2012年5月4日金曜日

レッド・ツェッペリン / Led Zeppelin


Led Zeppelin (1969年リリース)
①Good Times Bad Times ②Babe I'm Gonna Leave You ③You Shook Me ④Dazed And Confused ⑤Your Time Is Gonna Come ⑥Black Mountain Side ⑦Communication Breakdown ⑧I Can't Quit You, Baby ⑨How Many More Times

自分の30年ぐらいにわたる音楽リスナー歴で、最も衝撃を受けたのがレッド・ツェッペリンのこのアルバムである。

中学生の頃(1980年代前半)は全米ヒットチャートで流行っている曲を探しては聴いていたのだけど、雑誌などで過去の名盤特集のようなものを見るようになり、そこから古いロックやポップへ興味を持つようになった。しかし中学生の小遣いではレコードなどそうそう買えるわけもなく、もっぱらFMで録音したテープを聴いていた。ちょうどその頃、レンタルレコードというものが出現しはじめて、高校生になった俺もあるお店の会員になった。そこで聴いてみようと思って借りたのがレッド・ツェッペリンの最初の2枚だった。

俺の記憶では最初にセカンドアルバムを聴いたのだけど、それは「胸いっぱいの愛を(Whole Lotta Love)」をすでに知っていたからだ。当時のツェッペリンの印象としては、ヒットチャートで流行った曲とは作りが明らかに違っていてすごく独特なものを感じていた。よく「ハードロックの元祖」的なことを言われるが、そんな狭い括りでは表現できない多彩な曲が並んでいると思った。

それは1stアルバムに顕著に出ていて、①はあいさつ代わりの小品といったところだが、②ではアコースティック・ギターなのにハードな雰囲気を出し、③はブルースのカバーで、ジェフ・ベック・グループも取り上げていた曲。そして間髪入れずに④へ流れるがこの重さが当時から凄く好きだ。アナログではここまでがA面で、最初の曲以外はすべて6分台という大作ばかり。そしてB面にあたる⑤は教会風オルガンが印象的で、続く⑥はインドっぽいインストゥルメンタル。インドといってもビートルズみたいにシタールを使うのではなく、パーカッションがインド的。⑦は速さやギターのリフから、今のヘヴィ・メタルにも通じるものがある。⑧は再びブルースで、俺はこのアルバムでブルースっていうものがどういうものかを感じた。ラストの⑨はアルバム中最も壮大でハードな展開で突っ走る。そんな9曲が収められていた。

俺がこのアルバムのどこに惹かれるのかというと、それはロバート・プラントのヴォーカルだ。シャウトする高音とその声量がアルバムの多彩な楽曲のどれにもぴったりはまっていることに初めて聴いた時は驚きだった。ハードロックの歌唱の元祖でもあるし。そして聴く前までは単なるハードロックの1バンドに過ぎないだろうと思っていたのに、1stアルバムを聴いただけで世界最高峰のバンドだと確信した。若かりし頃のこととはいえ「単なる」などと思ったりして、今思うと土下座ものだ。

すでにその音楽スタイルは1stアルバムをもって完成していて、ジミー・ペイジも「すべてが1stにあって、後のアルバムはそれをどう展開させていくかだけだった」というようなことを言ってるのを読んだことがある。恐らくアルバム1枚でバンドが終わっていたとしても、これは永遠に聴き継がれるだろうと思っているし、少なくとも俺の中では史上最も優れたロック・アルバムである。俺のロックの基準を作ったとも言えるものだ。(h)

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