりのちょっと引きずるようなサウンドとメロディが個人的には好き。シングルカットされた①は英国のインディ・チャートで1位を記録しているが、コートニーの個性的なヴォーカルと赤裸々な歌詞以外は平凡な気がする。そんな中で注目すべきはノイズとサウンドコラージュで構成される実験的な⑨。2分にも見たない曲ではあるが、曲の終盤に挿入される「ベスト・サンデイ・ドレス」のメロディがたまらなくカッコイイ!この曲はもともとコートニーがベイブス・イン・トイランドのキャット・ビーエランドと組んでいたバンドの音源のようで、後に3rdアルバム『セレブリティ・スキン』製作時に改めて録音されたものよりもこの初期のバージョンのほうが好みなんだなぁ。

とまぁそんなカンジで、ホールに関しては2ndアルバム『リヴ・スルー・ディス』だけ聴いとけば良いんじゃないかなぁ。この『プリティ・オン・ジ・インサイド』は、決して人には勧められるような作品じゃあないことだけは確かです。でもね、俺は大好きなんですよ、このアルバム。

P.S.
ニルヴァーナとホールの両方に興味があるなんて人には、幼少のカート・コバーンがジャケットを飾る『ビューティフル・サン』ってシングルを是非聴いて欲しい。入手は困難だと思うので、『マイ・ボディ・ザ・ハンド・グレネード』って編集盤をどうぞ。幼少のカートのジャケットはググって探して見てみてね。

あともうひとつ書かせて。ソースは失念したが、コートニーが「ミート・パペッツの曲をカートが歌うとそのメロディの良さが分かる」という旨の発言をしていたと記憶している。全くその通りで、後にカート・コバーンの手による曲だとバレてしまった「オールド・エイジ」や、ニルヴァーナのセルフタイトルのベスト盤『ニルヴァーナ』で世に発表される以前にホールがMTVアンプラグドで歌った「ユー・ノウ・ユーアー・ライト」なんて、コートニーが歌うとそのメロディの良さが全て台なし。

でもね、俺はホントに大好きなんですよ、ホールってバンド。(k)

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