2013年6月16日日曜日

エアロスミス / 野獣生誕


エアロスミス / 野獣生誕

Aerosmith / Aerosmith(1973年リリース)
①Make It ②Somebody ③Dream On ④One Way Street ⑤Mama Kin ⑥Write Me a Letter ⑦Movin' Out ⑧Walkin' the Dog

エアロスミスを初めて認識したのは、テレビ朝日系列のテレビ番組『タモリ倶楽部』の「空耳アワー」で聴いた「八ッつぁん 入れ歯のじじい♪」という作品にて。これは、1987年リリースの9thアルバム『パーマネント・ヴァケイション』収録の「ラグ・ドール」の歌詞'Hot time get it while it's easy'が空耳でそう聞こえるというものだった。

んで、その少し後、1993年リリースの11thアルバム『ゲット・ア・グリップ』がヒットした。当時高校生だった俺は、1989年リリースの10thアルバム『パンプ』、『パーマネント~』と少しずつ遡り、1977年リリースの5thアルバム『ドロー・ザ・ライン』、1976年リリースの4thアルバム『ロックス』、1975年リリースの3rdアルバム『闇夜のへヴィ・ロック』、そして1973年リリースの1stアルバム『野獣生誕』に辿り着いた。それにしても『野獣生誕』とは何という邦題なんだろうか。それはさておき、その中身がどうかと言えばこのどうしようもないサウンドプロダクション。ブルースなんてものはよくわからないけど、この泥臭い感じがそうなのだろう。また、この音は俺に初期グランジサウンドを思い起こさせる。語弊を覚悟で言えば、全く洗練されていない出来損ないのハードロックであった頃の初期グランジに近いものがあると思う。予算的にも限られたものがあったのだろうが、それが何とも言えない味わいとなっている。

1973年のリリース当時、この1stアルバムは注目を集めることができなかった。しかし地道なライヴ活動と、後にシングルカットされた③が評価され、この1stアルバムも再発売されるまでこぎ着けたのだ。その際にはジャケットが差し替えられ、メンバーの写真部分がクローズアップされると共にロゴの下に'Featuring "Dream On"'と書き加えられた。⑧を除く7曲の作曲にスティーヴン・タイラーが関わり、著名な③以外にも⑤はガンズ・アンド・ローゼズがカバーしたことで有名である。①②④⑥⑦も素晴らしく、4thアルバム『ロックス』あたりと比べると疾走感はないものの、曲数が少ないため繰り返し聴いてしまいがち。⑧はルーファス・トーマスのカバー。実はローリング・ストーンズの1stアルバムもこの曲のカバーで締めくくっており、ストーンズを意識していたものと想像できる。

バンドは何度かの黄金期と危機を繰り返しながらも乗り越え、『パーマネント~』以降はデビュー時のラインナップを維持、1998年の映画『アルマゲドン』のテーマソングとなった「ミス・ア・シング」や、2002年にリリースされたエミネムのアルバム『ザ・エミネム・ショウ』収録の'Sing For The Moment'では③のコーラスがサンプリングされるなど注目を集め、現在に至るまでその人気を維持している。今年2013年の夏には来日も予定されており、40年も前に完成させた1stアルバムのメンバーが今も最前線で活躍していることに驚嘆すると共に頼もしく、嬉しくもある。

一方、個人的には9thアルバム『パーマネント~』以降のビッグロック的なサウンドプロダクションは11thアルバム『ゲット・ア・グリップ』までで食傷気味に。ちなみに当時の俺は、LDでもリリースされたエアロスミスのPV集『ビッグ・ワンズ』を購入し、PVに登場するアリシア・シルヴァーストーンとリヴ・タイラー(スティーヴン・タイラーの娘)にメロメロだった。と言いながらもエアロスミスで一番好きなアルバムは3rdアルバム『闇夜の~』で、この1stアルバムはその次くらいに好き。思い入れの部分も大きいが、それくらい愛着が持てる作品に仕上がっている。活動期間が長いだけにたくさんの作品があるが、エアロスミスに興味を持った方はその原点も是非チェックしてほしいと思う。(k)



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