2012年12月9日日曜日

ザ・ブーム / ア・ピースタイム・ブーム


THE BOOM / A PEACETIME BOOM(1989年リリース)
①CHICKEN CHILD ②SUPER STRONG GIRL ③都市バス ④きっと愛してる ⑤星のラブレター ⑥君はTVっ子 ⑦おりこうさん ⑧不思議なパワー ⑨雨の日風の日 ⑩ないないないの国 ⑪虹が出たなら

自分自身がなぜこれほど音楽が好きになったのかはよくわからない。ただひとつだけ言えることは、音楽好きになったお陰でこれまで様々な出会いがあったし、今ここにどうしようもない文章を書いている。ところで、ついさっきまで俺の成長過程において家族からの音楽的影響は全くないと思っていた。だがしかし今回この文章を書くにあたりよくよく考えてみると、このザ・ブームは二児の母になった今も福山雅治のファンでコンサートにも通う姉から教えてもらったことを再認識した。この場をお借りして姉に謝辞を述べさせていただきたい。ありがとう。でも、この感謝の言葉は決して本人に伝わることはないだろうし、直接伝えるつもりもないから気にしないで。

俺が中学生の頃に姉がカースレテオで流してたテープに入っていた②や⑥は、そこで歌われる歌詞こそ意味不明だったが、そのリズムとキャッチーなメロディでイッパツで好きになった。当時は既に3rdアルバム『JAPANESKA』が発売されていて、姉に借りた1stから3rd、ミニアルバム『D.E.M.O.』の4枚のCDをテープにダビングし繰り返し聴いた。2ndアルバム『サイレンのおひさま』収録の「なし」や、3rdアルバム収録の「過食症の君と拒食症の僕」あたりのコミックバンド的というか、ラブソングを歪曲した表現の歌詞がまだウブな俺にはたまらなく新鮮で刺激的だった。非リアの俺からすればチャートに入るような曲にハメ込まれた「愛」だの「恋」だのいう歌詞には全く共感することができず、疎外感しかなかったからだ。それでも「愛」や「恋」のことをストレートに歌っている④や⑤、⑪の歌詞は抵抗なく入ってきた。あばたもえくぼってヤツか。全然違うか。

矢野顕子とコラボするなど順調にステップアップしていったザ・ブーム。3rdアルバムでワールドミュージックというか沖縄的な表現を取り入れるようになり、4thアルバム『思春期』収録の「島唄」で大ブレイクする。しかし俺の好きなザ・ブームの要素は、俺がイメージする「ホコ天」や「軽音楽部」的なスカっぽいリズムと軽やかなギターによるサウンド、そしてそのどうしようもない歌詞だった。③や⑦の歌詞も、理解できそうで理解できない加減がツボにはまった。これらの要素がいい塩梅に詰め込まれていたのがこの1stアルバム『ア・ピースタイム・ブーム』およびそれに続く2ndアルバム『サイレンのおひさま』だった。

ザ・ブームは「島唄」のヒットのお陰で紅白歌合戦出場を果たすまでになるが、一般的には「一発屋」で終わってしまったように思う。一方、俺はといえばちょっと説教臭い歌詞が耳につくようになり、俺の光岡ディオンを奪ったことが決定打となってザ・ブームを聴くことはなくなった。それと前後して、よりどうしようもないことを歌っているメタルに走ることになる。そもそも英語をヒアリングできない時点でメタルに限定されないが。

俺は今でも初期の作品を聴くことはあるが、冒頭に紹介した姉どうだろうか。俺の記憶が確かなら姉は当時、男闘呼組の大ファンで部屋は前田耕陽のポスターだらけだった。なぜ姉がザ・ブームを聴いていたのか未だによくわからない、という謎を残しこの文章を締めさせていただく。この疑問は決して本人に伝わることはないだろうし、直接伝えるつもりもないから気にしないで。(k)

※この文章には一部誇張が含まれています。
※Amazon.co.jpで探したんですが、廃盤のようです。
Wikipediaによると2005年には紙ジャケ&リマスターで再発されているようです。

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