2013年4月7日日曜日

エラスティカ / エラスティカ



Elastica / Elastica(1995年リリース)
①Line Up ②Annie ③Connection ④Car Song ⑤Smile ⑥Hold Me Now ⑦S.O.F.T. ⑧Indian Song ⑨Blue ⑩All-Nighter ⑪Waking Up ⑫2:1 ⑬Vaseline ⑭Never Here ⑮Stutter

NWOBHM(New Wave of British Heavy Metal )という言葉がある。英国で70年代後半に登場したハードロック/ヘヴィメタル界隈のバンド達を指す言葉で、メタル好きなら一度は耳や目にしたことがあるのではないか。このように音楽のカテゴリーと言うか、音楽のムーブメントを指す言葉はいくつかあるが、その中で個人的にお気に入りなのがNWONW(New Wave of New Wave )だ。同じような界隈を指す言葉は、他にもポストパンクとかポストニューウェーヴとかニューウェーヴリバイバルとかなんて表現もあったりして、むつかしくてもうなんか訳が分からない。その中でもNWONWのちょっとマヌケっぽい言い回しが大好きなんだけど、ブリットポップという言葉に飲み込まれてしまい、あまり言及されることがないように思う。

そのマヌケな言い回しに含まれるバンドのひとつがエラスティカだ。この1stアルバム『エラスティカ』には、その楽曲にもサウンドにも贅肉が一切なく、中心メンバーのジャスティーン・フリッシュマンの眉毛よりも体臭(想像)よりも全てが濃く濃縮されている。その一方、まだまだ改善の余地がありそうな演奏力やインディー臭さも含め、ニューウェーヴとかブリットポップとかいう括りを抜きにしても一枚のロックアルバムとしてもう少し評価されても良いと思っている。ジャスティーンのルックスは好みが分かれるところだとは思うが、ドナ・マシューズ、アニー・ホーランドと、ギターやベースをぶら下げた女性3人が並ぶ姿は画になる。下に貼ったYouTubeの動画は、2種類作られた③のPVのひとつなんだけど、状態が良いものがYouTubeにはないようで残念。これは⑪のPVを作った時の素材を繋ぎ合わせただけみたいで、決して出来の良いものではないんだけど、ジャスティーンの苦虫を潰したような顔がリピートされるとこが堪らなく好きた。そして、ドナがただただひたすらに可愛い。アニーは箸休めで、唯一の男であるドラマーはどうでもいい。

本作がリリースされた90年代中期はブリットポップが全盛で、ジャスティーンは、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったブラーのデーモン・アルバーンとの恋愛や、スウェードのブレット・アンダーソンとの過去の関係などが話題を集めた。ブラーは今年2013年3月から9月にかけて、香港、台湾、日本、ジャカルタを含む世界各国で20回以上の公演が発表されている(が、残念ながら出演するはずだったTOKYO ROCKS 2013の開催自体がキャンセルされたため、来日の予定はなくなった)。再結成したスウェードは2013年になって新作『ブラッドスポーツ』を発表した。このようにブラーやスウェードがメンバーの脱退や活動停止、解散などの苦難を乗り越えながら今もなお最前線で活動を続けているのに対し、エラスティカは2ndアルバムをリリースするもドナ・マシューズの脱退などメンバーチェンジを繰り返した末に解散してしまい、その後のメンバーの音楽的な活動が話題になることもない。本当に寂しい限りだ。

本作で聴けるタイトでソリッドな曲達は、彼女たち、特にジャスティーンの積極性、勢いを感じさせるものであった。一方、シングルCD『コネクション』の3曲目に収録されている⑨"Blue"のデモ音源は、本アルバム収録の音源と同じ曲とは思えない繊細さと寂しさで溢れている。ドナの弾き語りによる宅録状態ゆえの劣悪な音質ですら、その良さを引き立てることに貢献しているような代物で、今でも大好きな1曲だ。この音源を聴いてしまってから、エラスティカの解散やジャスティーンのことよりも、ドナのその後の音楽キャリアがよくわからないままなのが残念でならない。(k)





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