2012年12月23日日曜日
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ / The Red Hot Chili Peppers
The Red Hot Chili Peppers(1984年リリース)
①True Men Don't Kill Coyotes ②Baby Appeal ③Buckle Down ④Get Up And Jump ⑤Why Don't You Love Me ⑥Green Heaven ⑦Mommy Where's Daddy ⑧Out In L.A. ⑨Police Helicopter ⑩You Always Sing ⑪Grand Pappy Du Plenty
今ではスタジアム級のロック・バンドとなっているレッチリだが、多くの人はこのアルバムを後追いで聴いているものと思う。俺もそうだ。彼らがこのデビュー・アルバムをリリースしたのは1984年のこと。当時俺は高校1年生で、日ごろ聴いていたものは当時のヒット曲ばかりだった。この年に大ヒットしたアルバムといえばプリンスの『パープル・レイン』、ヴァン・ヘイレン『1984』、イエス『ロンリー・ハート(90125)』、U2『焔』、過去にここでも取り上げたスタイル・カウンシル『カフェ・ブリュ』やフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド『プレジャードーム』などがあった。これらのヒット・アルバムは日本でも雑誌などで紹介され、「ベスト・ヒット・USA」でPVなども見た。これらメインストリームの音楽を聴いていたのだから、日本盤もでなければ新人のミュージシャンであった彼らのアルバムの存在など知る由もなかったってことだ。
レッチリのオリジナル・メンバーはアンソニー・キーディス(Vo)、フリー(Bass)、ヒレル・スロヴァク(g)、そしてジャック・アイアンズ(dr)の4人であった。1983年にはEMIと契約を交わすが、その時点でヒレルとジャックの2人は他のバンドにヘルプで参加しており、そのバンドが他のレコード会社と先に契約していたため、EMIとの契約が出来なかった。そんな経緯からこのアルバムにはギターとドラムに別のミュージシャンを入れて録音している。ちなみにヒレルは2ndアルバムから、そしてジャックは3rdアルバムから参加し、3枚目の『ジ・アップリフト・モフォ・パーティ・プラン』が唯一のオリジナル・メンバーによる録音となった(この後ヒレルがオーヴァードーズで死亡するため、オリジナル・メンバーで残したアルバムは1枚のみということ)。さて、このアルバムだが、プロデュースはギャング・オブ・フォーのアンディ・ギル。アンソニーだかフリーだか忘れてしまったが、影響を受けたバンドにギャング・オブ・フォーがあったため、初のアルバムをリスペクトする人にプロデュースしてもらったはずではあったが、2人が考えていた音と、アンディの「聴きやすい音」という作りに乖離があり、2人にとっては不満の残るものとなってしまったようだ。エコーの使い方などは80年代ぽくて、そこに古さが垣間見えてしまうのがなんとも残念。
しかし楽曲自体は悪くないと思う。オリジナル・メンバー4人の共作という⑧は後々までライヴで披露されているし、元々はフリーのベースとアンソニーのラップの相性がよかったことがきっかけで始まったバンドであり、アンソニーのラップは早くもデビュー・アルバムで存分に聴くことができる。しかしこのアルバムで最も活躍しているのはフリーで、何気に聴いていてもついベースに耳がいってしまうぐらい目立っている。ちなみにベース経験の無かったフリーにプレイを教え込んだのはヒレル・スロヴァクだったそうだ。しかしそうは言っても、1984年というとラップはメインストリームではまだ市民権を得ていない。ましてや白人がロックに取り入れるなんてのはマイナーな存在だった。ビースティ・ボーイズがブレイクしたのが1987年だったことを考えると、あまりにも「早すぎる」アルバムだったわけだ。
参考までに、1986年に刊行された「世界自主制作レコードカタログ」という本が手元にあるのだが、ここに記載されたこのアルバムについての紹介文を見ても、アンディ・ギルのプロデュースにしてはオーソドックスな演奏で音がオフ・マイクで輪郭がぼやけていると書かれている。アナログの時代からそういう感じだったようだ。蛇足だが「LA出身の変態4人組」と書かれていて、ハチャメチャぶりもすでに伝わっていたようだ。
1988年にレッチリは『アビー・ロード・EP』をリリースしていて、あのアビー・ロードをほぼ全裸で渡っているジャケットは輸入盤屋でも目にすることが多くなって、名前が徐々に浸透していったのを覚えている。しかし俺は1989年の『母乳』で初めて彼らの曲を聴いたのだけど、ファンキーでロックな音にラップが乗った独特のノリがいまいちついていけなかった。その当時は「ミクスチャー・ロック」というジャンルで、ジェーンズ・アディスクションやフィッシュボーンなどと有名になっていった。そして1991年の『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』で世界的にブレイクしてからはもはや説明するまでもないだろう。(h)
【イチオシの曲】True Men Don't Kill Coyotes
本来ならオリジナル・メンバーによる"Out In L.A."を持ってくるべきかもしれないが、ここは記念すべきアルバムの1曲目を推したい。フリーのスラップ・ベースのイントロからアンソニーのラップに導かれるこの曲ではPVもあるらしい。「本当の男はコヨーテを殺さない」というのはどういうことかよく分からないけど、アンソニーの男根主義的な思想なのかなと勝手に想像している。
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