2013年2月17日日曜日
フリートウッド・マック / ピーター・グリーンズ・フリートウッド・マック
Fleetwood Mac / Peter Green's Fleetwood Mac(1968年リリース)
①My Heart Beat Like A Hammer ②Merry Go Round ③Long Grey Mare ④Hellhound On My Trail ⑤Shake Your Maneymaker ⑥Looking For Somebody ⑦No Place To Go ⑧My Baby's Good To Me ⑨I Loved Another Woman ⑩Cold Black Night ⑪The World Keep On Turning ⑫Got To Move
学生の頃、貸しレコード屋で何を借りようかを物色しているときに、フリートウッド・マックのコーナーが目に入った。当時まだ『ミラージュ』しか聴いていなかったけど、彼らの音楽が好きだった俺は、何か借りようかなとレコードを引っ張り出してみると、出てきたのが女装をして驚いたような顔のしているオッサンのどアップ写真のジャケット。え?ちょっとちょっと、何このウザいオッサンのジャケット!とビックリした俺はそのレコードを戻したのは言うまでもない。当時は、前回のスティーヴィー・ニックスのところでも書いたけど、フリートウッド・マックというのは女性2人、男性1人のヴォーカリストを擁するポップ・グループだと思っていただけに、それに似つかわしくないジャケットに戸惑ってしまったのだ。それは『英吉利の薔薇』とタイトルのついたアルバムだった。
確かその直後ぐらいに知ったのだが、フリートウッド・マックのデビュー時はブリティッシュ・ブルースのバンドで、俺が知っているポップ・バンドとは全くの別物だったらしい。後にサンタナがヒットさせた「ブラック・マジック・ウーマン」のオリジナルをやってるとか、「アルバトロス」という曲がヒットしたということを知ったが、その頃はネットなんて無かったから、FMでオンエアされるのを待つか、レコードを買うしかなかった。でもそれらが入っている『英吉利の薔薇』はどうも買う気にはなれなかったから、結局初期のマックを聴く機会はないまま来てしまった。
その『英吉利の薔薇』というアルバムはアメリカ向けの2ndアルバムで、日本でのデビュー・アルバムでもあったのだが、イギリスで最初にリリースされたのが今回紹介する『ピーター・グリーンズ・フリートウッド・マック』なのである。ジョン・メイオールのブルースブレイカーズにエリック・クラプトンの後釜として加入したピーター・グリーンが、このグループ脱退の後に同じく脱退したミック・フリートウッドとジョン・マクヴィーらと新しく結成したのがフリートウッド・マックで、他のバンドで活動していたジェレミー・スペンサーを加えた4人でスタート。1968年という年はイギリスではブルースがブームとなっていたようで、このデビュー・アルバムも好評のうちに迎えられたとのこと。アルバム・タイトルからピーター・グリーンがリーダーのようだが、曲はグリーンとジェレミー・スペンサーがそれぞれ作り、他にはロバート・ジョンソンやエルモア・ジェイムスのカバーなどが収録されている。
この時期のブルース・ロックだと、例えばクリームみたいなインプロヴィゼーションが入っているのかと思ったが、そういうものはなく、グリーンとスペンサーによるギター・バトル的なものもない。割とシンプルな構成となっていて俺は聴きやすいのかなと思う。気に入っているのはスペンサーの曲中での「イエイ!」とか「アオッ!」みたいな掛け声とスライドギター。これが荒々しさを出していてカッコいい(①⑧⑩など)。一方でグリーンによる曲(②③⑥など)はブルースにプラスアルファをしたような、その時代の空気も加味されている印象を受ける。両者の個性の違いが分かりやすいが、アルバムの統一感はしっかりしていると思う。
グループは順調にスタートしたようだが、「アルバトロス」というブルースとは言えないインストゥルメンタルの曲がヒットしたことで徐々に変化が起こっていく。ピーター・グリーンが脱退し、さらにはジェレミー・スペンサーも失踪してしまう。ここからフリートウッド・マックはメンバーの入れ替わりを繰り返し音楽性もフォーク調やらポップなものに変化していく。時期によってまったく違うバンドなのがフリートウッド・マックで、バンド名にもなっているミック・フリートウッドとジョン・マクヴィーの2人がリズム隊として何十年もバンドを支えているところも面白い。俺はボブ・ウェルチ時代のアルバムを未だ聴いたことがないのだが、やはり押さえておくべきなんだろうね。言い忘れたけど『英吉利の薔薇』の女装オッサンって、ミック・フリートウッドなんだってね、最近知ったよ(ジャケ写真はタイトルをググってみてください)。(h)
【イチオシの曲】My Baby's Good To Me
スライドギターと粗い歌い方、ジェレミー・スペンサーのスタイルが気に入ってしまった。失踪したのはカルト宗教に入ったからとか言われているが、今も健在なのかな?
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