2013年2月10日日曜日
スティーヴィー・ニックス / 麗しのベラ・ドンナ
Stevie Nicks / Bella Donna(1981年リリース)
①Bella Donna ②Kind Of Woman ③Stop Draggin' My Heart Around ④Think About It ⑤After The Glitter Fades ⑥Edge Of Seventeen ⑦How Still My Love ⑧Leather And Lace ⑨Ouside The Rain ⑩The Highwayman
映画『スクール・オブ・ロック』で舞台となる小学校の、堅物な女校長がバーで流れる⑥に酔った勢いで踊りだし、若いころに観たスティーヴィー・ニックスのライヴが最高だったと話すシーンがある。俺はこのシーンが実によくできているなと思ったのだけど、今の40代50代の人、特にアメリカではスティーヴィー・ニックスの存在はかなり大きかったんじゃないかと思うからだ。70年代にフリートウッド・マックに参加し、瞬く間にバンドの看板的存在となった彼女は多くの人にとってはある意味青春だったんじゃないかと。俺も80年代では好きな女性シンガーのひとりだったし。
70年代初頭に、恋人だったリンジー・バッキンガムとバッキンガム・ニックスというデュオで活動していたが、彼らの曲を聴いたミック・フリートウッドが自身のバンド、フリートウッド・マックに誘い込んだ。話によると当初はリンジーだけに声がかかったそうだが「スティーヴィーも一緒じゃなきゃ入らない」と言ったとかで2人そろっての加入となったらしい。このことが無かったらきっとスティーヴィー・ニックスという人は日の目を見なかったことだろう。2人が入ったフリートウッド・マックは音楽性がさらにアメリカナイズされたことにより一躍スーパーバンドとなる。特に「妖精のような」と形容されたスティーヴィーはすぐにバンドの顔となり1977年の『噂(Rumors)』では大ヒットを記録した。その後、彼女はソロ・アルバム用のデモの録音を始め、2年かけて創り上げていったのがこの『麗しのベラ・ドンナ』ということになる。
このアルバムではフリートウッド・マックのメンバーはまったく関与しておらず、トム・ペティやイーグルスのドン・ヘンリーなどがゲストとして参加している。俺が最初に聴いた彼女のアルバムは2枚目の『ザ・ワイルド・ハート』と3枚目の『ロック・ア・リトル』で、いかにも80年代の打ち込みやシンセサイザーが入った流行りの楽曲が並んでいたが、このアルバムではオーソドックスなアメリカン・ロックを聴くことができる。その中でもロック・タイプの⑥は代表曲であって、俺もかつて「ベスト・ヒット・USA」で見たライヴ映像でこの人に惹かれてしまったことを思い出す。当時の彼女のルックスや衣装などを含め「妖精のような」と言われたその存在感に圧倒された。ついでにあのハスキー・ヴォイスというかダミ声にも(笑)。
しかしフリートウッド・マックのアルバムでは数曲しか聴けない彼女のヴォーカルに物足りなさを感じるのに、いざこうして彼女のソロ・アルバムを聴くと、クリスティン・マクヴィーやリンジー・バッキンガムの曲が恋しくなるのはやはりあのバンドの持つマジックというものなんだろうか?もちろん彼女にも才能があるのは分かっているけど、シングル・ヒットした③や⑧はそれぞれトム・ペティとドン・ヘンリーとのデュエット曲で、グループや共演者によってさらに輝く人なんじゃないかと思う。そう考えると、人間関係がぎくしゃくしていた当時のフリートウッド・マックを脱退しなかったのもそういうことだったのだろう。
ところで、やはりこれは触れておかないといけないと思うのだが、妖精のようなという形容詞は間違っていないし、実際に美しい人であると思うけど、あのハスキーというかダミ声ヴォーカルは何でそんな喉つぶれているのって思っちゃうし、マック時代はコカイン中毒で苦しんでいたなんて話を聞くと結構アバズレだったんじゃないかって思ってしまうよね。でも実はいいところのお嬢さんだったようだけど、そのバランスがまた唯一無二の存在となんじゃないかと思う。(h)
【イチオシの曲】Edge of Seventeen
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