2012年7月8日日曜日

ニール・ヤング / Neil Young


Neil Young(1968年リリース)
①The Emperor Of Wyoming ②The Loner ③If I Could Have Her Tonight ④I've Been Waiting For You ⑤The Old Laughing Lady ⑥String Quartet From Whiskey Boot Hill ⑦Here We Are In The Years ⑧What Did You Do To My Life? ⑨I've Loved Her So Long ⑩The Last Trip To Tulsa

ニール・ヤングはファンを裏切り続けながら40年以上も活躍している。アルバムを出すたびにそのスタイルをコロコロ変え聴く者を惑わせる。80年代には「売れないレコードばかり作り続けている」と、ゲフィン・レコードに訴訟まで起こされている。フォーク、ロック、カントリー、グランジ、ノイズなどその音楽性は広く、その何をやるのか分からないところに惹かれる者も多数いる。俺みたいに。

そんなニール・ヤングは60年代にバッファロー・スプリングフィールドのメンバーとしてデビュー。しかしメンバー同士の衝突が多く(特にニールとスティーブン・スティルス)アルバム3枚で解散してしまう。早くもバンドでやっていくのは懲り懲りと思った彼はソロ・アルバムを製作し、1968年に発表されたのがこのアルバムだ。後の代表曲となる②やフォークの大作⑩が早くも生まれてはいるが、収録された曲はどれもがこじんまりとしてまだ遠慮がちな面が見られる。その後何十枚とリリースされる彼のアルバムの中でもこの1stアルバムだけがどことなく違うものに感じるのは、アナログLPで言うところのA面B面のそれぞれ1曲目(①と⑥)がインストゥルメンタルだからだろうか?そして若干サイケデリックな雰囲気があるところが他のアルバムと大きく違うところでもあると思う。ライ・クーダーやジム・メッシーナがゲスト参加している点も見逃せない。

なお、このアルバムは1968年にリリースされるも、その音に満足していなかったのか数曲をリミックスしなおして翌1969年に再リリースしている。こんなエピソードがデビュー時からあるなんて、ここ10年ぐらいのアルバムでは必ずと言っていいほどDVDやブルーレイのフォーマットでもリリースしているのも頷ける。

1stアルバムを発表後の彼はバンドは懲りたと思いながらも次作ではクレイジー・ホースをバックに従えたり、スティーヴン・スティルスの誘いでクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングに参加する一方で、3枚目のソロ『ハーヴェスト』が大成功して多くのファンを獲得することになるが、早くもメインストリームにいることに嫌気がさし、その後は新曲だけのライヴ・アルバムや難解なサントラ盤をリリースするなど、まるで「お前らが望むものなんか作らねーよ」と言わんばかりの行為に走る。せっかく掴んだ成功をムダにしていると当時は思われたことだろうけど、彼にはそんなことはどうでも良かったようで、それが現在までの活動の原動力にもなっているのだと俺は思っている。天邪鬼とかひねくれ者って気もするが、音楽に対してはその時にやりたいことをやるという素直な人なんだと思う。そこが俺はたまらなく好きで20年以上も聴いているわけだ。(h)

【イチオシの曲】The Loner
1979年の『ライヴ・ラスト』のソリッドな演奏のほうが断然カッコいいけど、ここでのキーボードやストリングスでアレンジされたバージョンも良い。孤独者?一匹狼?そんなタイトルもニール・ヤングにぴったりだけど、女に去られて死んだも同然みたいな歌詞があるところなんかは男の弱さが歌われているんじゃないかなって思えたりする。


0 件のコメント:

コメントを投稿