2012年8月19日日曜日

ザ・ストゥージズ / ザ・ストゥージズ


the stooges (1969年リリース)
①1969 ②I Wanna Be Your Dog ③We Will Fall ④No Fun ⑤Real Cool Time ⑥Ann ⑦Not Right ⑧Little Doll

高校を卒業して英語が勉強したいと専門学校に通いだした俺は常にイライラしていた。怒りの対象が決まっていることもあれば、ただなんとなくイライラしていることもあった。そのやり場のない怒りをぶつける方法もなく、日々フラストレーションばかりが溜まっていった。そんなイライラをロックを聴くことで解消していたわけだが、そんな俺の血を最も沸き立たせてくれたのがイギー・ポップが率いていたストゥージズの2枚目のアルバム"Funhouse"だった。何かの本で「ハタチ前に聴け!」と書いてあって、それに従って19歳の時に入手した。このアルバムほど感情を趣くままに吐き出していると感じたものは無い。今聴いても同じ気持ちになれるし、イライラする時のウサ晴らしにはもってこいだ。

その1年前の18歳の時に入手したのが今回紹介する1stアルバムだった。イギー・ポップという名前はその数年前に"Blah Blah Blah"というアルバムを出していたから名前は知っていたが、音楽を聴いたのはザ・ストゥージズの方が先だった。②や④といった多くのパンクバンドがカバーをしている曲が入っているとか「パンクの元祖」みたいなことが雑誌に書いてあったから興味を持った。あとから聴いた"Funhouse"とは違い、イギー・ポップ(このアルバムではiggy stooge とクレジットされている)の気だるく、だけどどこかイラついた感じのヴォーカルにすっかり魅了された。ストゥージズはデトロイト出身で当時同郷にMC5というグループがいたが、彼らの政治的なアジテーションを含んだ勢いとドアーズのサイケデリックな感じを足して割ったような音楽がこのアルバムでは聴けると思う。

18歳だった俺には②の「アイ・ウォナ・ビー・ユア・ドッグ」という響きが新鮮で衝撃的だった。お前の犬になりたいとか言ってるけど絶対嘘だろうなんて勝手に決め付け、高校卒業後も電車で見かけるサラリーマンを見てはこういうのが犬だろなんて思ってみたり、専門学校でのイライラを④のタイトルに重ね合わせてみたり、⑥の最後の狂おしいギターに酔いしれたり、このアルバムそしてザ・ストゥージズがパンクの元祖と言われるのは当時の自分のフラストレーションを重ね合わせるとものすごく理解できる。後にパンクバンド達がこれらの曲をカバーしたから元祖っていうのは単純すぎると言わせてもらいたい。そんな意味ではザ・ストゥージズのアルバムはどれも「ハタチ前に聴け!」というのが正しいと思う。

話は変わるが、Amazonでこのアルバムを検索すると「イギー&ザ・ストゥージズ」と表記されているが、このアルバムと"Funhouse"だけは「ザ・ストゥージズ」名義が正しいので、これから聴く人は混同しないようにしてほしい。「イギー&ザ・ストゥージズ」名義は"Raw Power"以降に出たレコードだけだ。(h)

【イチオシの曲】I Wanna Be Your Dog
永遠のパンク・クラシック!他に何を言おうか?いいから聴いておけ。

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