2013年2月3日日曜日

ガービッジ / G


Garbage / Garbage (1995年リリース)
①Supervixen ②Queer ③Only Happy When It Rains ④As Heaven Is Wide ⑤Not My Idea ⑥A Stroke of Luck ⑦Vow ⑧Stupid Girl ⑨Dog New Tricks ⑩My Lover's Box ⑪Fix Me Now ⑫Milk

「機械でリズムを取る音楽はロックじゃない。」

何年も前、そんな物言いをしているミュージシャンの記事を読んだ。誰の発言なのか裏を取りたくて先ほどネット上で検索してみたが、該当するソースを見つけることはできなかった。残念。同じ頃、メタリカが「ジャスト」なサウンドを求めているという旨の発言をしたと記憶している。レコーディングでもライヴでもイヤホンから聴こえるクリック音を頼りに、正確なリズムを刻むバンドはたくさんいるだろう。ドラムマシーンのように人間が叩いていないものは勿論、人間が叩いていても機械に頼った音楽はロックではない。先のミュージシャンはそうディスっていた。俺の記憶が確かなら。

ドラムマシーンだかシーケンサーだかサンプラーだか知らないけど、機械的で正確なリズムが生理的にダメだった。テクノだかハウスだかジャングルだかドラムンベースだか知らないけど、非リアの俺がオシャレ感漂う音楽を俺が苦手としていただけだ、という見方も見当外れではない。単純に打ち込みってヤツに対して免疫がなかったのだろう。もう20年くらい前の話。

ガービッジを初めて耳にしたのは、tvk(テレビ神奈川)で木曜夕方5時から放送されていた音楽番組「Bubblegods」で流されたPVだった。落ち着きのない俺は大人しく黙ってラジオを聴くなんてことはできないが、映像と共に音楽が流れてくるPVを見て聴くことは大好きだった。活字を読むことも苦ではないため好んでいくつかの音楽雑誌を講読していたが、音楽そのものは置いてきぼりでその他の情報だけで頭でっかちになっていた嫌いが多分にあった。PV、もっといえばtvkはそれをいくらか緩和してくれる貴重な情報源だった。

ガービッジがデビューした1995年、「あの『ネヴァーマインド』をプロデュースした」ブッチ・ヴィグが組んだバンド、ということで、ニルヴァーナが大好きだった俺は避けて通るわけにはいかなかった。tvkを介して②、③、⑧や⑫のPVを見て⑧のキャッチーさが気に入った。③のシングルCDを購入してみたが、3曲目に入っていた'Sleep'という曲のドラムパターンの繰り返しが耳触りで我慢できず、ガービッジに対する興味がなくなってしまった。「こんなのロックじゃない」的な中二病を拗らせ、当時の俺はガービッジの音楽を受け入れなかった。どうしても打ち込みのループが気持ち悪かった。メタル上がりでオーソドックスなロックしか聴いてこなかった耳には刺激が強すぎたのか。俺がニューウェーヴあたりを通過していればこんなことにはならなかったかも。

その後、色々な音楽を耳にしていくうち、ここまで書き殴ってきたような打ち込みに対する抵抗感は全くなくなっていった。大嫌いだった'Sleep'は、今でも大好きな一曲だ。そして1998年の夏、豊洲の埋立地で開催された第2回目のフジロックフェスティバル。2ndアルバム『ヴァージョン2.0』を引っさげ、ガービッジはまだ日の高いうちにステージに登場した。ブッチ・ヴィグのたたくドラムがエアっぽい気もしたが、そんな細かいことはどうでも良かった。爬虫類みたいな顔してるけど、俺はシャーリー・マンソンに恋した。3人の(おっさん)プロデューサーと紅一点のシャーリー・マンソンの奏でる曲は奇を衒うようなことはぜず、どの曲もポップ・ミュージックとして大変優秀な出来栄えだと思う。悪く言えばどこを切っても同じ。金太郎飴状態。1st、2ndで俺のシャーリー・マンソン、いやガービッジに対する恋は終わっていた。熱しやすく冷めやすい。

俺が続く3rdアルバムや4thアルバムを手にするのは21世紀も10年以上が経過してから。ブックオフでそれぞれ105円で購入した。5thアルバム『ノット・ユア・カインド・オブ・ピープル 』を引っさげ、2012年にはサマー・ソニックのステージに立つも俺はその場にいなかった。

俺を振り向かせるような活躍をしてくれる日が来ることを期待せずに待ってるよ。(k)





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